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博多南駅·博多総合車両所で見られる車両たち①

博多総合車両所。それは、JR西日本最大の新幹線の車両基地です。ここではJR西日本管轄である山陽新幹線で走る車両が、全種類見られます。
しかも、ここの片隅にはなんと博多南線の博多南駅が。この駅は、他の駅で見られないようなおもしろい特徴を多数持った駅なんです。

今回は、博多総合車両所で見られる車両と、博多南駅のおもしろいところを2回に分けて書いていこうと思います。

第一回の今回は、博多総合車両所で見られる車両紹介をしていきます。


バリバリ現役の車両たち

まずは博多総合車両所で見られる、現役の車両の紹介です。


①N700系(16両)

間違いなく東海道·山陽新幹線の顔

まずは、新幹線といえば多くの人が思い浮かべるであろうN700系です。

この車両は、ご存知の通り、東海道·山陽新幹線の主力。東海道新幹線内では「のぞみ」「ひかり」「こだま」すべての種別でバリバリ走っています。対して、山陽新幹線内では「のぞみ」が主な仕事で、「ひかり」は主に広島以西、「こだま」は数本のみでしか使われていません。

N700系はJR東海のX/G編成、西日本のK/F編成と16両タイプでも4種類に分けることができます。X/K編成は、マークのAが小さいスモールAと呼ばれる編成、G/F編成はN700Aとして作られたマークのAが大きいラージA編成です。

いちばん手っ取り早く見分けられるのは編成番号ですが、編成番号が見えなくても見分けられるポイントは随所に。それらをお教えしましょう。

  • 一部車両の側面の車番の横にあるJRマークの色(青かオレンジか)→会社が分かる

  • ライトカバーの形→スモールAかラージAか分かる

X8編成はもう廃車済みの編成
延びていない···スモールA
延びている···ビッグA

後期に製造された編成であるG/F編成(ラージA)は、前方を見やすくするため、ライトカバーの表面積が大きくなるよう改良。そのため、かなり差異が生まれています。

N700系はこれだけではありません。あと1種類見れます。


②N700系7000/8000番台

近畿と九州を1本で結ぶ、「のぞみ」に次ぐ長距離ランナー。N700系7000/8000番台です。

主に山陽·九州新幹線の「みずほ」「さくら」、九州新幹線の「つばめ」として走っています。他に、一部の「こだま」や博多南線の運用も持っています。

編成記号はJR九州所属編成がR、JR西日本所属編成がS。2つの見分け方は編成番号を見る、車番の横のJRマークを見る、デッキと客室の間の扉の上を見る、車内チャイムを聞く等があります。

S18編成は写真を無理やり拡大しまくったため
ボヤけてしまいました

この新幹線は半室グリーン車があるのがいちばんの特徴でしょうか。6号車は新大阪方がグリーン車、鹿児島中央方が普通車指定席になっています。
このことを知らない方も多いのか、博多南線運用で6号車の指定席部分に乗っていると、グリーン車を通り抜けてきたであろうお客さんがたくさん歩いてきました。

乗車ルールのうえでは、グリーン車室内に入るだけでもグリーン券が必要になります。

そのため、グリーン車は通り抜けるだけでも追加料金が発生するということになるので、くれぐれもご注意を。


③N700S

最初に出てきたN700系(16両)の後継車両、それがN700Sです。
山陽新幹線内では「のぞみ」の他、「ひかり」としての広島·岡山までの乗り入れもあります。

この車両は、従来のN700系から多くの点で改良が施され、居住性がアップされています。一部を抜粋すると、

  • 全車両·全座席にコンセント設置

  • 車内の案内板のLCD(液晶)化

  • 一部編成への車椅子スペースの設置

など。まさにN700Sの「S」(Supreme=最高)にふさわしい車両ですね。

これもJR東海のJ編成と、西日本のH編成があります。これも編成番台や車番横のJRマークを見ることで保有する会社が分かります。

実は、J編成とH編成は編成数の差がとても大きいんです。
JR東海のJ編成は、2023年5月末時点でJ29編成までの製造を確認。そして、まだまだ製造は続いていくと思われます。
対してJR西日本のH編成はというと、同5月末時点での編成数はまだたったの「2編成」。そして増備の情報もまだ出ていません。さすがは古い車両を大切にするJR西日本。その精神、大好きです。

将来的に西九州新幹線が博多まで来たら、JR九州のN700Sもここに来たりするんでしょうか。そしたらかなり博多総合車両所も賑やかになりそうですね。

西九州新幹線用
N700S Y1編成

④700系7000番台(レールスター)

JR西日本が航空機からのシェア奪還のために作った車両、それが700系7000番台(レールスター)です。

もともと「ひかり」用車両として開発·運用(ひかりレールスター)。そのときは一部車両がビジネスマン向けの「サイレンスカー」となっていて、緊急時以外放送が行われないし、利用者も静かにしないといけないという車両となっていました。

