星野源の「アイデア」を聴いて号泣してしまう感情を言語化する
星野源さんの新曲「アイデア」が、8月20日に日付が変わった24時ちょうどに、配信のみでリリースされた。(※楽曲のネタバレを含むことも書いているので、まだ聴いていない方は、ぜひまずは聴いてみてほしいです。たったの250円ですごい音楽が聴けます…MVも公開されたけど、最初はぜひ「音源のみ」でじっくり何回も聴くことをおすすめしたい…!)
朝ドラ「半分、青い。」の主題歌でもある「アイデア」。朝ドラは見ていないけど、第1話の放送を録画で見て「アイデア」の1番は聴いたことがあった。明るくてさわやかでポップだけど、源さんらしいこだわりにあふれた音像、という印象だった。その印象のまま、新曲としての発売を待っていた。
配信のみでリリースされると知って、その理由もネガティブな理由ではないということまでは明かされていたけど、詳細が分からないままiTunesで予約注文を済ませておき、迎えたリリースの瞬間。
心待ちにしていた24時が来てもiPhoneのミュージックに楽曲がダウンロードされず、そわそわしながら待ち、24時6分にやっとダウンロードされた。
迷わず再生する。
聴いたことのあった1番のメロディをしみじみ聴きながら、やっぱりいい曲だなーと思っていた。
そして初めて聴く2番が始まると、おおっ?と思った。
そして続く間奏でおおーっ!となり、
さらに弾き語りにおお…!となり、
最後によりパワフルになっていく展開にうわー!という感じで…
もはやこんな感想しかつぶやけなかった。とにかく1回聴いただけでは消化しきれないほどの、予想外すぎるすごい構成の曲だった。
落ち着くためにTwitterでアイデアのハッシュタグを追って他の人のツイートも眺めたりした。みんなの興奮がめちゃくちゃ伝わってきた。いやーそりゃみんな驚くよね…
1回目も大切にじっくり聴いたつもりだったけど、曲が予想の何倍もすごすぎて、心構えが甘すぎたと反省した。そして、少し気持ちを落ち着けて2回目は解きほぐすようにさらにじっくり聴いた。
そして続けて3回目に再生した瞬間、イントロからいきなり涙が出てきて自分でも驚いた。泣くつもりはなかったし、最近元気がないとか嫌なことがあったとかそういう要因は全然ないのに。歌が始まったら何だかもうあとからあとから涙があふれてきて止まらなかった。5分間泣きっぱなしで聴いていた。
明るい1番、陰を感じる2番、語りかけるような弾き語り、最後の爆発的な展開。
生活への愛、音楽への愛、すべてのものへの肯定感、寂しさ、悔しさ、数々の苦労、負けたくない気持ち、孤独、いのちのこと、希望、人生を駆け抜けていく決意、未来への挑戦、みたいなもの。
そういうすべてが歌詞から音から伝わってきた。そのどれにも嘘がなくて、あまりにもまっすぐで。とにかく理屈が追いつかないくらい感情の波にのまれて、久しぶりにしゃくりあげるくらい号泣してしまった。
歌われていること1つ1つのテーマは普遍的と言ってしまえばそうなのかもしれないけど、あまりにも源さん個人がむきだしで、その本気が胸に迫ってきた。
今までの源さんの積み重ねてきたもの。最近の楽曲では封印されていた陰の部分をさらけ出してくれたこと。パワフルに終わりを迎える、気持ちいいまでの突き抜け方。
そういうすべてが自分の中の過去・現在・未来と重なって、「大丈夫だよ」と言われたような気がした。1つの曲を通してこんな励まされ方をしたのは初めてで、びっくりした。
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今まで歌を聴いて泣いたことはあっても、ここまで号泣するようなことはなかった。何でこんなに泣けてくるのか、何に揺さぶられてるのか、その理由をちゃんとつかんで言語化したくてこれを書き始めた。
感動とも少し違うし、悲しい涙でもない。あのこらえきれない泣き方は、普段の自分の引き出しにある感情ではない、という感覚だった。
これは何だろう…とずっと考えていて、ようやく見えてきた。
たぶん、その感覚の正体は「安心感」だ。ふだん泣いてしまうほどの不安を抱えて生きているつもりはなくても、どこかで常に抱えていた生きることへの不安を優しくすくい上げて「大丈夫だよ」と言われた気がしたのだ。
私はどちらかといえば前向きなほうだけど、たぶん無意識に自分をだましだまし鼓舞しながらやっている部分もあって、その誰にも触れられたことのないもろい部分を「大丈夫だよ」という力強いメッセージで突かれたんだと思う。源さんの本気の言葉に触れて、それがあまりに頼もしくて、安心できて、深いところで緊張していた心がほぐされて、泣いてしまうのだ。
あえて例えるなら、「迷子になっても気丈にふるまっていた子供が、家族と再会できた瞬間にほっとして抑えきれず泣きだすような」感覚だ。この感覚が一番近いと思う。
人間は独りだけど孤独じゃないよと本気で言ってくれているようにも感じるし、いろいろあるけど乗り越えていこうよと力強く訴えてくれているのが伝わってくる曲だ。陰と陽の自分をどちらも引き連れ、過去と現在を全部引き連れ、力強く未来へ。
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1曲だけの配信でよかった。「1曲だけ」で「真夜中の配信」でよかった。心からそう思いながら配信当日は眠りにつき、朝起きたらMVが公開されていた。午前4時という朝方に公開されたというのがまたすごい演出だと思った。新しく始まるよ、という確かなメッセージに思えた。
その撮影風景ごと舞台として見せてしまうアイデア満載のMV。「イエローミュージック」を意識して作られた作品たちのジャケットカラーの背景がどんどん切り替わる。最後は真っ白な背景の前で自由に動き、踊り、駆け出す源さん。この人はどこまでも「ものづくり」を楽しむ人なんだと改めて思わされた。
「アイデア」を聴いた後の世界では、私まで新しく生まれ変わった気分だった。私も軽やかに駆け出したい。源さん、すごい曲をありがとう!MVの最後は相変わらずで、やっぱり笑っちゃったよ。
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