39歳のモテないおばさんが結婚に至るまでを書きたい10完
神社で参拝をし車へ戻る道、斉藤さんは手を繋いできた。驚きすぎて「グヘッ!!」と変な声が出た。口から心臓が飛び出るかと思った。処女を舐めないでいただきたい。「いつ繋ごうかずっと狙ってたんですよ」と斉藤さんはニヤっとした。
イケメンーーーー!!!イケメンは余裕ーーー!!!!手汗やべーーー!!!!ばれる!手汗ばれる!!手から処女ばれる!!
車に戻ってから手を繋いだだけなのにさっき以上に緊張してガチガチで正面を見ていた。帰りはドライブがてら遠回りして色々話した。「今日は泊まりでいいんですよね?」とか真顔で言ってくるので「いやいやいや何言ってんですか!!無理無理!!無理です!!(処女)」と本気で慌てると「冗談ですよ」と笑われた。
イケメンーーー!!イケメンは余裕ーーー!!!!(ニ度目)
恥を忍んで、付き合ったとして体の関係は少し待ってて欲しい場合は許されるか聞くと「え?大人なのに?待っても2ヶ月ですね、それ以上は無理」とまた手を握ってきた。え?なにこの人ホスト?怖い。
斉藤さんはグイグイ系だった。今の社会、草食系が多いと言われているが(知らんけど)絶対的に肉食系だ。見た目はクールなのにやられた。こんなぽっちゃりブスおばさんにグイグイだ。変態だ。イケメンなのにどこかで性癖がおかしくなったんだかわいそうに(まさかの哀れみ)それともやっぱりヤれればいい系なのか?
夕飯はカレーを食べた。ナン大好きなのでたくさん食べた。会計は奢られそうになったので力業の割勘。「男は奢って格好付けたい生き物です」と言うので「そういうのは古いです。こっちも社会人の意地があります」と言うと笑われた。
待ち合わせた駐車場まで送ってもらいお別れの時、斉藤さんが話し出した。
「本当は今日、前回の話を撤回しようと思ったんです。田中さん迷惑そうだったし。」
前回の話とは付き合ってみませんか宣言のことだ。え!?迷惑じゃないよ!?処女だから動揺しただけだよ!?でもそっか、好きになりそうだと思ったのにふられるのね。ああ、そういうことね、はい。良かった期待しなくて。わかってた、わかってたよ。と心の中で泣きそうになっていたら
「でも今日田中さんに会って話してやっぱり一緒にいたいと思ったんです。尼さんになりたいとか奢られるの嫌がるとか真面目なのに面白いし。やっぱり付き合いたいと思いました」
ふられたと思ったら告白!!まさかの告白!!!茶化す余裕もなく「嬉しいのですが私恋愛慣れてないし…」と本心を言うと「わかります」と食い気味で言われ少しへこんだ。
「体の関係なら待ちますよ。田中さんがその気になるまで」と笑った。
「私39歳なんですが…」
「知ってます、でどっちですか?」
斉藤さんは少し苛立ってるように見えた。そりゃ若い可愛い女性がもじもじしてるならわかるがこっちは四十間近のブスおばさんだ。もじもじすんな!!チャンスを逃すな!!私は次女だ!これが長女なら断っていた!!次女だから踏ん張れた!!!
全集中!!処女の呼吸!!一の型!ブスの勇気!! (流行りに乗ってみた)
「こんな私でよろしければよろしくお願いします」今までの人生で三番目くらいに勇気を出して返事をした。
斉藤さんは「良かったー!」と笑ってベーゼをしてきた。初ベーゼはあっという間でわけがわからなかった。「こんな奥手な39歳初めて見た」と斉藤さんが笑うので「斉藤さんが35歳のわりにグイグイ系すぎませんか?」と照れ隠しで言うと
「え?俺33ですけど」
とあっさり言った。4歳差ならなんとか…と思ったがまさかの6歳差!!北野さんは35って言ってたのに!通りで見た目も若いと思ったわ!!
「え?そんなに若いならなおさら私なんかとは…」と動揺しながら言うと
「年上好きだしいいんですよ気にしないで下さい」と斉藤さんは笑った。
そのままま解散となり翌日会社で紹介者の北野さんに付き合うことになった報告をすると抱きつかれた。
「良かったね!だから言ったじゃーん絶対合うと思ったもん!この前美容室行った時斉藤さんニコニコして『あんなにダムの話出来た女の人初めて』って喜んでたもん」と言われた。
「え?ダムの話しないですか?」と私が聞くと「私ならダムの話されたらへーで終わらせちゃうな。普通そうじゃない?」あ、ダムの話って普通盛り上がらないんだ。私やっぱり普通じゃなかった。
ということは私はダムと尼さんの話で斉藤さんに気に入られたことになる。どこでどうなるかわからないもんだ。
その後、私は一番の問題である体のコンプレックスを無くす為に美容整形外科へ行った。本当に本当に勇気がいたが斉藤さんと付き合うには避けて通れない。
もし斉藤さんとどうにかなれなくてもこれは今後の人生にプラスになる。保険適応外の手術なので20万近くかかったが後悔はない。むしろスッキリした。こんなことでもなければ絶対に手術に踏み切れなかった。そういう意味でも斉藤さんに感謝だ。何をしたかは読んでくださった方の想像におまかせします。
斉藤さんとはその後1ヶ月後に無事に合体(釣りバカ)し翌朝シーツが血だらけで斉藤さんが驚いていた。処女だと悟られないように 10年ぶりくらいだったから血も出るんだね、というと納得してた。
あと斉藤さんに改めてなんで会って二度目で私と付き合おうと思ったのか聞いたら「中学生の時兄貴の部屋で見たエロ本に載ってたオカズにしまくった女の人に似てたから絶対やりたいと思った」と衝撃の告白をされた。なにそれえ…引くわ…。でもその肉食っぷりに押されて私のようなウジウジ処女おばさんが踏み出せたのだからエロ本持ってたお兄さんにも載ってた女性にも感謝だ。
あともう一つ、私を気に入った理由はよく食べること、食の好みが合うことらしい。一緒に外食して刺身のツマまで食べる女性は初めてだと言われた。斉藤さんは刺身のツマが好きなので私がおもむろにツマを食べだしたのが嬉しかったらしい。今までの女性は斉藤さんの奢りでもご飯を残す人が多かったから私の割勘でも完食するのが新鮮だったらしい。残さず食べるわんぱくおばさんで良かった。
その半年後に斉藤さんに同棲を申し込まれ、だらだら同棲するのは嫌だったので同棲半年したら結婚か別れるか二択でお願いと条件を付け同棲開始した。
喧嘩(主に私が怒られる)もたくさんあったが私には全てが初めてで楽しかった。私も斉藤さんも一人暮らし経験があったので家事は割りと順調だった。(ほとんど私がやってるけど)
そして半年後、結婚の話が出ないので業を煮やした私から結婚or別れを切り出した。デッドオアアライブ!!!はっきりしろや!!
