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【SS】ある元海賊の独り言

もう一度子どもに戻りたい。
大人になったら、一度はこう思うんやないやろか。

子どもの頃は何もかもが新鮮に映って、きれいなものばかりが
目に映ったっけな。

子どもから大人へ向かう途中、きれいなものばかり見えてた目が
日に日に曇っていくのを感じて、次第に世の中の汚れた部分ばかりが
見えるようなった。

ましてや『俺様』は海賊。
その目に映るのは略奪や血のような、最も醜く汚れたものばかりやった。

今じゃ何を見ても新鮮には感じない。
道行く人を見ても、何か裏がありそうと身構えてまう。

そんな中で無邪気に遊ぶ子どもを見ると、ふとあの時の自分を思い出す。
そして、あの頃のように何もかもが新鮮に映って、きれいだった日々を
懐かしく思う。

あの頃に戻れれば…
海賊じゃない、ただ純粋に、海に憧れてたあの時に戻れれば…



「まさか、ホンマに子どもに戻るとは思わんかったな…」
オレンジジュース片手に、ついオレっちは言葉を漏らした。

2年前、討ち取った海賊が持ってた宝の中に、
「若返りの呪い」がかけられたものが混ざっとった。
その呪いを当てられたオレっちは、海に憧れてたあの頃と
変わらない姿になってもうた。

最初は焦ったんやけど、まあなってしまったんなら、
この姿で過ごすのも悪ないとすぐに思い直した。

もちろん呪いを解く方法は探しとるが、
急いで戻るつもりはない。
なぜなら、この姿に戻ってからまたいろんなものが
新鮮できれいに映るようなったからや。

いや、ホンマは思い出した言うのが正しいかもしれん。
あの頃と同じ背丈で、あの頃と同じ町におるから
余計そう感じるやもしれん。
あるいは…

「おーい!クリムー!」

後ろのドアの向こうから元気な声が聞こえてくる。
最近仲良うなった三人組のうちの一番元気な奴の声や。
この三人組との出会いもオレっちの目を輝かせてくれる要因やった。

いつも何かおもろいことを拾ってくる。
それはオレっちにとっても、あいつらにとっても
新鮮なものばかりやった。

「こいつらとの出会いが、オレっちにあの頃見えてたものを
 見せてくれてんかもしれへんな…」

フッと笑い、飲み終わったオレンジジュースのコップをテーブルに置く。

「今、開けるでリュオン!」

そう言いながら、オレっちは扉へ向かった。


コメント

久々SS(ショートストーリー)というものを書きました。
子どもに戻りたいというのは大人が常々抱いてる思いですが、
本当にそうなってしまったクリムならどう思ってるのか
ということを書きたかったんですが、
いかんせん物書きじゃないんで、なんというか言葉選びとか繋げ方が
下手くそですね…(苦笑)


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