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Facebookが消えた日:ミャンマーのインターネット規制

5月30日の午後、突如としてネットのスピードが極端に遅くなった。自宅で使っている光回線は30Mbps近いスピードがあり、YouTubeも高画質で問題なく見ることができていた。それが、数週間ほど前からなんとなく調子が悪くなってきていたが、この5月30日に極端に悪化したのだ。ネットスピードを計ると、限りなくゼロに近かった。そして、夕方にはついに何も表示しなくなった。VPNが原因ではないかと疑いVPNを外してみた。超スローであるが、何とか繋がっていた。しかし、ミャンマーではFacebookやX(Twitter)などのSNS、軍に批判的なニュースサイトを見るためにはVPNが必須である。

▦ インターネット規制の変遷

FacebookやTwitterのブロック

軍がクーデターを起こした2021年2月1日、早朝からネットも携帯電話もストップした。午後に回復したネットを見ると、Facebookに軍への批判で溢れていた。ミャンマーではインターネット = Facebookだ。メールアドレスを持っていない人でも、Facebookアカウントだけは持っている。ミャンマー人にとっては、Facebookは情報伝達のインフラとなっていたのだ。

テレビや新聞は軍がすぐに掌握したので、軍に批判的な記事は消えた。しかし、インターネットの世界では軍は無力だった。ほとんどの国民はFacebook上の独立系メディアの記事や動画を見て真実を知った。それだけでなく、自分たちの周りで何が起きているか国民が記者として発信するようになった。地方で住民に暴力を振るう兵士の姿がミャンマー全土にすぐに広がったのだ。そして、軍への罵詈雑言がFacebookに溢れていた。

Facebookの影響力を恐れた軍は、早くも2月4日にはFacebook、Twitter、独立系メディアのWebサイトなどがアクセスできないよう、携帯事業会社にこれらのSNSやWebサイトのブロックを命じた。しかし、すぐにVPNという言葉がミャンマー中に広がった。このVPNという種類のソフトを使うと、軍が命じたブロックを回避することができるのだ。無料のVPNも多く、瞬く間にミャンマー人のほとんどのスマホやパソコンにVPNがインストールされたのだ。

スマホのインターネット通信遮断

特定のサイトのブロックでは国民の目と耳を塞ぐことができないことを知った軍は、3月から携帯電話を使ったモバイルのデータ通信を停止させた。それまで、多くの人たちはスマホでネットに繋がっていた。特に、地方ではネットの固定回線など最初から存在しないところが多い。Facebookへのアクセスが激減し、地方で起きていることが見えなくなってきた。タイのSIMカードを使うなど、一部に抜け穴もあったが、それもしばらくして塞がれてしまった。

しかし、2021年にはミャンマーでもスマホによるインターネットがなければ社会が成り立たなくなっていた。銀行を介さなくてもスマホを使って少額の送金ができるモバイルマネーが既に普及していたし、オンラインバンキングも使われ始めていた。ヤンゴンではタクシーのオンライン配車サービスや出前などのオンラインデリバリーが当たり前になっていた。

そもそも、官公庁のネットでの発信が奇妙だった。Facebookがブロックされた直後は、公式発表はWebサイトに変わったが、ほどなくしてFacebookに戻った。Webサイトでは誰も見ないからだ。それに、前線の兵士が家族と連絡を取るのにFacebook(Messenger)は必需品であった。

ミャンマーでインターネットや携帯電話を一般の人が使いだしたのは、2014年からととても遅かった。ところが、急激にミャンマー全土に広まり、電気のない村でもスマホが普及した。同時に、軍も行政もインターネットやFacebookがないとやっていけない体になっていたのだ。

3月から始まったスマホのインターネット封鎖であったが、6月にはそれが解除された。この時期、ミャンマー軍はクーデターは成功したと確信したに違いない。クーデター直後からミャンマー全土に広がった大規模なデモだったが、4月から5月にかけてデモは急速にしぼんでしまった。デモ隊への軍による容赦ない殺戮があったからだ。デモ隊をリードしていた若者たちは少数民族地域に逃れた。一部の地方では住民による武力蜂起もあったが、彼らが手に持つのは武器とも言えないような貧弱なもので、ミャンマー軍の持つ武器とは圧倒的な差があった。

