次はお前だ。【パルプ小説習作】
要領を得ぬままに、「逆噴射小説大賞2023」の応募期間が終わりました。ならいっそ2024への準備として#パルプ小説 を書いてみるか。そう思い以下を。みん杯でも遅刻💦した私、それも良かろうかと。もしよろしければ。
弾丸の雨、などという台詞は奇麗事だ。これは早い者勝ち、殺らねば自分が殺られる。屍とならぬため、生にしがみつく為に、俺は撃鉄に指を掛ける。弾が発射される瞬間の反動で銃口が上に跳ね上がることがなくなったのはいつからか。それだけ俺は、人を屠ったのだ。
「おい、まだ生きてるか」
「ああ、何とかな。お前が亡霊でなければ、の話だが」
洒落にならねぇこと言うなよ。
戦友と呼ぶのもこれまた奇麗事になってしまうほど、煤にまみれた男ふたりが声を掛け合う。相手に言っているようで、自分に言い聞かせているかのようでもある。
ピィーと呼び子が鳴る。突撃の合図だ。さて行くか、生き残るために。俺は匍匐した体を持ち上げ、地を蹴って走り始める。土埃と硝煙が眼前を覆う、荒野の向こうへと。
目の前が閃光で覆われ、視界を奪われる。気付けば、体は空を舞っていた。重力に抗えぬ俺の五体は、直ぐに地へと叩き付けられた。
- - - - -
「あなたは、一体何を考えているのよ!」
一時帰宅した俺を玄関先で出迎えた妻が、その言葉と共に雑巾を俺の顔に投げつけてきた。咄嗟にそれを受け止める。
「何よ!せめて一発食らったらどうなの!この弱虫!これくらい…..この程度さえ遠ざけるのね!!」
いきなり何を言ってるんだ、お前は。
その言葉を呑み込む。無理もない。一年も音信不通にしておいて、前触れもなくいきなりの帰宅。出迎える心の準備などできていなかっただろう。
分かっていたのに、俺は帰宅の一報を入れなかった。
「結局、どうでもいいのよ、あなたは。私も息子のことも。家族そのものを、一度も見ようとしない」
怖かったのだ、俺は。その言葉を告げられることが。
「それで、次に帰ってくるのはいつになるの?」
帰宅早々、次への疑問。見抜かれているのだ。
俺が戦場へととんぼ返りするのを。俺はその問いに答える。
「多分、早くて、半年後だ」
(続く)
参考参照として、企画様の記事をリンクします。
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