【論文まとめ】日本における中学生・高校生を対象とした自己受容研究の動向
渡辺伸子先生の論文のメモ
中高生はアイデンティティの確立が重要な課題
学校に由来するストレッサーにさらされる社会状況
教師は生徒理解に基づく生徒指導を行うべきであるとされる(文部科学省2013)
自己受容・・・自分のありようをそのまま受け入れること
自己それぞれの側面がどのようなものであるにしても、それらをまとめた自己を全体として善悪の判断なく好き嫌いなどでもなくただ素直に今の自分はこうなのだと暖かく受け止めようとする姿勢。それは意識ではなく、感情や感覚である
↓
行動変化の原動力 良好な対人関係の下地
自尊感情には自己受容の要素が含まれる
自己有用感(自己の存在が周囲から認められている、必要とされていると受け止める感覚)は他者からの評価を中心に形成される。自己受容とは異なる概念だが自尊感情の下位概念であるという点は共通
自己受容は社会的規範から見た自己受容状態と自己の基準から見た自己受容状態に分けられる。
後者は中高大と低下していく。中学高校が前者と後者の乖離が最も大きいが、社会と自己の基準が一致していくにつれて差は少なくなっていく。
板津(2013) 児童期後半から青年期前半にかけて自己受容は低下するが、青年期後半には自己受容は再度高まる↓
青年期前期は自己への要求水準が高くなるが青年期後期で自己像が安定する
先行研究をまとめると
・自己受容は中高で低下する
・自己受容は中高で向上する
という意見がどちらもある
プラス
・女子は自己受容に大きな変動がない
という意見もある
学校適応と自己受容
米川(2008)生活的自己(家族や生きかた、人間関係、経済状況など)と学校生活スキル(進路決定、相談、集団活動、健康維持、自己学習、コミュニケーション)が関連が深い
中山・古橋(2000)不登校の子どもの方が自己受容が低い
鎌塚・橋本・三沢(2006)保健室頻来室生徒の方が、自己受容下位尺度の自己存在否定、自己不満が有意に高い
対人関係と自己受容
渋谷・伊藤(2004)女子は領域別及び全体の自己受容が低かった。また、親への自己開示と自己受容の関連が高いことがわかった
中谷(2001)高校生を対象とした自己受容規定因として、学校の小板が関連しており、自己受容は社会のような広い範囲の他者の意見によっても規定されている可能性がある
藤川・大本(2015)父母からの共感や理解により高校生は自己や他者を受容できるようになる
伊東(2007)学校不適応を示す生徒が自己受容できるようになることを目標とした指導法を開発(詳細は未公開)し効果が見られている
→「自分に気づく段階」と「自分を見つめ直す段階」の2つの段階を踏まえて進めることが特徴
その他
教師自身の自己受容も大事
親の支援が重要となる
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