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ボールペンで

下書きもなしに、さらさらと絵を描く。
そういうことに憧れて、なんとなく猫を選び、いろいろと練習していた時期がありました。

結果、描けるようになったのはその猫だけでした。
それだけしか描いていなかったので当たり前なのですが、当時は描きたいものもよく分からず、何を描けばいいのやらという感じで、ただそれだけ描いていました。
いろいろ描く人は、それだけいろいろ描いてきている人の方が大半なんだろうと思います。
そういう風にもなりたくて、でも、自分だけの何かも欲しくて。
クロッキー帳の中で行ったり来たりする線は、それはもう迷っていたことだと思います。

ある日、机の引き出しを整頓していて、とある紙切れを見つけました。
それがこれなのですが、当時、手のひらサイズのこの子がいろんなもので遊ぶさまを描くのがすごく楽しかった時期があったことを思い出したのです。
それからしばらくは、暇を見つけては手帳の隅に描いたり、それ用のノートを作ったりして楽しんでいたのですが、いつしかまた、描かない時期に突入してしまい、そのことをすっかり忘れていました。

再びこの子を本格的に描くようになったのが、2023年の5月頃でした。
当時はいわゆる頭身の高い、キャラ絵を中心に描けるようになりたくてもがいていたのですが、夫にこの子を見せた時、「この子じゃだめなの?」と言われて、はっとしました。
私にも描けるものがあったのか、と。
その後、友人に見せた時も、「こっちの方がすごく合っていると思う」というようなことを言われて嬉しかったのもあり、そしてそこには自分の描きたいものが色々あったことも思い出して、この子と付き合っていくことを考え始めたのです。

それでもやっぱり頭身の高いイラストが描けるようになりたい自分もいたので、結構悩みました。
何度も行ったり来たりをした結果、どっちもやればいいというところに落ち着いて今に至ります。
とはいえ、どちらも全力という訳にはいかないので、この子の方に重きを置く、という形にしました。

もし、今、描きたいものがわからないと思っている方がいらっしゃったら、過去の落書きやイラストを引っ張り出してみることをおすすめします。
もしかしたら、そこにヒントがあるかもしれないので…。

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