お仕事小説とやりがい搾取
アマチュア時代は学生が主人公の青春ものばかり書いていた私ですが、商業デビューしてからはいわゆる「お仕事小説」を書く機会ができました。
特定の業界について掘り下げて書くのは楽しいなと思います。
お仕事描写ががっつりだとこの辺りでしょうか。アパレルと旅行会社。
で、来週3巻が発売となるこちら、「恋ポテ」シリーズもアルバイト小説となっています。
◆働くことと自分のこと
私自身は、中学高校と日がな部活をバリバリやっていた経験がベースになっているのか、わりとど根性タイプの人間です。以前noteに書いた『全力でがんばりたかった話』にもあるとおり、可能なら本気で物事に取り組む方が好きなタチです。
なのですが。
作品内ではどこまでその精神でやっていいのかなーと、よく考えてました。
◆ブラック企業問題とか
上記のお仕事小説には挙げていないんですが、『休日に奏でるプレクトラム』という自著の中で、IT系企業でソフトウェアの開発をしている主人公が徹夜をするシーンがあります。
自分がかつてIT企業にいたのでそういうのを幾度となく目撃しているのと、まぁ物語の展開上必要だったのでそうなったのですが。
やっぱ徹夜なんかしたくないよなぁ、なんて。
好きでやってる仕事だとしても、やっぱり普通に休みたい。
『目的地はお決まりですか?』はそういう意味では無理な働き方はしてないですね。泊まりの仕事のあとはちゃんと休暇取ってます。
『訳ありブランドで働いています。』はどうでしょうかね……こっちはそもそも夢を抱えたインディーズブランドが(ちゃんと対価をもらえるレベルになれるよう)のし上がる話なので、ちょっと性質が違うかも。
で、新刊のアルバイト小説「恋ポテ」シリーズです。
◆アルバイトはあくまでアルバイト
「恋ポテ」シリーズは、主人公が高校生&アルバイト、という点で上記のお仕事ものとちょっと性格が違ってます。進学した高校でうまくなじめなかった主人公が、アルバイト先で色んな人と出会って成長していくお話です。
という物語の性質上、「仲間ができてアルバイト楽しい!」はまぁいいんですが、書いていくうちに主人公が「やりがいのあるアルバイトのためにがんばる!」になっていきそうで、これはまずいなと思い、3巻『恋とポテトとクリスマス』では「やりがい搾取」のエピソードを入れました。
担当さんにプロット見せたとき、やりがい搾取が出てくるとはと驚かれたんですが、でも知っておいた方がいいことですよね、と。
お仕事、特に今作はアルバイトなので、やっぱり決められた時間働いて、その分の対価をきちんといただく場であってほしいなーと。
サービス残業とか、時間外にもバイトの仕事のためにがんばるとか、そういうのは推奨してないってちゃんと書けたらいいなと思いました。
あと自分はど根性タイプの人間ではありますが。アルバイトに限らず、働いた分の対価はちゃんともらえる世の中であってほしいなぁと切に願います。
◆余談
お仕事つながりで。
このコロナショックで、副業でやってた派遣の仕事を3月末に突然切られました。事前告知もほぼなしのこういう場合は通常休業補償が出るものなんですが、条件的なものもあり、今回のケースでは何ももらえないと言われ。
黙ってられるかいと、労働局やら労働基準監督署やらあちこちの相談電話にかけまくり、結果、最低限の補償をもらうことに成功しました。
労働者はちゃんと権利とか自分で主張してかなきゃいかんなと身に染みて学びました。法律に詳しくなくても、相談すればそれなりに教えてもらえる。
あとこういう相談電話、フリーランスでも利用できるとわかったので、今回電話相談するという経験ができたことはよかったかなと思います。
◆そんなわけで、『恋とポテトとクリスマス』8/27発売です
と、お仕事のこととか色々考えながら書いたアルバイト小説『恋とポテトとクリスマス』が8/27発売です!
色々と書きましたが、タイトルにあるとおりメインはバイト内恋愛です。完結巻の3巻、真夏ですがクリスマスモードでキュンキュンしていただけたら幸いです💕書影も出ましたが超素敵です……!
3巻は電子版含め予約受付中、1・2巻は発売中です🍟🍔✨
基本的に記事は無料公開ですが、応援は大歓迎です!