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令和7年一級建築士合格へ①

前回投稿した、2025年のキャリアの目標と掲げた一級建築士合格に向け、まずは現状を振り返ります。

■学科で燃え尽きた初挑戦の令和5年


建築業界の最高峰にして最難関の資格、一級建築士。私が初挑戦をしたのは令和5年でした。
2022年4月からHMでの社会人生活が始まり、学生の頃からの憧れ、お客様の信頼獲得、社内での昇給、将来転職する時の選択肢を増やせる等、取りたい理由はたくさんありました。
ただ、住宅設計の実務をする上で二級建築士が必須の為、社会人1年目は二級の取得に集中しました。そして二級は無事に学科製図共一発合格することができ、社会人2年目となる令和5年に満を持して初挑戦しました。
結果、学科は一発合格(本試験92点)できたものの、製図はランクⅢで不合格でした。令和5年の自身の勉強を振り返ると、学科で力尽きた感は否めなかったなと思います。

仕事をしながらの長期間の学習に中々モチベーションが上がらず、一応毎週総合資格には通い、法令集の線引きも終わらせてはいましたが、学科の勉強に本腰が入ったのは3月末でした。その結果、4月頭の模試①で62点と、今年合格する人の点数とは思えないところからのスタートでした。それが逆に燃えて、ここから怒涛の追い上げを見せてやろうと思い、猛勉強しました。6月からは実物件を持ち始め、残業も増えていきましたが、夜取れない時間は朝確保しようと毎朝6時半に起き、マック等で勉強をしてから出社する日々でした。懐かしい…

学科猛勉強時代の朝マック

その結果、模試毎に点数は上がり続け、最後の総合模試で84点に。個人的には伸び続けていて好感触でしたが、周囲の目は厳しかったです。
というのも、一級の学科は、模試で80.90点の人のほとんどが落ち、100.110点のほとんどが受かる試験だからです。総合資格の広告がそれを証明しています。なので総合資格の担当の方も、社内の上司や先輩からも、今年は厳しいなと言われました。

令和6年の総合資格の学科合格率

この広告の下1行に注目してください。
8割出席・8割宿題提出・総合模試100点以上の受講生のデータです。要するに、11月から始まる毎週の授業にちゃんと出て、凄まじい量の宿題もちゃんとやって、その上で最後の模試で100点を超えた受講生の9割が受かってます、ということです。もちろん私は該当しません。逆に言えばですよ、それだけやってきた人たちの10人に1人は落ちてるんです。そこで思いました、本番でその1人に入れば受かるじゃんって。それに、周りに何と言われようと俺が俺の力を信じんくてどうすんねんとも思い、そこから2週間もなかったですがラストスパートを頑張りました。そして本試験では過去最高得点の92点(計画13、環境16、法規24、構造23、施工16)で合格しました。見たか!って感じでした笑
試験の大前提ですが、本番で合格点を取れば受かります。当然のことですが。なので、模試はあくまで途中経過に過ぎず、一喜一憂しすぎないことが大切だと改めて感じました。そういう私も不安だらけでしたが、自分にそう言い聞かせ続けた結果、確信に変わりました。
※ただ、私の受かり方は10人に1人の少数派であることに変わりはないので、確実に受かるなら模試で100.110点を基準にした方がいいです。一応こんなパターンもあるよということで、私と同じような点数で伸び悩む方への励みになればと思い、まとめています。

そして息つく暇もなく製図の勉強がスタート。
これが学科以上に過酷でした。仕事では自分の物件以外のサポート業務がさらに増え、帰りはさらに遅くなり、また学科のように隙間時間の勉強が難しく、平日はほとんど勉強時間を確保できずで、宿題もまともにできませんでした。
そんな中、自分よりも圧倒的な理解とスピードを放つ既受験生の存在にも焦りを感じ、不安だらけのままあっという間に本試験当日に。
正直試験を受ける前から、上手くいけば受かるかもくらいで、自分でも厳しいなと思ってました。案の上終わった後の手応えも悪く、結果はランクⅢ。要因としては、
・延焼ラインの位置間違い
・PC梁の記入漏れ(要求にはなかったですが、PC梁がないと成り立たないプランになってしまいました)
・図面密度が薄かった(家具等)
・要点記述も弱かった(蔵書数、屋上設備等)
といったところですが、そもそも読み取りでミスをしてしまったことが、後のエスキス、作図、チェックを苦しめました

学科から振り返ると、怒涛の追い上げで何とか学科には合格できたが、正直そこで燃え尽きてしまった感がありました。そこからもう1段ギアを上げて最後まで走れたかというとそうではなかった。むしろ失速してしまった…
その自分にしかわからない嫌な感触を持ちながら、精神状態も重要な試験の当日を迎えてしまったことが敗因だったと思います。

■リベンジを誓うも1/2に負けた令和6年

今年こそ何が何でも合格しようと臨んだ令和6年。資格学校は日建に変えました。去年通った総合資格の長期に通う予定でしたが、私の住む地域では水曜コースの受講生が少なく長期を開講しないと言われてしまい、課題発表までのアドバンテージを有効活用したいと思ったことと、二級から2年ずっと同じ校舎に通っていたので気分も変えようと思い、日建の長期を選びました
せっかく大手2社両方に通ったので、合格できた後に改めて感じた両者の違いについてもまとめたいと思います。

