西荻で見つけたモードキャット。オーダーメイド帽子工房の看板ネコに会いに行く
西荻窪の駅近には昭和を感じる古くからの飲食街があるが、少し歩くとスタイリッシュな文房具店や雑貨店、アンティークショップや生地屋さん、小粋なビストロなどなどが町のあちこちに点在しているから、お散歩するだけでも楽しい。小さな裏路地を歩くとネコに出会ったりすることもある。ネコ写真家の石原さくらが訪ねる、東京・西荻窪の看板ネコ。1ネコ目は、帽子工房のショウウィンドウ越しに街を見つめる、サビネコのクマーヌちゃん。
西荻窪駅の北口から徒歩5分ほど、お店の前に到着すると素敵なショウウィンドウ越しにくつろぐネコの姿が見えた。
素敵な佇まいの帽子屋さん
ショウウィンドウの一部と化す
今回訪ねたのは、西荻窪にある帽子工房シャポーヌ看板ネコのクマーヌちゃん。いつもこうしてお気に入りのバスケットに入って窓の外を眺めたりしている。
お気に入りのバスケットに入って
お店に入るとなんとも人懐こくお出迎えされてしまう。
「いらっしゃいませ〜」と言わんばかりに立ち上がる
他のお客さんにもすりすり〜
オーナーの下重さんのお知り合いで、保護ネコのボランティアをされている方によって保護されたクマーヌちゃん。下重さんのおうちに迎えることは決まっていたが、下重さんにとっては初めて飼うネコだったので、あまり小さな子ネコだと不安もあり、そのお知り合いの方に1ヶ月お世話してもらってからこちらに迎え、今では9歳になる。
下重さんに抱っこされて
クマーヌちゃんのことは、最初は性別も分からず黒くてクマっぽいため「クマちゃん」と呼んでいたが、後に女の子だと分かってからは女の子らしく「クマーヌ」と呼ぶようになったと下重さん。
クマーヌちゃんの毛色はサビという柄で、メスのネコにしか見られない毛色である。
かねてから、サビ色はネコの毛色の中でもとってもスタイリッシュな毛色として私の目には映っているので、こちらの帽子工房に暮らすクマーヌちゃんの印象は西荻モードキャットなのだった。
鼻筋がお洒落でしょ
下重さんお手製のバンダナもお似合い
クマーヌちゃんはとても穏やかで人懐こい性格をしていて、お客さんがくれば先ほどのように挨拶に出迎えることが多いそう。ネコには珍しく特に小さな子供のことが好きで、子連れのお客さんが来ると率先してお出迎えするお姉さん気質のネコちゃんでもある。
下重さんたちがお仕事をしている姿を見守るようにして、クマーヌちゃんもアトリエで過ごしている。今では、いないと落ち着かないというくらいアトリエスタッフの一員のような存在になっている。
お仕事中の下重さんとスタッフの方々
私が店番しておくわよ〜
帽子工房シャポーヌは創業されて25年、ここ西荻窪の地に移ってからは10年になる。
下重さんが帽子を作り始めたきっかけは、ご自身の頭のサイズが大きくフィットする帽子がなかったために自分で作り始めたことだと語った。
私も頭が大きいので素敵な帽子がきつくて入らないという経験をしたことがたびたびあったが、そこから自分で作ろうだなんて思ったことがなかったなぁと、下重さんの並々ならぬ帽子愛を感じた。
道行く人を眺めたり
ダンボールからアトリエを眺めるのも好き
アトリエでゴロン、お邪魔はしない主義
工房には舞台衣装の帽子やヘッドドレスのオーダーが多く、コロナウィルスの影響でお客さんである舞台公演自体が中止や延期になったりして、こちらのアトリエもお休みを余儀なくされる時期が続いた。
クマーヌちゃんはいつもと変わりのない暮らしではあったが、お休みモードで下重さんとおうちで映画を観て過ごしたりする日々も多くなったという。
そんな期間を経て、下重さんは「自分自身が長いこと本当のお休みを過ごしていなかったということに気付くことができたのよ」と話す。
コロナ以前はお客さんからいただいた仕事は無理をしてでも受けることが多かったそうだが、コロナ以降は「無理をしないで断ることがあってもいいんだ」と思えるようになったと。
マイペースが一番よね
西荻窪の帽子工房シャポーヌの営業時間は10時から18時。(2020年10月時点)
クマーヌちゃんは10時の開店時に一緒に出勤して下重さんやスタッフの方を見守るように過ごし、お店の終わる18時くらいになるとネコスイッチが入るのか、活発に遊ぶことが多いそう。
いらっしゃいませ〜素敵な帽子でしょ
お店では個人の方のオーダーメイドも受け付けていて、簡単なベレー帽だとなんと10,000円ほどで作れてしまう。思っていたより安いことに驚いた。価格は使用するフェルト等の値段に応じて変わるという。
不在にすることもあるため、お越しの際はお電話いただけると幸いですとのこと。
この看板が目印
取材・文/石原さくら
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