「仕事」を再定義する:知能を除いた人間性とは何か?」〜Innovative City Forum@六本木ヒルズアカデミー-20181019
NewsPicksアカデミアの招待枠をいただき、Innovative City ForumのDay2「21世紀型テクノロジー社会とライフスタイル」に参加させていただきました。その場でパソコンに打ったものを記載しているので、一部表現が足りなかったり、解釈が間違っているものもあるかと思いますが、ご了承ください。
〜コンテンツ内容〜
13:30 - 14:15全体会議(オープニング)メイン会場
14:15 - 15:25ブレインストーミング(分科会)
テーマ1 「仕事」を再定義する:知能を除いた人間性とは何か?
テーマ2 シェアリングエコノミー、Gig Economy、地域資本主義の
台頭は新しい時代の経済をつくるのか?
テーマ3 変革期に求められるのは「弱い」リーダーか?
テーマ4 超格差社会の貧困はテクノロジーで緩和できるか?
16:00 - 17:00全体会議(フィードバック)
まず、会場の年齢層が幅広くて(学生さんからリタイヤした人まで20代〜70代までいそう)、全体的に経済界のリーダー的存在のみなさまが集まっている印象でした。ちらほら各媒体でお見かけするお顔もいたり。意外とカオス感があるなぁという印象。
13時〜の全体会議では、竹中平蔵さんと藤沢久美さんを中心に、分科会のモデレーターを担当する4名(NewsPicks佐々木さん、Business Insider Japan浜田さん、ハフポスト竹下さん、メディアアクティビスト津田さん)のメインテーマである問いについて、会場に向けてネットアンケートが行われました。
分科会1に関するお題は
「2030年に自分がいま就いている仕事はなくなっていると思いますか?」
なんと89%の人は「無くならない」と回答。これは本当でしょうか・・・?結構楽観的に見ている人が多いなという印象を受けました。これ、年代別でも知りたいですよね。20代と50代以上だと、危機感が違うと思うんだよな・・・。ちなみに、私の仕事(デジタルストラテジスト/コンサルタント)は2030年までには無くならないんじゃないかなと思っています。なぜなら、あるデータをもとに付加価値をつけて提案する仕事だということと、そもそも日本でデジタルマーケティングの必要性は中小企業やスタートアップに対しても必要な支援になると思うので(情報の内容は変われど)。
さて、続いて分科会2へのお題は
「今の資本主義が2030年まで継続したほうがいいと思いますか?」
88%の人が今の経済と違う仕組みがあるといいと思う、と回答。これはBI(ベーシックインカム)の話もそうですし、労働人口が少なくなり、機械による自動化が進む中で何を価値として経済的な金銭的享受を受けるかというところでも議論が色々深まるところだと思います。答えがない領域ですが、今の仕組みではいけないというのを9割近くの人が危機感を持っているというのが印象深かったです。(そして、そのうち何割の人が変革者になるのだろう、というところがポイント。)
続いて分科会3の問いは
「今後2030年までに起こるテクノロジーによる社会の変化に自分はついていけると思いますか?」
66%の人が「テクノロジーによる社会の変化についていける!」とポジティブな回答。こういうセッションに参加されている方々なので、比較的高い数字は出やすいところではありますが、これも年代別や職業別に見るとだいぶ数値が変わってくるのだなぁと想像していました。例えば、意外と50代のおいちゃんのほうが「俺は今までついてきたからこれからもいける!」と思っている人が多く、若者のほうが「ついていけない・・・」と思っているのではないかと思ってみたりするのです。本当に年代別のデータが欲しい。
全体会場から4つの分科会に分かれて移動です。私が参加したのは、テーマ1の【** 「仕事」を再定義する:知能を除いた人間性とは何か?**】。
おなじみNewsPicks佐々木さんのファシリテートで、東大の松尾先生、ハピキラの正能さん、立教大の奥野先生、そして吉本興業からインパルスの板倉さんもご参加!(ちゃっかり松尾先生の隣に座ってしまいましたw)
まず先陣を切ったインパルス板倉さん曰く「お笑い芸人は、生きていく上で仕事として必要ではないと思っている」との衝撃発言!なぜかというと、大震災の時にお笑いを作りながら、これって平和な世の中だからある仕事で、根底は食べ物を作る人、運ぶ人、自衛隊くらい?他の仕事は生きていく中で必要か?と思ったとのこと。必要とされてないと思ったからこそ、逆にお客さんに感謝できるようになった、とおっしゃっていました。
