小野伸二も太鼓判!異彩を放つ〝逸材レフティー〟金子拓郎を見逃すな!
この男がボールを持つと観客が湧く。
いや、至る所から感嘆の声が漏れ聞こえるという方が正しいかもしれない。
切れ味鋭いドリブルと切り返し。
その間合いに入った瞬間、スタンドの視線がその一点に釘付けとなる。
所作の一つ一つが画になる男だ。
視察に訪れた多くの関係者も
彼が〝1仕事〟を終える度に
羨望の眼差しを送りながら呟く。
ピッチ上で極上の輝きを放つ
その男の名は
日本大学サッカー部
金子拓郎選手。
2020年から北海道コンサドーレ札幌への
入団が内定している逸材選手だ。
この男、要注目である。
金子拓郎の凄さとは?
①ドリブル
小気味良いボールタッチで相手を剥がす
〝仕掛けのドリブル〟は圧巻だ。
中盤間で相手を背負い
ボールを受け運ぶ
〝時間を作るドリブル〟も悠々にこなす。
特にドリブル時の
〝球際の強さ〟
〝姿勢の良さ〟
には目を奪われる。
DFとイーブンな状態でボールを受けると、
身体を巧みに当てながら
クルリと入れ変わって攻勢に転じる。
そして、姿勢の良さが相まってか?
すかさず、次のプレーへ転じ
チャンスメークもできれば
自身でフィニッシュまでも持っていく。
幼稚園から小6まで、
器械体操を経験していた
という点に起因する
軸の強さを感じる。
金子の入団に携わった
コンサドーレの三上GMも
入団会見で
右45度から仕掛けるドリブルは金子最大の見せどころ。
そこから鋭い切れ味でカットインして左足でのシュートというのが彼の十八番。プロの舞台でもそのドリブルは止められる選手も少ないだろう。
また、中に一辺倒でもなく、縦へ鋭く仕掛けてからの右足でのクロス。
そこからの切り返しを交えて左足でのクロスもある。
選択肢が豊富なだけにDFも翻弄されるのだ。
②左足の精度
そして〝左足〟の精度も非常に高い。
一口に左足と言っても、多くの非凡さを感じる。
ドリブルで相手をいなした後、逆サイドに触れるフィード能力の高さ。
そして、クロスに持ち込む回数とその質にも是非注目して欲しい。
ドリブルで切り込んでから
パンチの効いた左足のシュート
を放つのも十八番だ。
大学ではMF登録ながら、7得点を挙げるなど
リーグ得点ランク上位につける。
そして、既にプロの舞台
ルヴァンカップでも得点を挙げている。
まだ、Jリーグの舞台では、お披露目してないが、飛び道具も兼ね備えている。
その左足から繰り出すセットプレーにも要注目だ。
FKやPKは、独特の間合いにぜひ、注目して欲しい。
大学のフィールドでは、その左足から放たれる鋭いキックで数多の得点を演出している。
③肝っ玉の強さ
ドリブル・左足の精度・プレービジョン
どれも優れているが、彼のプレーは、洒落れている。
それも身の伴った洒落っ気だ。
ある種の〝エロさ〟を感じさせながら、
明確なゴールへ向かう姿勢も感じさせる。
金子は今シーズン、特別指定選手として既に
Jの舞台で14試合(Jリーグ6試合、ルヴァンカップ8試合)出場している。
それだけで、北海道コンサドーレ札幌監督の
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督から
高い評価を受けている事が分かる。
しかし、突出するべき点は、
〝負ければ敗退〟というルヴァンカップの
プレーオフステージ・準々決勝・準決勝の
2ndレグで全試合、途中投入されたことだろう。
僅か1点のリード下で、
監督が選択する交代カード。
即ち、任務遂行のための
〝技術〟
〝ハート〟
を持ち合わせる選手
と評価されているとも言い換えできる。
そう。金子は精神的なタフさも兼ね備えている。
自分はもちろん、味方に要求することも厭わない。
気持ちを前面に仲間を引っ張る姿は、何とも頼もしいのだ。
精神的な強さと確かな技術力。
どんな状況でも仲間と愚直に勝利を目指すその姿を見ると大学生ながら、クラブの貴重な戦力として数えられるのも頷ける。
転機の2018年
金子は小1でサッカーを始めると
高校は全国屈指の強豪・前橋育英に進学。
2年時の全国選手権で準V、
3年時は8強進出に貢献し、
大会の優秀選手にも輝いた。
同期の優秀選手に
杉岡大暉選手(市立船橋)・小川航基選手(桐光学園)
椎橋慧也選手(市立船橋)・神谷優太選手(青森山田)
など高卒選手として、プロで活躍する面々らと共に連ねた。
