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【11月読書記録】「三行で撃つ」に心臓を串刺しにされた
今月も、この1か月で読んだ本の感想をまとめました。
だいぶ読書が習慣化してきたものの、最近はだらだらスマホが復活……。目的がないのにロックを解除してしまう癖、本当にやめたい。
本の感想を書きながら、気持ちがまた読書に向くことを願います。
三行で撃つ(近藤 康太郎)
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読んでいるあいだ、感情が上下左右に振り回され続けました。
初めて本書を手に取り、何となく開いたのが以下の部分。
〈女子の京都ひとり旅。お茶屋さんでひと休み、玉露をいただく。湯の玉を舌先で転がすと、思わずほっこり、癒やされる。〉
風邪でもひいたのかな?寒気がする。それぐらい、いやな感じ。
この「女子の京都ひとり旅~~~」って、私の文章のタイプそのものだったから、心臓を串刺しにされた気分だった。
日頃、いかに常套句やオノマトペに頼ってきたか気付かされる。いかに表現に関して楽をしていたか。まだまだ人間としての厚みが足りない。
今まで、見て見ぬふりをしてきた課題を言い当てられて、痛かった。
とてもじゃないけれど一気に読めず、やわらかい文体の青山美智子さんの小説を挟みながら、何とか完読。
良い意味で反省させられました。
母ですが妻やめました(とげとげ。)
子育てに自信のもてない、主人公の理恵。ママ・パパ友や職場の人と関わるなかで成長する姿を、リアルに描いたコミックエッセイです。
私自身も、母親に向いていないと思っている部分があって。特に、娘が小学校に上がるくらいまでは、周りのママやパパと比べて落ち込んでいました。
理恵と同様、子どもを通して人と関わるうちに、少しずつ楽に考えられるようにはなったけれど。
改めて、「育児」は「育自」だなあって思います。
あと、離婚を考え出してから、行動するまでの自分の心境と重なる部分も多かったな。いつのまにか理恵が過去の私に見えてきて。
今までよく頑張ったねと、自分を褒めてあげたくなりました。
虫と歌(市川 春子)
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一万円選書に入っていた一冊です。
初めて出会うタイプの本で、かつてない世界観に、思わず動揺。
たとえば「星の恋人」では、自分の指から誕生した妹への想いが表現されています。
「え、指って、どういうこと!?」と、一度読んだだけでは理解できず……。
普段なら、マンガは15分くらいで完読する。でも、この作品は短時間じゃ読めない。読み終わったら、考えて、何日かしてまた読み直し、考える。
ジャム作りみたい。じっくり煮詰めて、ようやく完成するような。
作者の伝えたいメッセージをどうしても知りたいと思うから、自然に繰り返し読んでしまう。
それでも、まだ100%は理解できていなから、間をおいて、また読もうと思っています。
月曜日の抹茶カフェ(青山 美智子)
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「木曜日にはココアを」の続編です。異なる人物の視点で語られる物語が詰まっています。
何かひとつでも条件が違っていたら、出会えていなかった人たちがたくさんいる。始まりも終わりもなくて、つながりのなかで生きている。
ちなみに、この本は、お世話になっている図書室の、ひとはこ本棚のオーナーさんが貸してくれました。
彼女とも、偶然が積み重なって出会えたんだなあと思うと、より物語が自分事に感じられた。
改めて、今目の前にいる人たちを大切にしたくなる。抹茶を飲んだときのような、しみじみと、味わい深い一冊でした。
ひと(小野寺 史宜)
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父親を交通事故で、母親を突然死で亡くし、二十歳で独りになった聖輔。空腹のあまり立ち寄った総菜屋で、見知らぬおばあさんにコロッケを譲ったところから、人とつながっていくストーリーです。
物語のテーマがシンプルだからこそ響きます。先のことも大切だけど、いつ終わるか分からないから今も大切、という考え方に共感しました。
何より、聖輔の生き方がかっこいい。人は一人では生きていけないこと。つながっていること。生きるための土台を、彼の姿から見た気がします。
いつかの岸辺に跳ねていく(加納 朋子)
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幼馴染みの男女による青春ストーリーかと思ったら、そんな単純なものではなかった。
言葉にしなければ伝わらないことはたくさんある。一方で、言葉にしなくても見てくれている人がいるのも事実。
大切な人を思いやる気持ちがもつ、強さを感じました。
そうそう、登場人物の徹子の姿が、私の好きな漫画「東京リベンジャーズ」の主人公、武道と重なった。誰か共感してくれる人、いるかしら。
11月の読書記録はここまで。
何の本読もうかなあと悩んだとき、ぜひ参考にしてみてくださいね!
▼これまでのの読書記録はこちら
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