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見えない価値

水上コテージのベランダで
横たわりながら
ただただ時間が過ぎるのを待つ

これほどの贅沢な時間を
あれほど豊かな国である
日本では味わったことがない

そんな夢のような時間にも終わりがある

重いスーツケースをガラガラと引きずって
なんとかチェックアウトを済ませた


時間はまだ正午
フライトまで5時間はある

そんなことは知りつつも
空港までやってきた

前の時間に出発する便に
乗るつもりだったからだ


といっても
前の便に変えられるかはわからない

しかし母は異様に強気だった

「もし無料で変えられなくても
空いてたらその便の航空券取っちゃおう」

それくらいのテンションで
長い長い搭乗手続きの列に並んだ


その長い待ち時間のときに
お金の使い方の話になった

「航空券って高いんじゃないの?」
そう自分が母に聞くと
「短いフライトだからあまり高くないよ
そして、時間はお金に変えられないでしょ?」
そう母は言った

たしかにここで早めの便に乗ることが出来れば
次の行き先地であるクアラルンプールで
長めに観光が出来るかもしれない

母は
得られる時間の価値と航空券の価値を比べ
航空券のほうが安いとみたらしい

自分も異論は無かった

続けざまに母は語る

「我が家は有形よりも
無形のものにお金を使ってきたのよ

我が家は基本的に
時間、教育、体験に
制限なく出来るだけお金を使ったのよ

これが我が家の基本方針」


そんなことを話してるうちに列が進み
自分達の番になった

カタコトの英語でなんとか伝え
前の便に変えてもらうことが出来た

お金はいらなかった


時間、教育、体験
これら無形のモノに
家族はいままでいくら使ったんだろうか

おそらく自分が認知してるよりも
もっともっと大きな話かもしれない

家族はそれを
浪費のつもりで使ったわけではないだろう

それが浪費になるか投資になるか
これからの自分次第なのかもしれない

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