【毎週ショートショートnote】ラプサンスーチョン4分33秒。
#毎週ショートショートnote #カフェ4分33秒 参加します。
行きつけの店、いつもの席に腰を下ろす。
入り口から二番目のテーブル、席は窓際。
待ち合わせのとき、先に着くのはいつも私だ。
「お待たせしました。ご注文のラプサンスーチョンでございます。ごゆっくりどうぞ」
店員が優雅な所作でテーブルにティーポットとカップ&ソーサーを置いた。
ラプサンスーチョン。紅茶の茶葉を松葉で燻して着香したフレーバーティで、紅茶の中でも最も癖が強い茶葉として知られている。人によっては「これ、正露丸の味がする」と言って顔をしかめるくらいに。彼もこの紅茶の香りを嫌う。「そんな焦げ臭い紅茶、何で飲むんだよ」、そう言って。
分かっていないなぁ。この紅茶の蒸らし時間は4分以上掛かる。それ以上待たなくちゃいけないでしょう?あなたのことを。
カラン、と古風なドアベルが鳴り、彼が店の中へ入ってきた。ちょうど4分33秒経った。侵出したお茶をカップに注ぐ。
「また飲んでるのか?正露丸茶」
「失礼でしょ、お茶にもお店にも」
拙稿題名:ラプサンスーチョン4分33秒
本文字数:406字 原稿用紙1枚相当
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