We are Sapporoが再びスタジアムにこだまする瞬間を願って
今か今かと待ち望んだ、Jリーグ開幕。そんな蹴春到来から早くもシーズンの半分が消化された。
コンサドーレは前半戦17試合を終えて、7勝5分5敗の勝点26。クラブ最高位(4位)の2018年に匹敵する勝ち点を積み重ねている。
何よりリーグ1位を誇る得点数は圧巻だ。
モビリティとポリバレントの色がより濃くなった、攻撃サッカー。複数人が連動し、相手ペナルティエリアに侵入する過程で「上手い!」と思わず声をあげさせてくれる場面も少なくない。
札幌での6シーズン目を迎えたミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督の追求する攻撃サッカーが新たなステージに昇華しているようにも感じる。
札幌はJクラブのトップチーム人件費が12位(2022年)のチームだ。いくら綺麗事を言おうが、予算が大きければ大きいほど、強力なクラブを形成しやすいのは世界のフットボールを見ても明らか。この予算でそれ以上の順位。ましてやリーグトップの得点力を誇るコンサドーレ。魅せて勝つこと追い求める、ミシャ札幌には改めて、リスペクトの意を示したい。
たが、現在、Jリーグには、弱肉強食の波が、着実に押し寄せている。
2023年のリーグから、クラブへの配分金が共存から、競争へと舵を切られたのだ。勝ったもの・人気のあるクラブはより多くの賞金を手にし、更なる投資に回せるサイクルを作りやすくなる一方、逆の状況からの下剋上はこれまで以上にハードルが高くなる。
言い換えれば、これまで以上に、結果に拘っていかなければ、この魅力的なサッカーを展開するスタッフや選手へ上位クラブからの誘いの囁きが届きやすい環境になるとも言える。ここからの数シーズンの結果は、今後のクラブの地盤を決めうる戦いになるのだ。
そんなシーズン開幕前、コンサドーレはトップチーム強化を目的としたクラウドファンディングを実施。目標額の1億円を上回る109,654,669円の支援総額が集まった。
このような飛び道具は、毎年、行えるような施策ではない。クラブとしても是が非でも結果が欲しいシーズンとの意気込みが伝わって来る。
迎えた勝負の2023シーズン、コンサドーレは前述の通り、見事なサッカーを展開している。
また、選手同士がピッチ上で互いに要求し合うシーンが劇的に増えた。仲は良いけど、どこか馴れ合いも感じさせたチームが、語気を荒げながらも、味方へ別の選択肢を求めるシーンが散見する。
リスペクトのない追求は、遺恨を残す可能性もあるが、コンサドーレのメンバーを見れば、そこへの心配は必要ないだろう。一時的に感情的になることはあろうときっと大丈夫。そう思えるようなメンバーが揃っている。
そんなチームの変化に対し、12人目の選手ともいわれるサポーターの応援は、これまで以上の熱量を届ける事は出来ているのだろうか。
コロナ前の2019年シーズン、札幌ドームでの平均動員数は20,851人だった。
対して、2023年シーズンのここまで8試合の平均動員数は15,232人。
ホーム最終節やお盆に山が来ることを差し引いても、少し寂しい数字と言えるだろう。
当たり前が当たり前でない事を身に沁みて感じさせた、数年間を経て、スタジアムに声が戻ってきたことは本当に喜ばしいことだ。だが、空白の数年を経て、失ってしまったものがあるのでは?と危惧する人間も少なくない。単純なスタジアムに来る母数が減ったという事だけではない。
色々な形でのクラブへの応援や発信スタイルが定着した昨今、各人の考えや認識を一つにすることは簡単でないし、その必要もないだろう。
だが、各クラブがこれまで築いてきた、カルチャーというのは大切にしていきたいと思う。各々のクラブには各々の色がある。
2022シーズン、条件付きながらも、声出し応援が数年ぶりに解禁された味スタでのコンサドーレ、ゴール裏からの、第一声は、We are Sapporo だった。
2年以上に渡り、声で後押し出来なかった各人が、時間とその間の思いを噛み締めながら送る、We are Sapporoがスタジアムにこだましていた。
その後、ホームで最初の声出し解禁となった、サガン鳥栖戦でも、We are Sapporoの大合唱が轟いたと記憶している。
だが、応援の制限が解除された今シーズンのスタジアムにおいて、We are Sapporoは歌われていない。勝利後の儀式となっていた、すすきのへ行こうのあり方も揺れている。
ゴール裏のカルチャーというのは、時代に反する側面もあるだろう。受け入れていくべき流れも今後あるはずだ。ただ、あの異空間発だからこそ、伝播していく熱狂や歓喜もあると考える。
ピッチで素晴しい戦いぶりを魅せてくれているチーム。今年のチームなら、本気で何か形として残る結果を残し得る。そんな期待感を抱かせる。
以前、こんな記事を書いた。
いくら、スタジアムを彩り、熱量で圧倒しようが、その力が勝敗に関与することは稀なのが現実だろう。
だが、確かにスタジアムの雰囲気が、勝敗に寄与したでしょ!?と感じる瞬間がある。
札幌はここ数年、あと1勝、あと1点に泣いて、大きなチャンスを掴み損ねている。
その1点に寄与できるかもしれないのが、スタジアムの作る熱だと信じている。年に1回あるかないか?かもしれない、あの瞬間をもたらせるか?
その空気を作れるかは、各人のスタジアムでのアクションにかかっている。
ゴール裏を起点に、メイン・バックへ声援や拍手が波及し、スタジアム中に熱が伝播していく様がたまらなく好きだ。ただ、あの感覚はまだ、今年味わえていない。
ある選手は以前、こんなことを言っていた。
ミシャコンサドーレは、今、新たな扉を開く可能性を魅せてくれている。
彼らの魅せるその情熱に、我々は答えられるのか?
クラブ・スポンサー・メディア・サポーター‥
コンサドーレに関わる全ての人々が、本当の意味でWe are Sapporoになれるか否か。シーズン後半はそこが試される予感がしている。
そんな事を思いながら、深井一希選手のドキュメンタリー番組を見ていたら、こんな言葉が出てきた。
その言葉に秘められた行間を想像し、様々な言葉や出来事が脳内に再生された。これは深井選手に限ったことではない。
時間は有限だ。彼らと共に戦える時間というものは限られている。
スポンサーやサポーターも同様だろう。各々が各人のライフスタイルの変化の中、クラブとの関わり方やその密度を変化させている。
2023シーズンの前半戦を折り返し、コンサドーレはタイトル奪取もアジアの可能性も十分に残されている。
後半戦も、決して、上手くいく時間ばかりではないだろう。それでも、掴み取れる可能性は十分にあるはずだ。
惜しかったは、もういらない。
後半戦、やったりましょう。
今年こそ!
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