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人はやはり褒められた方が伸びるような気がした話

新刊『死神短歌』(PHP研究所)発売になりました!

短歌を詠む死神のウタと魂の、出会いと別れの掌編集。短歌についても勉強できるとてもいい1冊となっています!

今作、自著ではとても珍しいというか初めての、ホラー寄りのテイストとなっています。すごく怖くはないけど、死神が出てくるお話です。こういうお話を書けたのが本当に嬉しかったのでその経緯。


◆一昨年の『てのひら怪談』が初商業ホラー

もう一昨年ですが、ポプラキミノベルの『てのひら怪談』の3巻にて、ホラー掌編を書かせていただきました。

商業デビュー以降は作風的にも縁がなかったにもかかわらず、このときご依頼いただけてとっても嬉しかったのですね。しかも、原稿提出時に編集さんと編者さんにもすごく褒めていただいて、またホラー書いてください的なことも言っていただいて。

端的に言うと、とても気をよくしました

◆アマチュア時代はホラーも実は書いてた

昔から面白いと思ったものはなんでも書くタイプだったので、アマチュア時代には実はホラーも色々書いてました。ホラーというかスプラッタというか。高校時代には「グロ描写うまいよね」と友人に褒められたりしてました(そのときは人体に寄生する花の話を書いてた)。

で、いざ商業デビューするとなりまして。デビュー作は高校生の部活もの、二作目は中学生の部活×恋愛、という感じで、ひたすら明るいラブコメや青春もの、お仕事ものが得意というのが私の作風となっていきました。
そういうお話も大好きで書いてるので全然いいというかこれからも書くのですけども、でも時々ふと、ダークなものたまには書きたいなと思ったりすることもあって。

商業って、デビュー作とそこから数作で本当に作家の作風って決まるなと思います。この人はこれが得意という武器が明確な方が売りやすいのもあるだろうし、そういうものが好きな読者さんがつくのであれば、やはりそれに応えた方がいいんだろうなともなるし。そしてそうなると、版元はもちろん、こちらからもあまり型破りなものは出しにくくなるなぁというのもあって。

◆提示されたのは「短歌がテーマの掌編集」

そんなあるとき、PHP研究所さんから単著のご依頼いただきまして、オーダーが「短歌がテーマの掌編集」だったのです。

打ち合わせでは、青春短歌みたいな感じとかよさそうですね~とか話していたのですが、いざ持ち帰って検討して、なんか面白い題材とくっつけられないかなと思ったとき、ふと『てのひら怪談』で褒められたことを思い出したのです。

ホラーっぽい要素くっつけたら面白そう&あのとき褒められたし、いっちょやってみるか、と。

最初は『怪談短歌』も考えたのですが、掌編集ならキーとなるキャラが一人いた方がわかりやすいなと思い、あれこれ考えていくうちに死神のウタというキャラができました。

こういう企画を考える場合、私はだいたい案を4つくらい提示するのです。このときも、青春短歌、怪談短歌、みたいなほかの案も3つ考えてました。が、自分の中で「絶対、死神短歌が面白そう&書きたい」と強く思ったので、珍しく先に企画を1本だけお見せしました。ほかにも考えたけど、死神短歌が一番面白そうなのでひとまずこれで、と。

そこで編集さんも面白そうとおっしゃってくださって、するするするっと死神短歌で企画が通ったのでした。打ち合わせで死神の「し」の字も出してなかったので、今思うとびっくりされたんじゃないでしょうか…。

思いきってチャレンジしてみてよかったです。

◆褒められは大事

というわけで、褒められて気をよくした経験により、あまりやってない雰囲気の企画にチャレンジできてとてもよかったという話でした。

これは本当に『てのひら怪談』でお世話になった編集さんと編者さんに大感謝だし、自分やはり褒められて伸びるタイプだなと思ったので、どんどん褒めていただけると今後も色々できるかもしれません←

ポジティブな言葉ってやっぱりエネルギーもらえるんですね。自分もよかったことがあったら、ちゃんと相手に伝えられるようになりたいです。

◆『死神短歌』すごくいい1冊です!

最後に改めて紹介。
『死神短歌』は、短歌が趣味の死神ウタを軸に展開する、10のお話が収録された掌編集。ウタは未練の糸を切ることを仕事にしていて、魂の未練に付き合わされたり、死にたいと思っている人間に振り回されたりと日々苦労しつつ、短歌を詠んだりしています。相棒は、死神専用タブレットにいるアシスタント、黒猫のクロノスです。

やづな様によるイラストも本当に素敵でかっこよくて、デスクに今もラフ画が貼ってあります。装丁もかっこいい。短歌について学べる解説あって、そちらは編集部で作ってくださってます。

目次とクロノス
1章あたま

ぜひぜひお手にとっていただけたら嬉しいです!


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神戸遥真
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