祈りを代わる者が聞く声は。【毎週ショートショートnote|お題「祈願上手」】参加記事
今の世には「代行業」が多く存在する。市場ニーズに対応し、最先端の技術を取り入れたものが目立つが、中には古風なサービスも存在する。それが「祈願上手」である。
神社仏閣が市街地から遠く離れた場所に移築された現代。多忙な日々の中で何かの祈祷や年越しの二年詣でに足を運べぬ人が出てきた。その願いを請け負い、神社仏閣で祈願するのが祈願上手スタッフの仕事である。
などという、若く希望に溢れた願いなら、祈願代行もやり甲斐がある。だが……
……自分の生活、人生を充実させたらいいのに。代行人はひっそりと溜息を付く。こうした依頼はスピーディー=祈願時間の短縮を心がけるが吉である。呪い返しにあっては見も蓋もないからだ。
以下、とある事例を端的に記す。
ある代行人がいた。代行者がどの案件を担当するかは、基本提供業者が選定する。無論、代行人の実績等をポートフォリオにまとめ、依頼者に見せることが最初の打ち合わせであり、依頼者は、そこで別の代行人を選ぶように依頼することもできる。
そうしたキャンセルが皆無の代行人である。キャンセルされぬことはままあるのだが、彼女がそつのない仕事をする証でもある。
その彼女と依頼者の顔合わせ、1回目のことだった。
「あ、あの!良い感じだなと思っていました。僕と付き合ってください!!」
祈願上手が祈願された。こうした事例に対するノウハウは存在するが、ひとまずは様子見するのが通例である。さてどう出るか、と彼女の上司が見守る中、代行人の彼女は、その綺麗な唇を開いた。
「さようでございますか。お客様が神社詣でをされるならば、私の出番はございませんね。今回はキャンセルされるということでよろしいでしょうか?」
ぼかーん( ゚□゚) の顔文字そのままの表情をした依頼人の男性を見つめながら、代行サービス社、1番の美麗な女は、その言葉と共にアルカイックスマイルを浮かべていた。
拙稿題名:祈りを代わる者が聞く声は。
総字数:867字
少々長くなりました<(_ _)>よろしくお願い申し上げます。
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