【SS】いっぱい食べる君の笑顔が好き
リュオン君はたくさん食べる。
私達の倍は食べる。
でも、早食いではなくちゃんと味わって食べてくれる。
だから作った私もすごくうれしい。
それに、食べ終わったあとに見せる、すごく満足そうな笑顔が
私はたまらなく好きだ。
私はこの笑顔が見たくて、リュオン君に料理を作ってあげたくなる。
そのために新しい調理法を探したりして、腕を磨いている。
ちょっと回りが見えなくなっちゃうけど…
もちろんリュミエルも師匠もクリムも、食べた後には笑顔を見せてくれる。
でも、リュオン君の笑顔にはかなわない。
おひさまのように元気なあの笑顔には。
これからもずっと見ていたいな、あの笑顔。
そのためにはどうすれば良いんだろう?
リュオン君と結婚するとか?
…結婚?
「いやいや待って待って!
まだ結婚なんて考えるの早いよ~!
私まだ12歳だよ~」
「もしもーし、エクリエル~?
なんか自分の世界に入っちゃってるケド
大丈夫?」
「ひゃい!私は大丈夫です!」
思わず、変な声で返事しちゃった!
心配そうに見つめるリュオン君を見てたら、
なんだか顔が真っ赤になってきて…
「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね!」
恥ずかしさのあまり、リュオン君の部屋を飛び出しちゃった。
途中ですれ違ったリュミエルには怪訝な顔されちゃったけど
それどころじゃなかった。
お手洗いについて、ひとまず深呼吸して自分を落ち着かせた。
(話が飛躍しすぎだよ…
私はいっぱい食べて、そのあと見せる笑顔のリュオン君が好きなだけ
なんだから。)
ずっと見ていたいから結婚なんて短絡的なことを考えてしまった自分に
思わず呆れる。
冷静さを取り戻した私はリュオン君の部屋に戻った。
「エクリエル、大丈夫か?
なんかすごいテンパってたっていうから、
リュオンがなにかしたのかと思って…」
「ごめんごめん。
ちょっと感情が暴走しただけで、リュオン君は悪くないよ」
「ほら~、だから言ったじゃん!
オイラは何もしてないって!」
私がお手洗いに行ってる間、ひと悶着あったみたい。
ごめんね、二人とも。
「ところで二人とも小腹空いてない?
おやつを作ろうと思うんだけど」
「空いてまーす♪」
「僕も空いてるかな?」
「OK、じゃあ作るね。」
いつの間にかおやつの時間になってたので、
早速は私はキッチンに立った。
今日のおやつはメイプルシロップのパンケーキ。
ふわっふわのパンケーキはリュミエルもリュオン君も大好きだ。
リュオン君はできあがったパンケーキをうれしそうに頬張る。
私はその様子を見ていた。
「ん?どうしたのエクリエル?
オイラの顔になんかついてる?」
リュオン君が私の視線に気づき、尋ねてくる。
いっぱい食べてる君の笑顔が好き。
まだ面と向かって言うのは恥ずかしいかな。
でも、いつかは伝えたい。
お友達以上の関係になりたいと思った時とかに。
その時までは…
「内緒♪」
私は舌をペロっと出しながら言った。
エクリエル視点のSSです。
恋愛経験もまともにない癖に、オレはなに書いてるんだろう?
恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうだ。
こういう心情の描写って難しいですね。