8888民主化運動と比べて

ここまでの流れは、1988年に起きた8888民主化運動に酷似していた。このときも、デモ隊の先頭に立っていたのは若者たちだ。しかし、軍の実力行使が始まり多くの犠牲者が出ると彼らは国境地帯へ逃げ、少数民族軍に助けを求めた。その地で戦いを教わった学生たちは武力蜂起したが、強力なミャンマー軍には歯が立たなかった。そして、抵抗も時間とともに静かになり、一般の国民も軍の暴力の前に黙ってしまった。

1988年当時、ミャンマー国内で何が起きているか詳しく知っているのは軍だけだった。テレビや新聞は軍に押さえられ、国民には真実は伝わらない。当時のミャンマーは電話の普及率が非常に低く、情報伝達がとても難しかった。秘密の印刷所でビラを印刷したり、メッセージを録音したカセットテープを列車で運んでいたりした。結局、軍がどこで何をやったのかを国民は知るすべもなく、抵抗運動は次第にしぼんでいった。

しかし、今回は違った。独立系メディアはミャンマー国内のテレビや新聞での報道はできなくなったが、FacebookやWebサイトでニュースを配信した。逆に、政府系(軍系)メディアはFacebookやYouTubeからアカウントを封鎖された。軍に情報統制されたテレビと自由なネット、国民がどちらを選ぶかは明らかだった。世界で最もテレビ離れが進んでいる国はたぶんミャンマーだろう。

その後のインターネット規制

2021年6月にスマホのネット規制は解除され、ヤンゴンやマンダレーの都市部ではネットを使うのに何も支障がなかった。ほとんど全てのスマホやPCにはVPNがインストールされていたからだ。

しかし、地方は状況が違った。ミャンマー軍が追い出され開放地区となった地域や戦闘が起きている地域では、ネットや電話が封鎖された。今のミャンマーで、軍が統治できている国土は半分ほどしかないと言われている。残りの半分の地域ではインターネットも電話も使えない地域が多い。そういう地域では、イーロン・マスク率いるStarlink社の衛星インターネットを使い始めるようになった。

また、軍はFacebook狩りを熱心に行うようになった。一般人のFacebookページに軍への批判的な表現があっただけで逮捕するのだ。中には、他の人が書いた批判的な内容に「いいね」ボタンを押しただけで逮捕された人たちが何人もいる。実際、私の周りにも「いいね」ボタンで捕まって2年半も刑務所に入っていた人がいる。逮捕された人たちは軍の尋問所に連れて行かれ激しい拷問を受け、3年や5年の刑期で刑務所へ収監される。ミャンマーの刑務所は日本の刑務所とは全く違う。刑務所の環境は劣悪で、暴行を受けるのは日常だ。刑務所内で死亡する人も多い。スマホで「いいね」をタップしただけで地獄行きとなるのが今のミャンマーだ。

この結果、ほとんどの人たちは個人のFacebookページに「鍵をかける」ようになった。信用できる親しい人たち以外はページを見れないようにしたり、政治的な発言は控えるようになったのだ。政治的な意思表示をしたい人たちは、身元がバレないように別名でアカウントを作っている。こうして、軍への批判で溢れていたFacebookが静かになったように見えるが、それは表面的なものにすぎない。ミャンマー国内に住んでいる人たちにとって、ネットを利用するのに細心の注意が必要なのだ。

クーデター以降、真実を伝えようと献身的な働きをしてきたミャンマー人ジャーナリストは常に危険と隣り合わせだった。実際にジャーナリストは軍の標的となり、多くの人たちが逮捕された。逮捕を逃れた人たちのほとんどは少数民族軍の支配地域や国外へ脱出した。彼らは今でもFacebookを中心に、Telegramや独自のWebサイトでミャンマーで起こっていることを伝えようと発信し続けている。

▦ VPNとは

ここで、VPNの説明を少ししたい。VPNとは、Virtual Private Networkの略で、「仮想的な専用回線」と訳すのがわかりやすいと思う。インターネットは誰でも安く使えるが、ならず者や犯罪者が跋扈する世界でもある。注意しないと、通信を傍受され個人情報を盗まれたり、ウィルスに感染したりする。こうした危険なインターネットの中で安全に通信できないかと考えてできたシステムがVPNだ。それまで、本当に安全な通信を行おうとすると、物理的にインターネット回線からは独立した専用回線を使うしかなかった。とても高価なので、専用回線を使っていたのは金融機関や官公庁など高度なセキュリティーが必要で費用を払うことのできる特別な組織だけであった。今では、VPNを使うことで誰でも安価に安全な通信ができるようになった。といっても、VPNは完璧ではない。高度な安全を求めるために、今でも専用線は存在する。

