初心者は台湾、自分探しなら北欧。ひとり旅おすすめのリーマントラベラーマップ
5大陸を制覇し、71の国を旅した“リーマントラベラー”東松さん。その魅力的な経験談から、休日に海外旅行に行きたくなった人も多いはず。そこで今回は、ひとり旅にオススメの国や、東松流の海外旅行の楽しみかたをご紹介。さらに東松さんオススメの場所を示したリーマントラベラーマップも作成してもらった。
※2020年3月掲載記事
初心者は台湾やタイで成功体験を積むところから
海外旅行というと慣れていない人にとっては少し怖いもの。それが一人旅ならなおさらだ。初心者は、どこを選んだら良いのだろう。
「一人旅初心者には台湾をオススメします。台湾は街がコンパクトで移動がしやすく、なにより治安がいい。それに親日なので、人も優しくて言葉も通じやすい。海外旅行で不安なことって大体みんな同じじゃないですか。お金、時間、語学力、治安…。最初は成功体験を積むことが大事なので、万が一トラブルがあっても対処しやすい国がいい。タイの都市部とかね」
東松さんお気に入りのキューバや中東に挑むのもいいが、まずは一人旅の実力をつけてから。海外旅行の成功体験=旅の楽しさを積み重ね、地道にレベルアップするのが冒険の基本だ。そもそも、旅はなにをしたいかという目的によって行く場所も変わるという。
「ヨーロッパは目的が定まっていないとどこに行っても同じ。現地の人や文化との触れ合いをメインにするなら、スペインがいいですよ。マドリード、バルセロナ、サンセバスチャンあたりはバルがたくさんあって気軽にコミュニケーションがとれる空気感があります」
しかし、言葉やお金の問題が気になって行かないくらいなら、とにかく自分の中で行きやすい国から攻めるのがオススメだと、東松さん。
「韓国とか台湾、ベトナムとかタイでもいいですけど、土日だけで行けるような近場で、まずは成功体験を味わうことが世界に羽ばたくコツ。」
「自分探し」なら、幸福な北欧の街の暮らしを観察する
たとえば旅の目的が『自分探し』だとしたら絶景を眺めるのではなく、先進的な取り組みをしている街を訪れ、実際の生活に触れることで様々な気づきがあるようだ。
「コペンハーゲンはカーボンニュートラルを目指しているので、65%の人が自転車通勤なほどエコの精神が広がっている。自転車専用高速道路があって、通勤時間帯に時速20kmくらいで走ると信号が全部青だったり、のんびり自転車を走らせるだけでも爽快です。幸せな人たちがどんな暮らしをしているかを目の当たりにすると仕事のアイディアや、自分の生活を見つめ直すきっかけをもらえることがあります」
北欧の暮らし=幸福度が高い。と言われるものの、何が幸せなのか?本当に幸せな人たちの暮らしを見に行くことは、それが単なる情報ではなくリアルな実感となって染み込んでいく。異なる世界を覗きたいときは中東やアメリカなど、日本と真逆のカルチャーが培われている国を訪れるのも良いそう。
「いつ行っても面白いのは、エンターテイメントで作りあげられたアメリカ。NY、ボストン、マイアミ、サンフランシスコ、LA。どの都市もいい。僕はスポーツ観戦が趣味なので野球やアメフトを本場で観戦できるだけでも興奮があります」
実際に訪れなければ見えてこない生の情報が手に入るのは、旅の醍醐味だ。たとえばアフリカで奇跡の発展を遂げた国と言われるルワンダは、1994年の大虐殺によってイメージは決して良くないかもしれない。だが今は警察の地位が向上して、治安が回復。月に一回、国民みんなで「ゴミ拾い」をする程、平和な場所になっているという。
「僕がTwitterで発信した中で、一番バズったのはウガンダ。店でフリーWi-Fiを使おうと思ったら、ビールの栓の裏にパスコードが入っているからそれを買えと言われたんです。でもそのパスコードが30分しか使えないんですよ。30分に1本飲まないといけなくて作業にならないっていう(笑)。そういう行った人にしかわからない小さいことが旅の面白さだと思う」
現地のリアルな生活がわかると、その国の社会問題や世の中で起きている問題がより身近になり、自然と関心が向くようになっていく。自分が本当は何に興味があるのかが研ぎ澄まされていくのも、旅の面白さなのだ。ちなみに、「自分探し」の定番の場所については。
「インドに人生観変えに行くのはちょっともう、やめた方がいいですね。お腹を壊すので。インドなら、プチラグジュアリーインドでいいと思う、女性も行けるし。インドはちゃんとしたところでちゃんとしたご飯を食べればまじで最高です。」
東松さんが今一番行きたい場所
働きながら世界一周を成し遂げた東松さんが、次に訪れたいと思っている場所は一体どこなのだろう。
「行きたい国はないですが、興味は増えているので行きたい場所はたくさんあります。メディアはすごく綺麗な部分かすごく汚い部分を切り取りがちですが、僕はもっと生活のリアルな姿を知りたいんです。ただ僕はあくまで旅人であって、ジャーナリストではない。知りたいだけで、良い悪いを判断することはできません」
「リーマントラベラーマップ」。東松さんの顔のある場所が、東松さんおすすめの場所だ。
記号的な海外の姿ではなく、自分の目で現地の生活を見たい。そんな自身の好奇心に従って様々な国を旅してきた。そして旅の終着点、最後は「宇宙へ行く」。それだけは東松さんが心に決めていることだ。
「カザフスタンにバイコヌールという旧ソ連がつくった宇宙基地があって、有人ロケット・ソユーズの打ち上げをしているんです。有人っていうところがポイントで、これで宇宙に行くんだっていうのを実感したいので観に行きたいと思っています」
いつまでも少年のような心を忘れない東松さん。私たちが東松さんのように自由で柔軟なトラベラーになるためにはどうすればいいのだろう。
「まずは自分に興味をもつこと。旅に行ったら何かしなきゃと思いがちですが、自分がどう感じたか、それだけでも旅の価値は十分あると思うんです。日々の生活で自分と向き合う材料は意外と少ないから、旅ではその素材集めをするだけでもいい。旅慣れしてきたら、言葉の通じない国に行くことをオススメします。英語が話せるなら、あえてフランス語圏に行くとか。わからなければわからないほどコミュニケーションは発生するし、感じるものも増えていきます」
旅は心のメンテナンス。たまには非日常の世界に足を踏み出し、自分と向き合う材料集めを楽しむのもいいだろう。
(第5回につづく)
撮影:南方 篤
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