三浦春馬の故郷で彼を想う 土浦セントラルシネマズで観る「森の学校」
朝イチで、いつもの美容室にカットに行った。
「…気づいてます? 円形(脱毛症)の跡ありますよ」と、美容師さん。
「年末にいらした時には無かったです。こういうのって、ストレスかかったタイミングとは遅れて出るものなんですけど、10月とか11月とか、何かありました?」と聞かれて、曖昧に答えておいた。
どうやら、ピークは過ぎてて回復傾向にあるとのこと。私の気持ちのありようとも一致している。
まさか、私をハゲさせたのはあの三浦春馬ですとは言えず(心当たりはそれしかない)、そっと心にしまって美容室を後にした。
今日は時間が空いているので、何か映画を観るかなと思いつつ、家に帰るとまだ10時。掃除は終わってるし、「tourist」の見直しに当てようか、それとも、どこかで「森の学校」を観ようかと思って、何げなく土浦セントラルシネマズさんの上映スケジュールを確認した。
すぐ出れば、何とか13時の回に間に合う。
さっとそんな考えが頭をよぎった頃には、もう出かける準備を始めていた。
「森の学校」の西垣監督がいらっしゃるイベントのタイミングでは行けなかったけれど、イベントに出向いた方のツイートを見る限り、とても温かい空間が春馬くんを包んでくれているようだったので、行けるときに行っておこうと前から思っていたのだ。
春馬くんの故郷・土浦で彼の初主演映画を観る。何とも心が浮き立つ思いつきだ。頭の10円ハゲの回復にも、何だか効果がありそうな気がした。
こうして、私は2月らしからぬ麗らかな日差しの中、土浦に向かうことに決めたのだった。
土浦駅到着・土浦セントラルシネマズさんへ
JR土浦駅は、地方の快速電車が止まる、ちょっと大きめの駅、という趣だった。やや大きめのバスターミナルとタクシー乗り場。どこの街にもある、見慣れたチェーン店。駅ビル。それらがコンパクトにぎゅっと詰まった駅前を、ぼんやり眺めてみた。
駅のロータリーをぐるっと回った軽自動車が、左折のウインカーを出している。春馬くんは、電車で東京まで仕事に通っていたのだろうか。仕事の帰りには、駅までお母さんに車で迎えに来てもらって、あんなふうにぐるっとロータリーを回って家路についたのだろうか。
春馬少年が、車の中でお母さんと笑いあうのを想像しながら、さして駅から遠くない土浦セントラルシネマズさんまでの道のりを、のんびり歩く。
この常陽銀行の横を、春馬くんは「親友」と呼ぶ格闘家の江幡兄弟と連れ立って、じゃれあいながら歩いたりしただろうか。春馬くんが何かのバラエティ番組で、自転車でウロウロしたと言っていた好きな女の子の家は、どのあたりだったのだろうか。
色々考えながら歩いているうちに、あっという間に到着してしまった。
土浦駅から歩いて5,6分と言ったところだろう。土浦セントラルシネマズさんの入っているビルの下には、写真のようなのぼりがはためいていた。
ビルの2階が映画館になっているということだったので、2階に上がってみると、ポスターと、写真展の案内をするマトくんが出迎えてくれた。
「写真展」と記載されているが、「森の学校」の写真だけではなかった。『いかにも手作り』といったぬくもりを感じる空間が、そこには広がっていた。
地元紙の春馬くん紹介記事が展示されている。「森の学校」舞台挨拶時のサインと、「クローズZEROⅡ」撮影時に寄ってくれて、置いていってくれたというサインが、並べて飾られている。
背筋を伸ばして笑顔で美しい字を綴り、「『森の学校』の時は、ありがとうございました」と丁寧に館長さんに挨拶する、美藤姿の春馬くんが頭に浮かんで、胸が熱くなった。
二度目の「森の学校」 新たな発見
土浦セントラルシネマズさんで観た二度目の「森の学校」には、新たな発見がたくさんあった。一度目に観たときに感じた自然の瑞々しさはそのままだったが、端的にまとめると
1.マトのガキ大将の先代(?)に当たる子の演技が素晴らしかった。
2.マトの先代(?)が憲兵隊から帰ってきた時の皆の歓声と、マトが憲兵隊長の息子とやりあったことを怒られた後、教室に戻るときの皆の「マト」コールが示すものは、同じ。ガキ大将をガキ大将として認めるのは、いつだって仲間たちで、そこには子どもたちなりの絆があった。
3.庭にスモモがなっているのに、よそのスモモを盗ろうとすのはなぜなのか。みんなで盗み食いしているときの美味しそうな顔といったら・・・
4.憲兵隊長の息子と喧嘩するときの、マト少年の表情が、「クローズZEROⅡ」の美藤みたいだった
5.今回は祖母が亡くなるシーンの春馬くんの演技に、驚いた。
「天外者」の母が亡くなるシーンでの春馬くんの演技と、そっくりだと感じられたのである。
伝えたいことがあったのに、実際に伝えられずに逝ってしまった。
マトは、祖母の思いを踏みにじったことを謝りたかった。
五代友厚は、母に「新たな世の中」を見せたかった。
どうしようもない悲しみと、悔しさの入り混じった思いを、表情としぐさで表しきる。
三浦春馬は、子どもでも三浦春馬だった。その言葉を「なんとなく」前回は使ってしまっていたけれど、二回目に観たことで、言葉の意味がきちんと腑に落ちた気がしている。
映画の終わりに
始まる前にも館長さんが「寒くないですか?」と声をかけてくださったが、終わった後にも「寒くなかったですか?」とまた声をかけてくださった。
少しだけ館長さんとお話をする機会があった。話の内容を箇条書きしておく。
・写真展の内容は、2週間に1度入れ替えるのだけど、入れ替えたばかりなので次は2週間後に入れ替える
・私が2度目の「森の学校」鑑賞だと伝えると、以前はどこで観たのか聞かれたので、秋葉原のUDXシアターだと答えたら、どっちの劇場が良かったかと館長さんに尋ねられた。もちろんこちら(土浦セントラルシネマズさん)ですと答えた
・階段状になっているので、音が伝わりやすいことが土浦セントラルシネマズの売りであると館長さんが言っておられた
・3月になったら「天外者」を上映するのでぜひ来てほしいと、館長さんに言われたので、私はもう何度も観ていますが、またぜひここで観たいと思います、と伝えた
「天外者」と「森の学校」のダブルヘッダーを土浦のここで、というのを想像しただけで心が温まって、とても素敵なことのように素直に思えたのだ。おまけにロケ地巡りまで出来たら最高だなとウキウキして、映画館を後にした。
館長さんがくれた「天外者」のフライヤーには、「土浦セントラルシネマズ」の印字が。もうこれ、永久保存版。
そして、本日頂いた映画のチケットの半券。これも永久保存版。
きっと私は、3月になったらまた土浦セントラルシネマズを訪れることだろう。想像しただけで気持ちが明るくなって、ほっこりする。
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