VPNは通信を全て暗号化するので、ユーザーの通信内容は外部からは解読できない。また、接続しているユーザーが誰で、どこのサイトを見ているかも隠すことができる。ミャンマーでは、3月4日にISP(インターネット接続会社)に命じてFacebookやTwitterをブロックさせた。ISPは、どのユーザーがどこに接続しているかすぐに分かるので、軍に命令に従った。いや、従う従わざるを得ない。しかし、VPNアプリをインストールしたユーザーに対しては、誰がどこに繋いでいるのかわからないのでFacebookをブロックすることができなくなったのだ。

中国のグレートファイアウォール

このVPNを警戒したのが中国だ。中国のような専制国家は国民同士の自由なコミュニケーションというのを恐れている。そこで中国は、グレートファイアウォールと呼ばれるインターネット監視システムを構築した。グレートファイアウォールとは、「万里の長城」とインターネットの壁をもじった言葉で、とても巨大で複雑なシステムだ。巨額な資金を投じているという。このグレートファイアウォールにとってVPNは壁に空いた穴である。この穴を塞ぐために中国はグレートファイアウォールにVPN感知システムを取り入れた。

ミャンマーでFacebookが禁止されたクーデター直後から、ミャンマー軍は中国のグレートファイアウォールを導入するのではという噂が出ていた。中国の会社に委託すればミャンマーでもVPN規制ができるはずだが、なぜか軍は3年も放置してきた。費用が高すぎたのか、インターネットの影響力を軽視していたのかはわからない。

Facebookが消えた日

そして、5月30日がやってきた。突然のVPN規制でミャンマーは大騒ぎになった。「どのVPNを使っている?」というのが国民の挨拶言葉になった。最も人気があった 1.1.1.1 Warp という無料のVPN(正確にはVPNではないが、結果的にFacebookやTwitterのブロックを回避できた)は全く使えなくなった。私がメインで使っていた有料の NordVPN も全くだめだった。念のために手元に残していた他のVPNアプリをいろいろと試した。接続スピードがとても遅かった、何とかVPN接続することができた。

Facebook上で最も人気のあるメディア、Khit Thit Media のページを見ると、いつもなら100以上のコメントが付くような記事でも、10程度のコメントしか付いていない。アクセス数が1割程度になったようだ。国外からのアクセスもあるから、ミャンマー国内だけだと1割以下になっていただろう。

後日判明したのだが、このVPN規制はやはり中国の会社の協力によるものだった。Justice for Myanmar が発表した記事に詳しい情報が載っている。
THE MYANMAR JUNTA’S PARTNERS IN DIGITAL SURVEILLANCE AND CENSORSHIP

その後、1ヶ月が経ち、Facebookのアクセス数もだいぶ戻ってきた。Facebook上で商品を売っている友人に話を聞くと、今では以前の半分近くまでアクセス数が復活してきたという。

ただし、ちゃんと機能するVPNをスマホにインストールできたとしても安心できない。軍が路上を歩いている人のスマホをチェックし、VPNアプリがインストールを見つけると10万から20万チャット(約3,600円〜7,200円)要求するということが起きている。まさに恐喝、カツアゲであるが、銃を持った兵士には逆らえない。

また、VPNをインストールしているだけで1年から3年の刑になるという法案が検討されているという。せっかく中国のグレートファイアウォールを導入したのに限定的な効果しか出ていないということで、軍は腹立たしく思っているのだろう。

▦ VPNの選択

一般ユーザーがVPNを使うのは難しくない。VPNを謳うアプリをインストールするだけだ。VPNアプリの種類は非常に多く、スマホ用だけでも100以上のVPNサービスがあると言われている。ミャンマーや中国のように自国の監視システムから逃れるために使う以外にも、日本など自由にネットを使える国で使用する人が増えている。インターネット接続の安全性を高めるためであったり、Netflixで他国限定の作品を見たりするためだ。

VPNにとって最大の壁は中国だ。毎年、中国はVPN監視の精度を高めてきた。その度にVPNは壁の穴を探して新しい技術を導入するが、中国に対抗するのをあきらめたVPNも多い。今回のミャンマーでの規制でも、それまでミャンマー人が使っていた多くのVPNが使えなくなった。ミャンマーに導入されたのは最新の中国のシステムなので、中国で使えないVPNはミャンマーでも使えないというのがほとんどだ。ミャンマーで使うためには、中国で実際に使えるVPNを使う必要がある。

