抜毛症

髪を切ろうと思う時がある。今この記事を書いているが、この記事を書く前に2つ書き始めた記事があった。それらはうまく書き上げられず、下書き保存に残されているが、その記事を書いている間に抜いてしまった髪の毛がパソコンの左に2本ある。僕には髪を抜く癖がある。初めて自覚したのは中学生の時だ。例えば数学の問題を解いている途中でわからない箇所に立ち止まって一考する、そんな時に何の気なしに髪に手を持っていって、抜いてしまうのだ。不思議にも抜いた瞬間の微かな痛みが癖になってしまう。一度にたくさん抜くわけではないが、大体同じ箇所の髪を機会がある度に抜くので、中学生の時は最終的に小さく禿げてしまった。美容院に行った時に担当の人に訊かれてどう説明したものか困ったことを覚えている。これは抜毛症というクセかあるいは病気としてネットに載っていた。ストレスが原因と書かれている。代表的なストレス源は人間関係みたいだが、僕の場合はうまく物事が進まない時のストレスだったと思う。この症状は子供や女性に見られるケースが多く、僕は少数派のようだが、大人になった今もこの癖を持っている。癖を無くすというのがこのケースでは根本的解決手段になるのだが、特にこの癖にコンプレックスを抱くことがなかったことと、髪を短髪に切ってしまえば、僕はこの行為をしにくくなることを自覚していたので、ヤバイと思った時は髪を切ることで対処してきた。最初に書いた「髪を切ろうと思う時がある。」というのはこの時のことだ。因みに短髪の時に抜かなくなるのは、髪を掴みづらいことと、なぜか髪が一定以上短くなると抜く時の痛みが強くなるのが理由にある。イタ気持ち良い範疇を超えてしまうから、ブレーキがかかり抜く頻度が減るのだ。僕はこんな感じで脱毛症を癖として持っているが、嫌悪感を抱いてはいない。それは髪を切ることでうまくこの症状と付き合っているからだ。ただこの対応が万人に有効な手段とは思わない。僕は髪型に相当無頓着な人間だ。だから髪を切るという方法が有効だった。だが、誰でも気軽に髪を切ることが出来るかといえばそうではない。大体の人はヘアスタイルを大切にしている。髪を切ることのほうがストレスになる可能性が高く、その他にも、例えばこの記事を見た保護者がこの方法を抜毛症に悩む子供に強要した場合、その強要自体が1番のストレスになる。それでは本末転倒だ。そうは言っても効果が見込めるから1回やってみようと思う人がいたら、その人はまず自分の頭を丸めることから始めて欲しい。あなたが子供にしようとしていることはそういうことだ。出来ればそこで思いとどまって欲しい。何かの癖とか病気はそれがなくなるのが最善策と思われている。ただ、今回の抜毛症でいえば、原因は人間関係とかが取り上げられている。これを取り除くことは並大抵のことではない。周りの人の理解と寄り添う姿勢が大事だとも言及されているが、これも言うは易く行うは難しというものだ。僕はたまたま自分にストレスのかからない抜け道があってこの癖と折り合いをつけた人生を送れている。この折り合いを獲得出来たのは実はもう1つ患っているアトピーが良い仕事をしてくれた。アトピーは僕が物心つく頃にはもう発症しており、大人になるまでは治らないと断言されていた。だから、アトピーをなくすということをきっぱり諦め、気に入った薬を塗るとか、汗をかいたらすぐ流すとか、次善策の積み上げによって、自分なりに付き合っていくことになった。親はあれもこれもと良いということはやらせようとしたが、どれもこれもストレスになったので痛くない薬を塗るのと、すっきりしたと実感できるシャワーだけ僕は継続して行ってきた。今でもアトピーは残っているが特に問題はない。アトピーとの付き合いは脱毛症をなくすことが出来なくても気にしなくて良いという納得を僕に与えてくれた。この話が全ての病や体の症状に通用することはない。それこそ死につながるような病気などはここまで楽観的にはなれないと思う。それでも、それがあっても生きてはいける体の不調というものはいくらでもある。その症状とどうやって関わっていくか考える時、最善策から試しダメなら次ダメなら次と減点方式で1つずつの処置に固執するのではなく、そんなこともあるけど大丈夫とあれやこれややってみて及第点を見つけ出すやり方も考えてみて欲しい。やり始めた時は不満を抱くかもしれないが、継続していくことで、手を抜く方法も見つかってくる。手を抜く方法が見つかれば、気にしなくてもいい楽な気持ちになるかもしれない。

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