斉藤さんは渋々結婚を選択し平成の最後に入籍した。
人生とはどこでどうなるかわからない。私は常に周りに「結婚はタイミング!」「いつか必ずいい人が現れる!」と耳にタコが出来るほど言われてきて「はいはいワロスワロス」と嫌になっていた。だってこっちは処女だしブスだし処女だしババアだし処女だし処女だし現れるわけねーじゃん。
お前らは普通に恋愛してきたんだろ?!学生時代からイチャコラしてたんだろ!?こっちは処女だぞ!?年季の入りまくった処女だぞ!?ヴィンテージ処女だぞ!?40年物だぞ!?処女舐めんな!むしろ舐めろや!くらいの気持ちだった。
誰が39歳で6歳年下の彼氏が出来て処女消失しその相手と一年後に結婚するなんて思っただろうか。
しかも斉藤さんは私の好みの真逆だ。煙草も吸うし茶髪パーマだし酒豪だし小柄だしゲームもマンガも興味ないし年下だし、でも仕事は真面目だし一緒にいると落ち着く。
人生捨てたもんじゃないと思った。真面目に生きてて良かったと思った。
結婚なんて出来ると思ってなかったし拘りはなかったが母に同棲する前に結婚を考えている人がいると伝えるといつもは強い母が泣いたのが印象的だった。「結婚はできてもできなくてもいい、お前に愛する人が出来たのが嬉しい」と言われ、心配かけていたんだと改めて思い知らされた。親の心子知らず。
斉藤さんはよく冗談で「たなちゃん(私)のはじめてが俺なら良かったのに」と言うのでいつか死ぬとき本当は斉藤さんが初めてだと伝えようと思う。
結婚式はしていない。斉藤さんはしたがっていたが私が断固反対した。何が悲しくてぽっちゃりブスおばさん(40)が高いお金出してウエディングドレス着て醜態を晒さねばならんのだ。なので30人ほどの親族だけの食事会で終わらせた。
妊娠もしたが流産した。妊娠は私以上に斉藤さんがものすごく喜んでたので流産は本当にショックだった。年齢もあるし初期ならよくあることらしいが悲しいし斉藤さんに申し訳ないし毎日ずっとずっと泣いてて苦しかった。そんな時も「俺はたなちゃんがいてくれればそれだけでいいよ」と言ってくれたのがどれだけ救われたか。
私は結婚も妊娠も自分の人生とは無関係だと思っていた。本当に子供が欲しいならやはり早い結婚がいい。だが私は39歳だから斉藤さんと出会えたし一緒になれたと思ってる。
強がりでなくずっと一人でいいと思ってた。好きなことに好きなだけお金を使い、好きな時間にゲームやディズニーを楽しむ。こんな自由を手放せるものかと思っていた。
だが一度二人の生活に慣れるともう一人には戻れない。一人で寝るのさえ寂しいと思うなんて数年前の自分からは想像出来ない。ご飯も買い物も旅行も二人だと更に楽しい。
私は男性を斉藤さん一人しか知らない。それを幸せだと思う。恋愛豊富な人を尊敬する。私は別れることも次の恋愛に踏み出すことも絶対に出来ない。そんな気力も体力もない。
斉藤さん、ありがとう。
勇気をありがとう。愛をありがとう。出会えて良かった。最初はクールだと思ったのにとんでもなく甘えん坊で子どもっぽいとこもあるけど(年上が好きだと公言するだけある)仕事は真面目だし経営者なのもありしっかりしてて責任感も強く頼もしい夫です。これからもずっと一番の味方でいさせてください。
あとは家を建てて猫と犬を飼うのが夢だ。
リアルで話したら「40のおばさんが結婚したからって上から目線で恋愛語りだしたよ…」と言われそうなのが怖くて、でも誰かに聞いてほしくてnoteに投稿してみました。
この記事達は一言一句ノンフィクションなのでいつか消します。フジテレビのザ、ノンフィクションよりノンフィクションなので知ってる人が見たら一発でバレる。私が処女だったのがバレる(そこかよ)
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
皆さんの毎日が平穏で幸せでありますように。
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