ただ、ミャンマーは特殊事情がある。一般の人は海外で使えるクレジットカードを持っていないからだ。クーデター前にはミャンマー発行で海外でも使えるVISAやMasterのクレジットカードが普及し始めたのだが、今では使えなくなった。ということは、有料VPNを購入できないということだ。そこで、多くの人たちは無料VPNに殺到した。

しかし、今回のVPN規制では多くの無料VPNは中国の技術でブロックされ、使えなくなった。それでも、5月30日を生き延びた無料VPNがある。そのひとつが、ProtonVPNというスイスを拠点にする会社が提供しているVPNがある。機能制限があるが無料でも使える。ProtonVPNは設定の一部を変更する(プロトコルをStealthにする)とVPN規制を回避できるのだ。しかし、多くの人たちが殺到したせいか当局が規制を厳しくしているかわからないが、ほとんど接続できない日も多い。今日(6月30日)はかなり良好に接続できた。

ただ、ProtonVPN にもひとつ問題がある。WindowsではこのStealth機能がまだ搭載されていないのだ。開発会社からは、今年の夏から秋にかけてWindowsでもStealthを使えるようにするという発表があった。WindowsでProtonVPNを使いたい方はちょっとの辛抱だ。

VPNの闇

他にもVPN規制を回避できる無料VPNがいくつかあるが、その多くは危険なVPNである。そもそも、VPNのサービスを提供するには、VPNサーバーというのを会社が用意し、それをずっと維持しなければいけない。ユーザーが多いと何千台ものサーバーが必要で、それにはかなりの費用がかかるのだ。

無料で提供している会社は、限定サービスの無料でユーザーを呼び込み、無料ユーザーのうち何割かを有料に移行してもらうことを期待している。無料が一種の宣伝になっている。また、最初の1ヶ月だけ「お試し期間」で無料というところも多い。また、インターネットは世界中の人が自由に使えるべきだという理念を持ち、社会貢献の意味で無料にしているものもある。先に出した ProtonVPN が無料バージョンを用意しているのも、社会貢献と宣伝の両方の意図があると思われる。

しかし、無料VPNは危険なもののほうが多い。世界には100以上のVPNサービスがあるが、かなりの割合で運営会社がはっきりしない。たとえば、ミャンマーでも人気の Turbo VPN の運営会社はシンガポールと公開しているが、実態は中国の会社だという。この会社は複数のVPNアプリを出しているが、その多くでセキュリティーに問題を抱えているという報告がある。
VPNs Secretly Owned By Chinese Firms

このVPNを使うと、誰がどこに接続したかという情報を収集し、多くの広告を表示し、マルウェア(悪意のあるソフト)の危険性まである。それに、中国の企業なので、中国当局が要求すればユーザーがどのサイトに接続したなどの情報を提供する義務がある。ミャンマーでこのVPNを使用するのはとても危険である。

このように、無料VPNの中には危険なものが多いので、使用する前に十分に調べることが必要だ。今では、Googleで検索する以外に、ChatGPTやGeminiなどの生成AIを使って各VPNの安全性を調べることが可能だ。

ステマが横行するVPNの世界

Google検索やChatGPTなどの生成AIでVPNを調べたときに、評価が高いVPNとして、NordVPNやExpressVPNがよく出てくる。この2社は世界的に最大手のVPN運営会社で、英語のVPN比較サイトでは頻出度がとても高いし、評価も非常に高い。そして、両社とも中国で安心して使えるという評価になっている。また、ChatGPT 4o でも、中国で使うのに最適なVPNとしてこの2社のVPNを勧めている。ところが、現実は違う。

NordVPNは現在の中国では全く繋がらないし、ExpressVPNは中国で実際に使ったユーザーの評価では接続が不安定なようだ。私は今までNordVPNを使っていたが、今回のミャンマーのVPN規制で全く繋がらなくなった。両社とも、VPN比較サイトにアフェリエイト広告を大量に出しているので、ステマ的な記事が多くなるのは必然だとも言える。ただ、両社とも基本的な機能はしっかりしているので、中国やミャンマーで使うのでなければ安心して使うことができるはずだ。

今回、中国で使えるVPNかどうかこちらのサイトでチェックした。
2024年最新「今」中国で使えるVPNはこれ!

また、redditという英語の掲示板サイトでは、実際に中国でVPNを使っている人の書き込みがたくさんある。
Working VPNs for China - Read Me First!

