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終活のすすめ

自分の最期をどんなふうに迎えようか、考えていらっしゃる方は多いと思います。死んだときにはどんなことが起きるのだろうか?
楽な良い死に方をするには日頃からどんなことに気を付けていればいいのか?
誰もが考えてしまうことではないでしょうか?私たちは、亡くなっていく親しい人の死のプロセスを大きな癒しの機会にすることができます。思想家ルドルフ シュタイナーの思想、アンソロボゾフィー(人智学)の考えを、カレン ナニ アパナ博士が近著「恵みのプロセスとしての死、そして光への扉としての死ーーDeath as a Process of Grace and a Doorway into Light」(Elder Flowering: Lived Experiences of Growing Older, SteinerBooks, 2024) で著したのでご紹介します。

死の後に起こること

生きている人にとっても、亡くなった人にとっても、死という境界線を越えたあと、大切な変化が訪れます。亡くなった場所にもよりますが、亡くなった人とゆっくりと充実した時間を過ごすと、大きな癒しが訪れます。医師やホスピス ナースが死亡を確認し、公の手続きや必要な書類が整ったあとに、この時間をもつようにしましょう。

自宅で執り行うお通夜

自宅でお通夜を行うと、亡くなった方はこの世と楽にお別れでき、また残された人々は故人の死のプロセスを受け入れやすくなります。お通夜ではしばしば、目には見えないものの存在を感じることがあります。死者などの霊的な存在を感じた私たちが強い畏敬の念を感じることもよくあります。自宅でどのくらいお通夜の時間をとるかは、各家庭や焼き場の都合に合わせて自由に決めてください。病院や老人ホームでたとえ数時間でもご遺体とともにゆっくりと過ごすことができたら幸いです。(離肉プロセスには3日間ほどかかることを考慮しましょう。自宅で迎える死 その癒しの力

多くの人にとって、自宅で迎えるお通夜は人生観を変えるほどの出来事となり、その後の生き方がすっかり変わってしまうことも多いようです。自宅でのお通夜では、大きな恵みと癒しを経験することができるのです。また、お通夜のために自宅を地域のコミュニティに開くことによって、もう一段階上の支援が遺族と故人にもたらされます。私は個人的に、3日間のお通夜でご遺体の変化の様子を見たことがあります。まるでエーテル(生命)の力が3日間かけてご遺体を再び活性化させたかのように、故人の顔がバラ色になりました。これは、遺族と面会に訪れたコミュニティの方々の故人を思いやる気持ちが愛の力を生み出し、その力がご遺体に変化をもたらしたに違いない、と私は信じています。

お通夜で感じる天使などの霊的な存在

私たちが目に見えない世界と調和していれば、臨終の過程やお通夜にさまざまなスピリチュアルな存在がいることを感じることができます。しばしば、故人とご縁のあった家族や友人で、すでに亡くなっている方々の存在を感じることがあります。(Iris Paxino, author of Bridges Between Life and Deathと同様に)、私は、誰かが死出の旅に出るとき、その人と話し続けることが重要だと信じています。たとえば、事故で突然亡くなった場合、故人が新しい現実に気づくのに時間がかかることがあります。また、亡くなった人にお別れを言いそびれたと感じる場合、自分の考えや気持ちを手紙に書いて伝えることで、故人と会話ができるのでおすすめします。バイオグラフィーワークのカウンセリングに携わった長年の経験から、私は亡くなられた方と残された私たちの関係は、死によって終わるのではないと考えています。関係は続き、必要なら修復と癒しを求めることができます。とくに、亡くなったことで、故人はなさなければならないことが生きているときよりもわかるのです。ろうそくを灯しましょう。このろうそくの火のように、あちら側に逝った人たちのことを想い続けましょう。もう物理的に存在しない人たちの思い出を私たちの心の中から消さないように。このエッセイの最後にあるような言葉を唱えたり、亡くなった人に光と温もりを送る、シンプルな瞑想的ななにかをしましょう。

死ぬために準備をしましょう

やがて訪れる死に、私たちはどのように準備を始めればいいのでしょうか?

まず、今私たちが生活している文化では、目に見える物質的な現実だけが存在する、ということになっています。そう固く信じている文化の中に私たちは身を置いて生きていることを理解しなければなりません。そしてこの考え方が、死を忌むべきもの、考えたくない不快なもの、日常とは関係のないものとして、無意識のうちに考えないようにする、引き裂かれた状態を私たちの心の中に生み出しています。この考え方は間違っています。間違った死の捉え方を乗り越え、物質的な肉体が終わったときにどんなことが起きるのかをよく見つめましょう。そのためにできることは、死という話題にじっくりと取り組むことだと思います。まず、死について、直接的に、または言葉以外で、どのようなメッセージを受けてきたかを振り返りましょう。死に関する自分の感情や知識をよく吟味してみましょう。死ぬことはどんなものだと思っているか、ご自分が信じていることを書き出しましょう。そうすることによって、自分の考えを意識化することができます。そしてさらに、ほかにもいろいろな考え方感じ方があることを考えられるようになるのです。

死について考えることに抵抗を感じたら、それを和らげる方法をいろいろ試してみましょう。恐れを受け入れ、それに支配されないようにするのが肝心です。死の恐怖に対して、あなたの内側に温もりと愛情をおくりましょう。たとえば、「デスカフェ」という取り組みがあります。これは、死が差し迫っていないときに、カフェや自宅などに集まって死について語り合う場を持とうとするムーブメントです。このような集まりで、気楽に死をめぐる会話をし、自分の信念や恐れをほかの人とシェアし、いっしょに考えることができます。もしかしたら。そのようなグループを訪れてみたり、家族や友人と話すことを始めるのもいいでしょう。

このような活動を、死というテーマについての調査や研究プロジェクトだと考えてください。

意識は継続します

輪廻転生の考え方にわりと親しんでいる日本人には当たり前に感じられるかもしれませんが、臨死体験をした人の話を読んだり聴いたりするのも、死んでも継続する何かがあるということを理解する助けになります。臨死体験をした人たちの多くが、強い光に包まれ、大きな霊的な存在と、愛と癒しを体験し、あまりに素晴らしいので、生き返りたくなかったと報告しています。その人たちはみな、死ぬことがすっかり怖くなくなり、肉体の死後も意識が続いていくことを深く理解しました。

カレン博士は、みなさんが死への恐怖から自由になって、大切な地上人生の最終のバイオグラフィーを新しい目で見つめるきっかけになれば嬉しい、と結んでいます。

Verse for the Ones Who Has Crossed The Threshold 

Upward to you strives the love of my soul.
Upward to you flows the stream of my love.
May they sustain you,
May they enfold you,
In heights of Hope
In spheres of Love
---- R. Steiner


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