そして松尾先生は「8割方の仕事はいらない。部族ごっこ。例えば、ビールのシェアが伸びた、下がったと言ってももう結構おいしいし、実はそんなに企業努力しなくてもいい。それでも争うのは、本質的に集団で敵と戦うのが人間。余裕ができると部族ごっこをやり始める生き物。スポーツもそう。余裕がある時代にやり始める。AIが生産を担うようになっても、仕事は無くならず部隊を作って戦うのは変わらない。これを我々は仕事と呼ぶ。働き方改革は部族性が強い。過度なので多様性を認めるべきで、そうじゃない人も生きやすい世の中にする。AIが進めば進むほど本能の通りに進んでいく。」
某銀行に勤務されている方曰く、「銀行は青赤緑あるが、違いがそれぞれほとんどない。なので争いは全く意味がないが、部族争いをしている。実は、実験をしたら融資判定でAIの方が結果はよかった。例えば、100人しか出ないローンが103人出たなど。キャッシュレス化で窓口の仕事は減るし、仕事も商品も他社と差別化されていない。今は新しいタイプの銀行員を作り出すアクションをしている。」これはちょっと期待。
ハピキラ正能さんの発言がとても素敵で「地方にあるお菓子をパッケージを変えて出すというのがある。例えば、小布施は仕事に『勤め』と『稼ぎ』という2つの定義がある。自治体のおじさんが集まるとみんな言っているので共通で言っている。稼ぎはお金を稼いで食べていくこと、勤めは町のお祭りに参加したり、コミュニティにコミットすること。勤めはプロセスなので、仕事がそっちによっていくのではないか。」まさしく人の「仕事」は「志事」になっていくのですよね。
そして、松尾先生からはこんなコメントも。
「仕事には進化由来と知能由来があって、知能は機械に代替されるが、知能以外に人間が持っている性質・特質をよく見る必要があり、それが仕事として価値が出てくる。銀行業務はほとんど自動でできるが、顧客との信頼や関係、困っている時に手を伸ばすのが価値だが、今はそういうのが(無料)サービスになっていて金利で儲ける仕組みになっている。今後どうやって逆転するようなお金のいただきかたをするのか。サービスが有料になると日本人は・・・?」
アメリカで何かしらサービスを受けるときは必ずチップを払う習慣があるけど、日本は「やってもらって当たり前」だもんな・・・。それが付加価値としてマネタイズするという『文化』まで昇華させるのはなかなか難しいかもしれない。海外では当たり前だけど、ちょっと話はずれるが、日本人のパスポート所有率が20%なんていう記事もあったくらいだし、日本人の独自な習慣を変化できるか、というのは大きなポイントだと思う。
また、建設関係の方がおっしゃっていた言葉も印象的でした。「クリエイティビティの見積書を変えていくしかない。作業でお金でもらえないのなら、違うところにお金を払う文化を作らないといけない。」
まさしくですよね。これまでは「作業」だったから金額の差別化が難しく、ある意味フェアだけど、ある意味付加価値をマネタイズがするのが難しかった。となると、正能さんもおっしゃっていたけど、「What」よりも誰がどのような価値をどんな場所で提供していくのか、というところがより高い価値を感じてもらい、それが(必要であれば)お金に繋がっていくというところがキモだと思う。そしてそこが、AIに代替されるか、人間が「志事」として価値提供できるかの境目になるのだろう。
最後に「これからの幸せとは」という問いが投げかけられ、こんなコメントがあったのを追記しておきます。
* ハッピーとアンハッピーは自分のビジョンが明確かどうか、自分がどうありたいかという人は報酬の高さに関係なくハッピー
* 自己実現の世界が濃くなっていくのではないか。(自分が何をしたいのか)
* 人間中心主義をどうするのかというDay1セッション。人間だけがAIに向き合っているが、その構図そのものを晒さなくていいのか。Human と non humanの問題。humanとnon humanを分けて生きてきた。人間だけに焦点を絞りすぎてきたのではないか?人間と異なるものが知性を持っていると考えるのか?それとも同じと見るのかで出発点が変わってくる。
最後は会場に戻りラップアップ。
貴重な機会をありがとうございました!!
〜おまけの写真〜
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