現在、中国で使うことのできるVPNはミャンマーでも使うことができるはずだ。逆に中国でブロックされるVPNは同じくミャンマーでもブロックされると考えていい。ミャンマーに住む人たちはこれらのサイトを参考にVPNを選んでほしい。

軍が排除したいSNSやWEBサイト

最後に、現在のミャンマーでVPNを使わないとブロックされるSNSやWebサイトを紹介したい。ただし、私が気がついた範囲なので、他にもブロックされているサイトがあるはずだ。

まず最初に、SNSやメッセージアプリを見てみたい。

ブロックされているSNSやメッセージアプリ

  • Facebook

  • Instagram

  • Messenger

  • WhatsApp

  • X (Twitter)

YouTube, TikTok, Telegram, Signal, Viber, LINE などは今のところブロックされていないので、VPN無しでも使うことができる。国営メディアや軍関係のアカウントは、FacebookやYouTubeから次々にアカウント停止されたため、今ではTelegramが彼らの活動の中心だ。Telegramはロシア発祥のSNSのためか、軍関連のアカウントでも停止されることは少ない。また、軍に批判的なメディアも、Facebookを見ることができない一般国民のためにTelegramにページを持っている。

軍に批判的なメディアを調べると、次のサイトがブロックされていた。地方のメディアはカッコ付きで地方名を書いた。

ブロックされているメディアサイト

  • Irrawaddy

  • Mizzima

  • Khit Thit Media

  • Radio Free Asia

  • Burma News International

  • Ayeyarwaddy Times

  • BBC ビルマ語版

  • Karen News ビルマ語版(カレンのメディア)

  • Narinjara(ラカインのメディア)

  • Western News(ラカインのメディア)

  • Shan Herald(シャンのメディア)

BBCとKaren Newsに関しては、ビルマ語版のみブロックされていて、英語版およびカレン語版(Karen News)についてはアクセス可能だった。

不思議だったのが以下のメディアは軍に否定的な記事が多いのだが、アクセス可能であった。

アクセス可能な反軍的なメディア

  • Myanmar Now

  • DVB

  • Frontier Myanmar

  • Shan Human Rights Foundation

うろ覚えだが、以前は Myanmar Now や DVB はブロックされていたと思う。現在は、単なる技術的な問題で一時的にアクセス可能になっているのかもしれないし、他に何か理由があるのかもしれない。Frontier Myanmar に関しては、ビルマ語版がなくて英語版だけなので見逃しているのか、創立者の父親がミャンマー軍情報部の将校だったのが理由かもしれない。

インターネット上には、海外のメディアサイトでミャンマーについて比較的熱心に取り上げているところがある。たとえば、Asia Times, The Guardian, BBC, Al Jazeera, The Diplomatなどの英語サイトはミャンマーに関する記事がかなり多いし、ミャンマー軍については厳しいことを書いている。しかし、これらのサイトが英語だけだという理由なのか、ブロックされていない。今のところ、軍はミャンマー国内の世論に影響の強いビルマ語のサイトを中心にブロックしているようだ。

SNSやニュースサイト以外にも軍がブロックしているサイトはある。以下に示したのはその一部だ。

その他のブロックされているサイト

  • NUG(国民統一政府)

  • CRPH(連邦議会代表委員会)

  • Justice for Myanmar(不正を調査)

  • AAPP(政治犯支援協会)

  • Insight Myanmar Podcast(人々の声を発信)

  • Online Burma/Myanmar Library(歴史的文書のアーカイブ)

  • Wikipedia

軍に対抗する亡命政権といえる NUG と CRPH はもちろんブロックされているのだが、NUCC(国民統合協議会)という NUG 関連組織のサイトがなぜかブロックされていない。ブロックするリストを作るときに単に漏れただけかもしれないが、理由は不明だ。

Online Burma/Myanmar Library と Wikipedia がブロックされているというのは、今回調べて始めて知った。Online Burma/Myanmar Library はミャンマーについての歴史的な資料がそろっていて、一般人よりは研究者などが利用するようなサイトだ。Wikipedia には、軍についての歴史的な解説や最近の軍の組織についても比較的フラットに記述している。また、Wikipediaではロヒンギャや少数民族について、軍が今まで言ってきたこととは真逆のことも書かれていたりする。今まで国民にプロパガンダを流してきた軍は、こうした情報が国民の前に明らかになることを恐れているのだろう。


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