見出し画像

私と北海道

ビジネスの出会い。
それは一般的に、仕事をしてきた中で、出会った人達のことを示すのだろう。

ビジネスの出会いの中で、私の人生に影響を与えてくれた人達との出会いは、本当に沢山あって。
とても有難いことに、私は人との出会いには本当に恵まれている。

出会った方と楽しい時間を過ごしたり、励みになる言葉を貰ったり、尊敬し憧れたり。
はたまた、一見嫌な出会いに見せかけて、人生の教訓となる学びを、その方と付き合う中で吸収していったり。

この場を使って、人との出会いの話を書きしたら、キリが無いのである。

そこで今回は、社会人1年目の未熟な私を、その雄大さで包み込んでくれた「北海道」という、土地との出会いについて書こうと思う。

「北海道で酪農の仕事をしよう。」

そう決めたのは、大学4年生の3月。
卒業を目前に控えた時期で、周りの友人達はとっくに就職活動を終えて、卒業旅行に飛び回っていた。

「北海道」と、私が決めた理由はとても単純。

動物園で飼育員になりたかった私は、一般企業への就職活動はほとんどせずに、遠い夢に口ばかり達者で、大きな理想を語っていたのである。

そんな達者な私も、就職が決まらないまま、その年度に飼育員になる道が隔たれてしまい、どうしたもんかと考えていた。

そんな中、出した答えは「牛が好きだし、酪農ヘルパーをやろう!」
「やるならやっぱり、酪農王国の北海道だなぁ!」というもの。

北海道のローカルテレビ番組、「水曜どうでしょう」の大ファンだということも、北海道を選んだ理由に含まれている。

現地での生活や何やら、詳しいことを全く考えずに、北海道を選択する自由奔放さというか、無鉄砲さが半端ないと自分でも感じてしまう。

この頃から12年経った今でも、無鉄砲さは相変わらず持っているので、そういう性格だと自分の中でも対処したりして。(微笑ましい目で笑ってね。)

十勝地方を選んだ理由は忘れてしまったが、おそらくこれも「酪農やるなら十勝でしょ!」という、本場を求めての浅はかな選択だったかもしれない。

しかし、この無鉄砲で浅はかな、12年前の私のおかげで北海道と出会えたので、この性格にも感謝しているのである。

人手不足の酪農業界。
こんな浅はかな理由を持った私も、スムーズに採用を決めることができた。ありがたや。

面接を行い採用が決まった日にちは、忘れもしない2011年3月11日。そう、東日本大震災の日だった。

そこから震災後の混乱の中で、大慌てで引越しの準備を行い、大学の卒業式とお世話になった方達への挨拶を済ませた。
そして、4月1日の入社式に間に合うように、住まいも決まらぬまま、北海道行きの飛行機に飛び込んだのである。

新卒の社会人1年目で、初めての一人暮らし。
友達や知人がひとりもいない、遠い北海道という土地に、21歳の私は身を置くことになった。

自分で料理を作ってみれば美味しくないし、他愛もない会話ができる友人もいない。
それに加え、田舎という想像以上に何も無い生活。

地元に帰りたいと、何度も寂しさに溺れそうになったことか。

そんな中、胃腸炎で体調を崩してしまった。病院に通っても症状は良くならず、仕事に行っても腹痛と吐き気で、使い物にならず八方塞がり。

自分の力ではどうにも出来ず、会社の上司に相談をして、地元に帰って治療させて貰うことになった。

北海道から羽田に向かう飛行機の中で、「もしかしたら、もう北海道へ帰ることはないかも」と、ぼんやり願ってしまったことを今でも記憶している。

それから半月ほど経ち、地元にて胃腸炎の治療を済ませた私は、少しだけ強く成長していたように思える。
何かが吹っ切れたような、すっきりとした表情をして、再び北海道行きの飛行機に乗り込むことが出来たのである。

無鉄砲で浅はかな私が、勢いで選んだ北海道だけれども。
本当は北海道を大好きになりたくて。
嫌な思い出だけを残した土地にしたくなかったから。

そんな再起を持った私に、北海道はとても優しく雄大な心で、受け入れてくれたのである。

文章には表現しきれない程の美しい景色や空気、自然が育んだ最高の味覚、北海道のように広くおおらかな心を持った人達。

嬉しいことも楽しいことも、辛いことも悲しいことも。

人生を鮮やかに彩る日々を、北海道は私に与えてくれました。

北海道を離れて9年経った今でも、私の第二の故郷であり、かけがえのない大好きな場所。

そして今度は、私から北海道のために、「何か」出来ることはないかと、再び歩み寄ろうか。何をどうすべきか、焦ったく日々を過ごしている。
その「何か」が何なのか、答えはまだ出ていないけれど。

今、目の前にある点を、一生懸命に打っていけば、その点が線になって、いつか北海道に通じるように。

北海道に恩返しができるように、今日も一歩ずつ歩み寄ろうと、noteを書くことで点を打ってみるのである。

無鉄砲で浅はかな私が、ビジネスで選び出会った北海道と、それ以上の関係が築けるよう願って。

いいなと思ったら応援しよう!