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森の中で羽化をした。【B面】

こんにちは。
春乃です。

本日はですね、先日書いた山撮影の記事

こちらの作品以外の部分に触れた内容を書いていこうと思います。

出発は午前1時。
春乃の車で、常磐道に乗って。
BGMは春乃のお気に入りを詰め込んだ、昭和プレイリスト。

夜の高速道路と昭和歌謡。良い雰囲気です。
ジュリーに酔いしれながら運転をする春乃。

午前2時過ぎ。
SAにてあおさのうどんを食べる。

この腹ごしらえが無かったら。と思うと恐ろしくなる。
このうどんがあの日の春乃のエネルギーを作ってくれたと言っても過言では無い。

高速道路を降りて、しばらく走ると田舎道。
人気は無く、道は細くなる。
ここにきて流れる「赤いスイートピー」。
松田聖子さんの楽曲の中では特別大好きな曲なのに。
この状況で流れられると曲のイメージと相反し過ぎてなんとも不気味な雰囲気になってしまう。

更に進み、山道へ。
道は細く、ガードレールの無くカーブの連続。
不安にもなりそうになる山道で突如流れるあの軽快なイントロ。
「Romanticが止まらない」
またしても春乃のプレイリストは状況に不釣り合いな音楽を流してくる。
しかしなんだか楽しくもなってきた。
「ハイスクールララバイ」を口ずさみ、ハンドル捌きも調子が良くなってくる春乃。

駐車場まで後少し。
ドリフ→ピンクレディーときて、ゴキゲンなリズムのままここまで来た。
暗闇の山の雰囲気も怖くなくなってきたよ。
そして流れるは「心の旅」
…今ですか?
暗闇の山道で、一気に感傷的な気分にさせられる。
そして見えてくる駐車場の看板。
「心の旅」の終盤の大サビを聴きながらセンチメンタル・バックで車を停める。

午前4時。
我々のクレイジーな登山が始まる。

車から降りると辺りは真っ暗。街灯など無い。
懐中電灯ひとつの灯りを頼りに歩き始める。
【健脚コース→】と書かれた看板を見つける。
我々は健康な脚を持っている。
健脚コースの入り口から、真っ暗闇の山へと足を踏み入れた。


大きく広がり表に姿を見せている木の根。
木の幹をねっとりと這う樹液。
不可思議な伸び方をした木の枝。

我々は森が見せる大自然に嬉々として撮影、登山をした。

だんだんと険しくなる山道。
ロープや鎖があると「こちらで合っているんだ」と安心できる。
それらを頼りに険しい斜面も登り進めた。

そして辿り着いた、岩場。

ここが頂上なのかな?と一瞬思った。
しかし左を見れば鎖はまだまだ上へと続いている模様。それも岩山。

そこから先は、あまりにも壮絶だった。
ボルダリングなのか?と思うくらいの急斜面を、鎖を握り締め 踏ん張りながら登る。
子供の頃空手の先生に「春乃は足腰が強いな!」と褒めてもらっていた、この自慢の足腰が十数年ぶりに役に立っている。
呼吸は荒れ、汗だくになりながら我々は登る。
まるで某栄養ドリンクのCM。春乃はケインコスギさんの気分。

カメラマン・川村さんも写真の撮影をする余裕など無い。

春乃は例のシースルーのガウンがひらひらと邪魔になるため、裾を前で縛り「ヨシ!」などと気合を入れていた。
何が「ヨシ!」なのだろう。
装備も何も無く、このシースルーの布一丁の女が。

幸い誰とも遭遇しなかったものの、万が一登山の方と遭遇したら自殺志願者 もしくは幽霊だと思われるのではないか。
トラウマものである。

登っても登っても現れる、壮大な岩の壁と鎖。
それらを幾度も乗り越えて、遂に頂上へ。
正直もう撮影以上に登山での達成感でいっぱいだった。
登り切ったのだ、我々は。
お互いに諦めの言葉など一切漏らさずに。

そこで目にした「一般コース」の看板。
一般コース、とは。
我々が登ってきた険しい岩山は何だったのだろう。
他ならぬ、「健脚コース」である。

達成感に満たされた気持ちで山頂でヌードになり
そして「羽化」した春乃は伸び伸びと下山した。
もちろん一般コースで。

限界などとっくに超え、疲れ果てた我々は駐車場へと辿り着く。
車に乗り、流れた音楽は「今日までそして明日から」
吉田拓郎さんの歌詞・メロディーが沁みるのを感じながら、明るくなった山道を下った。

町に降りてきて入った定食屋さんにて。
腹ぺこでごはんを待つ春乃。

※軽装備での登山は非常に危険なので、決して真似をしないでください。


2022.11.4 春乃ミア

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