くるま
最近はじめて告白といふものをした
彼女は少し離れたところに住んでいるので
基本連絡はLINEや電話でしていた
電話にいたっては
長い時には5時間くらいしていた
お互いの休みが合うのは月に数回程度で
すでに下旬に入ろうとしていた今月も
まだ会えていなかった
久しぶりに会える日
前日の夜もまた電話をしていた
当日になり
片道2時間かけて
彼女の地元へ向かった
駅の待ち合い室にいた彼女を
駅で車に乗せてデートが始まった
ここらへんでデートする場所といっても
イオンくらいしかない
とりあえずフードコートで飲み物でも飲もうか
そう言ってイオンを歩いていた
イオンを歩いているときに
彼女が日頃お世話になっている
職場のお姉さんにばったり会った
まだ彼氏でもなんでもなかった自分は
彼女の背中に隠れながら挨拶をした
イオンで休憩したあとは
灯台のある岬へ向かった
ムードのあるところといえば
ここかなぁと自分でも思っていたので
ここで告白をするつもりでいた
おしゃれなベンチに座りおしゃべりをしたが
なかなか切り出せない
困ったので海岸を歩くことにした
シンプルに海風がとても寒い
気付いたら車に戻っていた
ここで車を動かしたら
ご飯を食べて解散してしまう
そう思った
停まったままの車内
話を切り出そうと雑談をした
これがなかなか告白の流れに持っていけない
もう耐えかねてご飯の場所の話になった
「じゃあ行こうかー」となり
自分は車のエンジンをかけ
サイドブレーキを外し
ギアをパーキングから動かした
けど告白するまで車を動かすつもりはなかった
すぐパーキングに戻し
サイドブレーキを踏み込んだ
そしていままでの雑談を
全てをリセットしたかのように
「話さなきゃいけないことがある」
そう話を切り出した
告白をし終えると
また雑談を１時間くらいした
これからを考える上での
お互いのルールや
お互いの環境を話し合った
役目を終えたサイドブレーキを外し
二人は夜ご飯へと向かった
ちなみに
彼女とLINEを交換し
最初に送った言葉は
「くるま」だった
それくらいお互いが初めて会ったときから
「くるま」は話題の中心だった
そんな「くるま」が今回
またよい動きをしてくれた
夕食を終え
2時間かけて東京へ帰った
その日
自分ははじめて彼氏になった
これが自分の最初で最後の
告白した時の話である