嘘
湯船に浸かる。疲れたなぁと伸びをしたあといつもの通りお尻を前に滑らせて肩まで浸かって猫背になってから鼻までお湯に入る。耳にお湯が入ると厄介なので顔は前が見えるくらいの下向きに、穏やかな緩やかな入水自殺だ。
嫌なことがあった日やなんとなくもういいやと思ってしまった日に私は湯船で息を止める。実際死ぬ気なんて1ミリもないのに形だけやる。ギリギリまでもいかないちょっと苦しいなというところで顔を上げてゆっくり息を整える。脱衣所に誰か家族がいたら困るから音は聞こえるようにして、息を吸い始める時も空気を求めすぎないようにそれがルールだ。
わかりやすく嫌なことがあって簡単に死にたいなと思ってしまうのはどうかと思うけれど自分でも、あ、今終わっていいやとログアウトしたくなるのだ。スッと冷めていくような諦めにも似たこの感情を私の辞書が言葉にすると死にたいとなるのだ。全部投げ出してハワイの海に行ってとかでもなく、自分の存在がそもそも無かったことにしたいのだ。4人家族ではなく3人家族ということになれば家族も幸せだったのではないかと考えてしまう。
特別悪い人間ではないと思うが出来は悪いタイプではある人間だ。赤点ギリギリをずっと出してあとちょっとで罰を喰らうところまで行ってしまったりとそんなところを彷徨っていた。
というところまでは書けているので続きはまた今度