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柔道で愛を交わす【毎週ショートショートnote】参加記事

裏お題:愛にカニばさみ 参加します。

「一度試してみたかった。禁止わざだから、稽古場や試合では掛けられない」

柔道着に身を包んだ人が私を見つめてそう言った。私は頷いて答えを返す。

「あなたから技を掛けられるなら喜んで。私にとってもいい鍛錬になる」

早朝4時、私たちの他には誰もいない道場。蟹挟み。柔道では禁止されている。掛けられると悶絶するほど苦しいという。私はそれに耐えられるだろうか。耐えてみたい、その相手が愛しの君ならば尚更に。

彼が私に蟹挟みの技を掛け、私はそれに耐えた後でそれを払いのけた。

「よく耐えたな。見事だ」
「何とかね。では、次はこちらから参ります」

シュッ、バタン。
無音だった道場、その畳に打ち付けられた彼の体。大外刈り、一本。

ありがとうございました。
一礼をした後、私たちはお互いを見つめ合う。
愛する人が掛けた蟹挟みに私の技が勝った瞬間。これはどちらの愛が勝ったのだろうかそういう問題か?と言う天の声が聞こえた、気がした。


拙稿題名:柔道で愛を交わす
総字数:401字(原稿用紙一枚強)

たはらさん、二周年おめでとうございます💐

以下、フリー素材を技の参照として👇

蟹挟み 作者:ヘイヘイさま(写真AC)


大外刈り イラストAC  作者: うどん様

23:21追記:ご感想で「蟹挟み」を危険と綴った記述に疑問を頂戴したので補足します。柔道に関してである点、題名に配慮を欠いておりました。お詫び申し上げます(内容の一部の変更及び改題しました)以下参考サイトを👇️

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春永睦月
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