3月から授業が始まり、最初は総合資格との解き方の違いに戸惑いながらも徐々に慣れていき、気づけば7月末の課題発表を迎えました。
今年は大学!?めちゃくちゃ戸惑いました…
初出題の用途なのに加えて、去年の図書館のようにボリュームが想定できないので、低層と基準階の両方やらないといけない、さらに令和6年は学科の合格率が近年で一番高く、そこから製図はかなり絞られるだろうなと容易に想像できたので、今年は相当厳しい闘いになるなと、そう思いました。
仕事では5件のお客様を同時に抱え、こっちの忙しさも増すばかりでした。でも今年こそ受かると決めたので、やれる限りを尽くしました。
作図は日建の先生に勧められたフリーハンドで格段に速くなり(自分で言うのもなんですが、元々字は綺麗な方で、実務でも手書きを武器にしていたのでこれはやって良かったです)、構造と設備の理解も深まり、記述もいいレベルまで上がりました。試験前の先生との面談でも、いつも通りやれば受かると、去年一度も言われなかったことを言っていただけて自信になりました。
そして迎えた本試験。時間配分も上手くいっていると思った最中、エスキスチェックで1つのミスに気づきました。東側のヘリ空きが5mしか取れてなかった。車椅子使用者用駐車場3.5m免震カバー+クリアランスで3m(総合資格の指導だと2.5mでもいいみたいですね)の計6.5mは確保したいところでした。それぞれの寸法は当然把握しエスキスを進めていましたが、それらが干渉していたことにエスキスチェックまで気づきませんでした。幸い、まだ想定していた時間配分に多少なり余裕はありました。ヘリ空きを確保したり、ピロティ駐車場にしたりして再エスキスをするか、このまま進めるかの1/2にとても悩みました。私は後者を選びました。理由としては、基準階、段床、免震層と、いつもの課題より作図量が多いことと、去年はエスキスに時間がかかりすぎて、作図とチェックをまともにできなかったことが頭をよぎったからです。ただ何もやらないよりはましだろうと、作図表現を変えました。免震カバーを通常2mとするところを4mの持ち出しとし、その上を駐車場としました。日建では持ち出し2mで学んでいたので4mが成り立つか不安はありましたが、これなら大地震が起きても免震カバーと駐車場はぶつからないと考えました。少しでも配慮したことが試験管に伝われば、そう願って書きました。
作図も無事終わり、去年以上にチェック時間を確保でき、ランクⅣは確実に回避できました。
日建の復元図採点はランクB(本試験でいうランクⅡ、採点通りの結果となるかは学校側もわからないのであえてそう言ってるんだと思います)。要点記述もほぼ満点で、プランも綺麗にまとまり、気になるのは免震カバーの表現がどれくらいの減点になるか、ということでした。
結果は去年に続きランクⅢ。厳しかった…
去年以上の知識とスキルをつけて臨み、手応えもありましたが、不合格でした。令和6年の製図単体の合格率は、過去19年で最も低い26.6%、合格人数も最も少なく3010人と、文字通りの史上最難関の年でした。
ところが何人か知人の話を聞くと、免震カバーと駐車場が干渉している図面、西側アプローチを設けていない図面、断面図の基準階を省略している図面でも合格できています。
妬みで批判をしたい訳では決してなく、あくまで私の憶測ですが、
・免震カバーと駐車場の干渉
→大地震時に車にカバーがぶつかるが、そのタイミングピンポイントで人が乗ってさえいなければ、車が壊れるだけで済むので、小減点で済んだ。自分は4mの持ち出しが構造的に成立しないと受け取られ、大減点となってしまった。
・西側アプローチを設けていない
→駅から大勢の人のアクセスが想定されるので計画上の減点だが、他の点(構造等)では建物として成立しているので小減点で済んだ。
・断面図の基準階を省略
→これは正直納得できません。何より課題文に省略はしないと明記されてるし、それがOKならボリュームを増やせる高層にした方がエスキスもしやすい。作図量変えずにエスキスだけしやすくなるなんて反則でしょ…合格基準がフワッとしかわからないあまりにもブラックボックスな試験なのでモヤモヤします。その人の他の部分の完成度は相当高かったのか…
ただ試験結果を母に伝え、こう言われました。
「試験は難易度もさることながら…結局合格した者が勝者。」
まさにそうですよね。母は税理士試験を7年の挑戦の末に合格しました。勉強そのものも大変だったと語る母ですが、その間に父の交通事故や三男の誕生等、私生活も超多忙だったそう。それだけ苦労して取った税理士資格を武器に、今もバリバリ働いています。カッコイイ。
結局そうなんよな。落ちたやつがグチグチ言ってても全部負け惜しみみたいに聞こえちゃう受かったやつが言うのとは言葉の重みが違う
その裏にどんな苦労や努力があろうと、他人からは結果しか見えないし、結果以外見られない。どれだけいいデザインができる設計士でも、一級がないと一級の規模の設計はできない。それが資格の厳しさでもあり、取った後の強みなんだろうなと思います。

■ヒーローになれそうな令和7年


2年連続の不合格で、あっという間に追い込まれました。角番です。今年受かったらヒーローになれます笑
一昨年も去年もめちゃくちゃ落ち込んだクリスマスでしたが、死ぬ訳ではないし、昨年は手応えもありました。一昨年太刀打ちできなかった試験で堂々と闘えたという感触がありました。
同じランクⅢでもそこは大きく違う気がします。
それにもっと言えば、合格がゴールじゃないその先に非住宅の設計といった自分のやりたいことがあって、あくまで通過点。そこを履き違えて、一級合格のハードルを自分の中で必要以上に大きくしすぎてしまったり、いざ受かった後に道を見失ってしまったりといったことがないよう、これは肝に銘じておきたいと思います。

②に続きます。




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