第一三共が新型の抗がん剤(ADC)を発売

第一三共が、今日、乳がんを適応対象とする新型抗がん剤「エンハーツ」を発売しました。この薬は、抗体薬物複合体(ADC)といわれるタイプの医薬品です。がん細胞を殺す「抗がん剤」とがん細胞(細胞表面に発現しているHER2というタンパク質)に結合する「抗体」がつながった構造をしています。抗体が抗がん剤をがん細胞までデリバリーし、がん細胞だけを殺すため、副作用は小さく、大きな効果を発揮することが期待されます。ミサイル療法と呼ばれる治療法になります。大型化が期待されており、ADCで2025年に世界首位になるとの見方もあるようです。

実は、このHER2というタンパク質をターゲットにした抗がん剤は、ペプチドリームも研究開発を進めています。ペプチドリームの場合は、ADCではなくPDC(ペプチド薬物複合体)です。キャリアペプチドが抗がん剤をがん細胞までデリバリーし、がん細胞だけを殺す仕組みです。ADCと同様、ミサイル療法と呼ばれます。

このキャリアペプチドは、JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)とパートナーシップを結んで、宇宙でそのHER2との結合様式を詳細に研究した期待の化合物でもあります。

ペプチドは抗体よりも遥かに分子量が小さいため、取り扱いが楽で、安価で生産できるというメリットもあります。一日でも早い上市が待ち望まれます。


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