その後、「みずほ」「さくら」の運行開始によって「ひかり」の運転が激減。「こだま」や博多南線での運用が主となり、実質「こだまレールスター」と言ってもおかしくなくなってしまいました。
ですが、1日数本ではあるものの「ひかりレールスター」としての運用も持っています。でもいつ廃止されてもおかしくないレベルに衰退しているので、もうそう長くないと思います。

これまでの車両は複数の会社が同じ車両を持っていましたが、これはJR西日本の完全オリジナル車両。所有はJR西日本のみとなっています。


⑤500系

JR西日本がのぞみ300km/hでの営業運転を行うために作った車両が500系です。

もう登場から25年経つのに、いまだに多くのファンを持つまさしくスーパースターです。登場したときはその鋭いノーズと円筒形の車体、細いライトに魅了された人も多かったのではないのでしょうか。

今は最高285km/hに引き下げのうえ、専ら「こだま」の運用に就いています。
悲しいことに「のぞみ」の運用はドア数などが他と合わない等の理由からあまり長く続きませんでした。ですが、「こだま」となった今も元気に西日本を走り回っています。

現役最年長のV2編成は「ハローキティ新幹線」として走っています。過去にはエヴァンゲリオンとのコラボで「エヴァンゲリオン新幹線」として走っていたこともありました。めちゃくちゃカッコよかったので、個人的にはまた復活してほしいですね。

ふつう新幹線車両は20年ぐらいが寿命なうえ、500系の中には運用を離脱した編成も出ているので、いつまで走ってくれるのか注目ですね。


かつていた第一線を退いた車両たち

博多総合車両所には、引退した車両も一部保存されています。

①100系(2階建て車両)

東海道·山陽新幹線は開業当初、古い0系を新しい0系で置き換えるという手法を取っていました。ですが、客としては全く新しさがなく、同じデザインに飽きた乗客にとって「時代の最先端」というイメージが消えつつありました。
そこで1985年に今までと全く違う新型新幹線としてデビューしたのが100系です。その100系に連結されていた2階建て車両(グリーン車と食堂車)が保存されています。

この車両はもともと京都·梅小路の「京都鉄道博物館」に展示が予定されていました。しかし、輸送の際に高さの問題で輸送できないということが起きたため、京都鉄博での保存が中止。そのまま保管が続いて今に至ります。

新幹線は日々進化し、どんどん高速化が進んでいます。高速化のために空気抵抗の削減、車両重量の軽量化などが行われていることから、これからおそらく2階建て新幹線車両は作られることはありません。なので、今となってはなかなか貴重な車両です。
(2024/4/9追記 既にグリーン車は解体されはじめています)
(2024/7/9追記 食堂車も解体が開始され、これをもって博多総合車両所から保存車両が全滅となりました)


②0系先頭車/WIN350東京方先頭車

元祖「夢の超特急」0系と、前述の500系の開発に貢献した試験車両WIN350です。この2両は基本ずっと連結されています。

0系は元4両編成のQ3編成として走っていました。団子っ鼻が無いのが残念ですが、その印象的な顔が見られるので、それだけでも最高です。
(2024/2/16追記 既に解体作業が始まり、もうほとんど見えなくなっています)

WIN350は、将来的な山陽新幹線内での350km/h運転のための試験車両です。WIN350というのは愛称であって、正式には「500系900番台」といい、前述の500系の試作車という扱いになっています。WIN350の「WIN」は「West Japan Railway's Innovation for the operation at 350km/h(350 km/h運転のためのJR西日本の革新的な技術開発)」の略(Wikipediaより)と、350km/hの壁に打ち勝つという強い意気込みを掛け合わせたものです。

結局、量産された500系は最高営業速度300km/hに抑えられる形になりましたが、得られたデータは先頭部の形状やプラグドア(車体とほとんど段差が生まれないドア)の採用などの点で活用されました。

この車両は、東京方と博多方で条件を変えるため先頭形状が違う作りになっています。ちなみにここにあるのは東京方先頭車で、500系の先頭部によく似た運転台の部分が出ているタイプです。
ちなみに、博多方先頭車は滋賀県米原のJR総研風洞技術センターに保存されています。こちらは前面に出ている部分がほとんど無くフルフラットなので、まるで別の車両のよう。おもしろいですよね。
(2024/3/15追記 こちらも既に解体作業が始まっています)


これらの車両は通常見られませんが、毎年行われている「新幹線ふれあいデー」という一般公開イベントで公開されることがあります(ここ数年は流行り病によって中止続き)。


まとめ

西の新幹線の本拠地である博多総合車両所には、あらゆる種類の車両が留置されています。しかも、見られるのは現役の車両ばかりではなく、引退した車両も。そのうえ、しばらく見ていても車両は変化していくので見飽きない。
博多総合車両所は、そんな楽しい場所なのです。

②は↓からどうぞ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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