毎週ショートショートnote:仕掛けられた幸福
#秋の空時計 お題Tryします。
この世には春夏秋冬がある。今は秋。空の青も淡くなり紅葉が似合う季節となった。そんな季節に、ひとつ仕掛けをしようと思う。
時計。時間を読むための時計ではない。人々が時間を忘れるための時計だ。時計盤は時刻を示さない。空と、空を泳ぐ赤色の葉と同化し、地上の人たちには見えない。時計の針は時間を刻まない。ぐるぐると無秩序に廻る。回り廻る、人の心のように、秋の空模様にも似て。
「ねえねえ、お母さん。見て、葉っぱたちがダンスをおどっているよ」
「あら、まあ。きれいねぇ。くるくると回っているわ。あなたには葉っぱが落ちてくるところが、ダンスに見えるのね」
「うん。だって落ちるんじゃなくて、泳いでいるんだもん」
微笑ましい会話をする母子が見えた。秋の空時計は正確に針を刻んでいるようだ。今回の仕掛けも成功したようだと、わたしはほっと胸を撫で下ろす。
「代表がお呼びだぞ」
同僚から声が掛かった。
わたしは天空の使い。人を夢幻に惑わすための。
拙稿題名:仕掛けられた幸福
総文字数:410字(原稿用紙1枚半相当)
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