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ガイズ&ドールズカンパニーにエールを 『ガイズ&ドールズ』一部公演中止に寄せて

何度、同じようなニュースに打ちひしがれただろう。

今年イチ楽しみにしていたと言っても過言ではない『ガイズ&ドールズ』までも、コロナのあおりを受けるとは。
予想の範囲内の出来事ではあるけれど、何度経験してもやはり気持ちが沈む。

『元禄バロックロック』『笑う男』『ラ・マンチャの男』。
2022年だけで、手持ちの3公演分のチケットが消えた。
『ガイズ&ドールズ』について、ひとまず公演中止対象のチケットをわたしは持っていない。しかし公演中止期間が延びたことなど、今までに何度もある。この手元のチケットだって、泡と消えるかもしれないのだ。

とてもチケットの入手が難しい公演だっただけに、唯一確保できたのが期間内のチケットだったという方も、たくさんいらっしゃるだろう。

悔しい。ひとりでも多くの人に観てほしかった。

今回の東宝主催の『ガイズ&ドールズ』は、何と言ってもマイケル・アーデンの演出が素晴らしい。映像的な要素をふんだんに取り入れてある。
加えて、実際は世界恐慌の只中で暗い雰囲気だったはずの1930年代のニューヨークを、日本を代表するミュージカルスターがそれぞれの持ち味を活かして彩る。カラフルで華やかな物語の世界に舞い降りた、キュートな2人のドールズ。ひたすら可愛いサラとコケティッシュなアデレイド。彼女たちを愛し、翻弄されるギャンブラー・スカイとネイサン。それだけじゃない。ネイサンの下に集まってくるギャンブラーたち、それを追うブラニガン警部補、救世軍の方々、天才かと思うダンサーさんたちやオーケストラの皆さん。全員が与えられた仕事を全力でまっとうしている。まるで、細部まで丁寧に配置を考え抜かれ、完璧な調和を見せている枯山水の庭園のようなカンパニーなのだ。

正直、これほどまでの作品はあまり記憶にない。
「ミュージカル」という意味では、劇団四季の上演作品なら遜色ないと言えなくもないが、『ガイズ&ドールズ』は単純なミュージカル作品ではなく、映像的要素をふんだんに使った野心作である。それが、かなり高い次元でまとまっている。

次にこれだけの興奮をもたらしてくれるカンパニーに、いつ出会えるか分からない。だからこそ、公演中止は非常に残念だ。

私以上に残念な気持ちでいるのは、カンパニーの皆さんのはず。
無事初日の幕が上がったことに胸をなでおろし、このまま駆け抜けるぞ!と思っていたに違いない。
こころを痛めているだろう、『ガイズ&ドールズ』カンパニーの皆さんひとりひとりに、「どうか気落ちしないで」と伝えたい。

いまはただ、1日も早く関係者の方の体調が回復し、公演が再開できることを祈っている。


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