作家デビュー後初めてのシリーズ作品が無事に完結したので色々ふり返ってみた
11/22(金)、シリーズ最終巻5巻『この声とどけ! 恋がかなった!?クリスマス☆』が発売となりました!
2018年4月に1巻発売となった今シリーズ、原稿着手は2017年だったので、私個人としては2年半以上のお付き合いとなりました。
いつもはお話の最後に入れない、今巻にだけ入れた〈おしまい〉を入力したときは泣けました。無事に完走できて本当に本当によかったです。
デビュー間もなく右も左もわからないまま進めた初めてのシリーズ作品、かつ無事に完結できたということで感慨深いものもあり、ちょっとふり返りでも書き連ねていこうかと思います。
■1.きっかけは集英社みらい文庫大賞優秀賞受賞
そもそものきっかけは新人賞受賞(2016年夏)。とはいえ、受賞作は本にならず、新作を書き下ろすことになりました。
新企画を出すもいきなりの全ボツ、からの放送部ネタに決まり、その後も2転3転あって今の形になりました。受賞から本が出るまで丸2年。
(その辺の話はこちらを読んでください→「公募に100回以上挑戦してよかったこと」)
とにかく賞をいただいたのに本が出ないとかシャレにならんという思いで取り組んでいたので、1巻が出たときは死ぬほどホッとしました。
■2.イラスト担当が木乃ひのき先生に決まって小躍りした
こちらからリクエストを出したわけではなかったのですが、イラスト担当が木乃ひのき先生に決まりました。
担当さんからメールで「木乃先生に決まりました」とメールをいただいて、目が「!」になったのを今でも覚えています。
私はかつてあさのあつこ先生の『No.6』にドハマりしたクチでして、原作小説はもちろん、アニメDVDもすべて揃えていました。
そんな『No.6』コミカライズ担当が木乃ひのき先生。もちろんコミックスも全巻、それもすべて特装版で予約までして買っていました。
木乃先生のイラストが好きで、その後も木乃先生の『No.6』以外のコミックスも追っかけています。
まさか家にコミックスが揃っている漫画家の先生に絵をつけていただけるなんて……!と本当に恐れ多いありがとうございますがんばってよかったと震えました。木乃先生にオファーしてくださった担当さんにも本当に感謝。
■3.無計画なうちにシリーズ化
シリーズ化するかどうかは1巻発売直後の数字次第と聞いていたのですが、ありがたいことに発売即重版となって2巻に着手しました。
小説って、書いてると続編くらいまでの構想はなんとなく浮かぶものなんですよ。1巻発売前に担当さんとも話をして、「次は体育祭かな~」くらいに思ったので、そんな感じで2巻は着手。
そして2巻発売の少し前に3巻にもGOが出たのですが、ここで「どうしよう」とものすごい不安に襲われ、担当さんに相談したい旨をメール。
とにかく1巻を出さねば始まらないという勢いで1巻を書いたので、正直シリーズ化したときの構想がまったくありませんでした。
シリーズって、やっぱり軸が必要だと思うのですよ。アニメでいうところのシリーズ構成。各巻で一応トラブルは解決するけど、ちゃんと大きな流れのもとゴールに向かっていく道筋はあるべきなんじゃないかと。
でも2巻までそういうことを何も考えずに書いてしまいました。そもそもこの作品、「お昼の放送の存続の危機」という放送部としての最大のピンチを1巻で乗り切ってしまっているし、またうんちく詰め込み系作品という特質もあり、長く続けるのだいぶ厳しいんじゃないかとも思ってました。
あと、私は公募に送りまくって小説を書いていたこともあり、シリーズものにまったく慣れていませんでした。なろうとかで連載してる人だったら違ったんでしょうが、公募は1冊完結が基本。物量としては相当書いてきたものの、シリーズを続ける訓練がほとんどできていなかったんですね。
そんなわけで担当さんと相談し、引き延ばしたりせず5巻くらいで綺麗に終わらせようという話でまとまり、3~5巻の構成を3巻着手時に決めました。
■4.ヒヤヒヤが止まらなかった半年
5巻までのシリーズ構成は決まりました。あとは着々とプロットを作って原稿を執筆するだけです。
が、実は3巻着手時では5巻まで出るという確約がありませんでした。