そんな、金子の大きな転機となったのが
大学3年時の2018年である。
日大は、前年の2017年に強豪ぞろいの関東大学リーグ1、2部の
下部にあたる東京都大学リーグ1部に降格してしまう。
しかし、金子はアピールを続けた。
2018年、所属する東京都大学リーグ1部で8得点を記録。
最優秀選手賞にも選ばれる活躍でチームの関東2部リーグ復帰の原動力になったのだ。
また、時を同じくした2018年に
コンサドーレの新人獲得方針も転換期を迎えた。
それまで、道外新人の獲得は人員や予算割きが難しく、
札幌U-18からの昇格や道産子の大卒選手が主だった。
※北海道と縁がない大卒新人の獲得は
2009年沖縄大の上原慎也選手以来なし
しかし、2018年に竹林京介強化部長が加わり、
強化部の体制が充実し(三上GM、竹林強化部長、鈴木強化担当)
視察の機会も増加。
道外の高校、大学のスカウト活動に注力し始めたのだ。
そんな金子を鈴木強化担当が大学の大会視察で兼ねてから注目。
そこで日大が2018年8月に釧路市阿寒町で行った合宿の最終日にコンサドーレとの練習試合をセッティングした。
練習試合でも高評価を受けた金子はそのまま札幌に急遽残る運びとなり、約10日間の練習に参加。
そして、今年2月の熊本キャンプにも招かれ、強化部と現場でも評価が一致。
見事にプロ契約を勝ち取った。
コンサドーレとしても大学3年時に、
翌年の加入内定を出すのは初めての事例だった。
双方の〝想い〟と〝縁〟が相まって、
金子の早期獲得にコンサドーレは成功した。
余談となるが、スカウティング体制が
拡充されたコンサドーレは
筑波大学蹴球部 高嶺朋樹選手(2020年)
大阪体育大学サッカー部 田中駿汰選手(2020年)
法政大学体育会サッカー部 中野小次郎選手(2021年)
金子と合わせて、〝大学サッカーのドラ1選手〟
と呼べる逸材の獲得に次々と成功した。
田中にはC大阪など複数のJ1クラブ、高嶺にも欧州クラブを含めた複数クラブが注目。
そして、中野も育成組織期間、在籍した徳島や王者・川崎などの練習に参加した中、コンサドーレへの入団を即断したという。
近年、大学4年の期間をクラブへの順応期間としながら可能な範囲でトレーニングに参加し、翌年、レギュラー格として活躍といった事例は少なくない。
期待が高まる陣容である。
2019年主な事例
渡辺剛選手(中央大⇒FC東京)
荒木隼人選手(関西大⇒広島)
相馬勇紀選手(早稲田大⇒名古屋⇒鹿島)
高尾瑠選手(関西学院⇒G大阪)
西澤健太選手(筑波大⇒清水)
代理人業務をこなすある人物も
金子を高く評価する。
何を隠そう、
その〝希代の天才〟
小野伸二選手も
金子に期待を送る一人だ。
観客を楽しませるプレーを繰り出す者同士、
何か通ずるものがあるのだろう。
金子は日大で主に4-4-2の中盤右を主戦場に、
シャドー・FW・サイドハーフなど
複数のポジションをこなす。
コンサドーレではここまでシャドーやボランチを中心に起用されている。
厳しいポジション争いは覚悟の上で決意を語る。
今季、J1リーグでは途中出場が6試合。
先発出場はまだない。
今のコンサドーレでポジションを
確保するハードルは非常に高い。
プロの強者たちと壮絶なポジション争いが待っているのだ。
それでも、金子ならやってくれる。
そう思えてならない。
コンサドーレのサポーター間でも、
金子の評価は総じて高い。
しかし、ここまでで驚くのは
時期尚早だと考える。
まだまだその実力は過小評価されていると断言する。
金子拓郎という男はプロの舞台で
まだまだ、本領発揮していない。
もっともっと、その左足で魅せてくれるはずだ。
来シーズン、コンサドーレの大きな力
となることを確信している。
力強く語る視線の先に待つ、世界が楽しみでならない。
先日のルヴァンカップ決勝は、メンバーに選ばれず、スタンドから観戦したが「あのピッチに立って活躍したい」その想いで溢れていたという。
北の大地で成長し、日の丸を背負う。
そして、その先のまだ見ぬ世界へ‥
そんな姿をも期待させてくれる。
コンサドーレで好きな応援歌は赤黒の勇者だという。
金子が本物の赤黒の勇者として、
俺たちの誇りとなる日は近い。
最後に繰り返そう。
金子拓郎の左足を決して見逃すな。
必ずやコンサドーレの誇りとなる選手となってくれる漢だ。