ペプチドリームが新型コロナウイルス感染症の治療薬開発についてリリース(2020/4/30)

低分子医薬品、抗体医薬品に続く次世代のモダリティとして期待の高いペプチド医薬品の世界的なリーダーであるペプチドリームが、4/30に新型コロナウイルス感染症の治療薬開発に関するニュースリリースを出しました。今回の取り組みは、今流行しているコロナ禍に間に合うものではないのですが、新型コロナウイルスが更に変異を繰り返して将来的に人類に新たな脅威を与えうるような状況になったときに未然に対応することが可能な治療薬として期待できます。

また、今回の取り組みは「3つの作用機序」で開発を進めるという、画期的な創薬プラットフォームを有するペプチドリームならではの離れ業となります。

作用機序1.コロナウイルスのスパイクタンパク質のS2領域を阻害

S2領域は高度保存領域であって、ほとんど変異しません。というか、変異はするのでしょうが、S2領域が変異するとヒト細胞へ侵入できなくなるので感染力がなくなるのでしょう。そのS2領域を阻害することでコロナウイルスを無力化する治療薬を目指すものです。

作用機序2.コロナウイルスのスパイクタンパク質のS1領域を阻害

S1領域はヒト細胞側の受容体(ACE2受容体)と直接結合する領域です。そのS1領域を阻害することで受容体と結合できなくなり、ヒト細胞へ侵入できなくなります。

作用機序3.免疫細胞(もしくはウイルスを不活化する化合物)をコロナウイルスにデリバリー

「免疫細胞を誘導する化合物」と「スパイクタンパク質(S1領域もしくはS2領域)に結合する化合物」をハイブリッドさせたPDC医薬品(peptide drug conjugate)の開発です。自らの免疫システムを活性化することでコロナウイルスを排除する仕組みです。


今回の取り組みは、将来のパンデミックへの備えとして大いに期待したいです。日経新聞の記事(2020年4月30日)によると「2021年の治験入りを目指す」とのことです。実用化に向けて複数のパートナー候補との間で協議を進めているとのことですので、どの作用機序でどこと組むのか、発表を楽しみに待ちたいと思います。



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