為すことの・・・
短歌十首です・初出は短歌同人誌『凛』。先述の『弓弦』のメンバーが
中心となり発刊、事実上の「弓弦最終刊」となりました。
主立ったメンバーとは今も交流があります。
筆友であり、師でもある皆に感謝を込め投稿します。
例えれば火曜の午後の雑踏で私を抱く(いだく)覚悟はあるか
それぞれの手の愉しみに開かれて閉じられていく花の澱みは
慰めの手をすべらせて首にかけ 続きは無しと決まっていても
いつまでも微笑みだけのきみがいて『偽』の字の偏と旁のままに
薄皮にしか届かないやさしさが剥ぐいちまいの皮膚のあわれさ
終えたあと背中で安堵するきみの流謫のような今夜の刻(とき)は
泣き顔に先着順のあることを知らず易々傷ついている
傍らに苦さを外し置いたきみはまぶしくてもう何も見えない
偉大なる御方(おかた)の訳した「愛」などは
この頭(ず)の上を吹き過ぎる風
安らぎの顔を切り取り君に投げ奔る 今こそ醜(しゅう)に目覚めて
初出:『凛』2000・10.01
拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。