3巻、4巻のラストはあとに引っぱる展開になっていたので、そりゃもうヒヤヒヤです。人気がなくて途中で打ち切られたらどうしようって思いながら、いかにも先に続きそうな感じで終わる3巻の原稿を書きました。
今思い返しても、あの頃は続きが出せるか本当に日々気になってしょうがなかったです。
幸いなことに、その後3巻が出る少し前くらいに「5巻まで確約もらえました」と担当さんから連絡があって胃の痛い日々は半年ほどで終了しました。
■5.余すことなく書き切れた
そんなわけで、予定どおりの5巻で無事に完結。
何よりよかったのは、主人公の成長や恋を最後まできちんと書けたこと。
全5巻のつもりでプロットを作り構成を考え、そのとおりに進められたので駆け足になった展開も回収しきれなかった伏線もありません。
出版不況で打ち切りなども珍しくない昨今、これがどれだけありがたいことかは言わずもがなです。
ここまで読んでくれた読者様にも不義理をせずに済み、また長い付き合いとなった主人公たちに今できる最大限に素敵なエンディングを用意できたことは本当にありがたいことです。書かせてくれた編集部には本当に感謝しています。
■6.思いがけず人気が出たヒビキくん
『この声とどけ!』は逆ハーレムっぽいキャラ編成のお話でもあります。
男子キャララインナップ↓
①五十嵐先パイ:クールだけど優しい。笑顔が貴重。何考えてるかわかりにくい。主人公の本命。
②ヒビキくん:主人公の同級生。女子嫌いだけど主人公にだけは心を開く。ツンデレ。直情型でわかりやすい。
③アサギ先パイ:明るく社交的なモテ男子。女子の扱いに慣れてる。優しいけどたまにチャラい。
作者予想ではアサギ先パイの人気が出るのでは……と思ってたんですが、読者ハガキなどでダントツの人気だったのがまさかのヒビキくん。
身長もあまり高くなくかわいい系なので、ビジュアル的には先輩二人に劣るのではと思っていただけに完全に予想外でした。「ツンデレでかわいい」という声多数。こういうのはホントわからない。勉強になりました。
おかげで後半はヒビキくんの活躍シーン増やしました。4~5巻ではとてもいい働きをするので読んでほしい。
■7.読者ハガキやファンレターたくさんいただけた
存在は知っていたけどまさか本当にもらえるとは……!と嬉しすぎて震えたファンレター。存在してた! 読者ハガキもファンレターも、『この声とどけ!』はたくさんいただきました。本当にありがとうございます。
届きすぎて無理~ってほどではないので書ける限りお返事は書いています。
■8.別のお仕事にも活きた
『この声とどけ!』で児童書の書き方を鍛えていただいたおかげで、別の出版社の児童書のお仕事も戸惑うことなくできました。
児童書って文章や気を配る部分が一般文芸とはだいぶ異なるため、執筆時には一般向けよりも気を遣いますし難しさもあります。そういうのを早い段階で学べたっていうのはとても財産になったと思います。
『ぼくのまつり縫い』はラブコメではありませんしどちらかといえば文学寄りですが、それでもやはり児童書として共通する部分はあるわけです。
蛇足ですが、『この声とどけ!』と『ぼくのまつり縫い』は舞台が近所です。『この声とどけ!』に出てくる転入生・サヨちゃんの前にいた学校が『ぼくのまつり縫い』の舞台・千城中です。
なお、ほかにも別のお仕事をいただくきっかけにもなりましたし、本当にありがたいことです。
2020年にも色んな本が出る予定で進めてますのでよろしくお願いします!
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以上、とりとめないですが、初めてのシリーズが完結したので思い出とか自分メモも兼ねて書き連ねてみました。
木乃ひのき先生、担当者さま、編集長さま、校閲さま、デザイナーさま、営業さま、その他このシリーズに関わってくださったみなさま、そして何よりシリーズを続けさせてくれた読者さま、本当にありがとうございましたーっ!!!
次の作品も鋭意準備中です。例のごとくでたくさん直したりなんだりしていて時期未定もいいところですが、1年経たずに出せたらいいなと思います。引き続きがんばっていきます!
基本的に記事は無料公開ですが、応援は大歓迎です!