ヨルダン🇯🇴旅行記2日目①タクシーの運ちゃんとの思い出

こんにちは！大変お久しぶりです。
大分前回から時間が経ってしまいましたが、ヨルダン旅行記2日目になります。
また、語り方が旅行記らしくなりますので、宜しくお願いします…。笑

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さて。ヨルダン2日目…昨日はただ到着しただけである為、実質この日が1日目とも言える。
このアンマンの宿にはもう1泊する為、この日は丸一日アンマンで過ごすことになる。…が、アンマン市内でただのんびり過ごさないのが、私のパートナーSとの旅行のお決まりだ。彼は生粋のトラベラー。世界遺産を見て回るのを旅行の主な目的としている。

本日の目的は、ズバリ、
☆アムラ城
☆サルト（街の名前）
に行く事。

お察しがつくかもしれないが、どちらも世界遺産に登録されている。
アムラ城はアンマンの東に離れた場所に位置し、一方サルトはアンマンから北西に位置している。つまり、アンマンを挟んでほぼ反対方向にあるというわけだ。
そのため、まずはアムラ城へはタクシーで往復し、一度アンマンに戻り、サルトへはアンマンからバスで行く流れとなった。アムラ城へはバスが無さそうなので、タクシーしか行く手段がない。一筆書きで回れないのが面倒だが、仕方が無い。

…ということで、早速タクシーを捕まえることにする。
宿に朝食が付いていなかった為、昨晩食料品店で買ったパンをとりあえずお腹に入れて、宿を勢い良く飛び出す。この日は気持ちがいいくらい天気が良い。気温を調べると、今日の最高気温は34℃。滞在中最も暑い気温になりそうだ。太陽がカンカンと元気に道路を照りつけるが、湿度が低いからか、蒸し暑さはない。

ホテル前の通りは車通りが少ないため、隣の道に出てみる。早速、路駐しているタクシーを見つけた。こんなにも早くタクシーが見つかるとは思わず、滑稽ながら、我々は慌てタクシーの運ちゃんに交渉する為のプチリハーサルを行う。
ヨルダンのタクシーは基本的にメーター制ではなく、乗る時に金額を交渉するのだ。私はこの交渉が大の苦手。チュニジア・モロッコでも体験してきたが、全く交渉のレベルは上げられないままだった。

タクシーに近づき、運ちゃんに声を掛ける。
50代くらいだろうか。（ヨルダンの人は本当に年齢が読めない。）ちょっとコロっとしてて、可愛らしいおじちゃんである。「Hi!」笑顔で挨拶を返してくれる。あ、この人良い人だな、と直感で分かる。

「アムラ城に行って、帰ってきたい。○○JODでお願いできる？」(※ごめんなさい金額忘れました。。)

「…ん！？何だって？」

ここで、判明したのだが、ヨルダンのタクシーの運ちゃんは、英語があまり得意ではない。

初めは、
「Hi, there. We'd like to visit Amra Castle...going there and coming back to Amman. Could you give us a ride by ○○JOD for return?」
と丁寧さを心がけて長ったらしい文で伝えたのだが、全く通じない。

「Amra Castle! GO and BACK!! ○○JOD, OK???」
と、今度はほぼ単語の羅列のみで、身振り手振りを加えて伝えてみると、

とりあえず、我々がどこかに行きたくて、往復の送迎をお願いしていることは伝わった様だ。

「Where? where?」

と尋ねられたので、肝心の場所が伝わっていない様だ。

「Amra Castle.」と言いながら、Google Mapを見せる。これなら大丈夫だろう。
しかし、運ちゃんから思いがけない返事が返ってくる。

「Arabic, Arabic!!」

？？？

一瞬どういうことなのか理解するのに3秒ほどかかったが、Google Mapに表示されていたのが"Quseir Amra"と英語(アルファベット)表記だけだったので、納得した。

どうやら、タクシーの運ちゃんはアルファベットが読めなかったのだ…！

Google Map上では、ヨルダンの地名は、アルファベットとアラビア文字の両方が表示されるはずである。しかし、WiFiに今繋がっていないせいなのか、Google Mapには空しくもアルファベットしか表示されない。（因みに、どうでもいいことで恐縮だが、私は携帯電話の言語設定のデフォルトを英語にしている。デフォルトを日本語にすると、Google Mapの地名の表示が日本語となり、欧米の地名はカタカナで表記されてしまう。現在居住しているロンドンで何故か人から道を聞かれることが多く、日本語表記がない方が何かとスムーズなのである…。）

英語が苦手だということは、恐らく、私が初めに発した"Castle = 城"という言葉も分からなかったかもしれない。
しかしWiFiから切断されてるこの場では、どう足掻いてもアラビア文字がGoogle Mapに表示されなさそうなので、
「Quseir Amra…クセ〜ル・アムラ？アムラ？」
と一生懸命それっぽく発音して運ちゃんに伝えようとする。

すると、私のつたないアラビア発音と、Google Map上の位置関係 から、運ちゃんはまさに頭の電球が光ったように、
「ア〜, Amra!! OK! OK!」
ともともと素敵な笑顔から、目尻に皺を寄せ、更に笑顔になった。
値段もその金額で承諾してくれた。

…既に疲れた。まだ出発すらしていないのに。。
（因みにこの交渉の間、基本的にパートナーSは見守る係である。）

我々がタクシーに乗り込むと、運ちゃんは勢いよく発進する。
場所が分かった途端、もう方向に迷いは無いようだった。
アムラ城まで片道約1時間。とりあえず暫くはこのタクシーに身を委ねるだけだ。

タクシーを発進して30秒も経たない内に、
「チャイナ？ヤパン？」と運ちゃんが尋ねる。
ヤパンとは、ジャパンのことだ。
Jordanがヨルダンと発音するように、Japanは彼ら式だとヤパンになるのである。
そして、このように「チャイナ？」と聞かれるのは、海外ではよくあるのだが、これに関しては本当に深い意味はなく、初対面のアジア人に対する「チャイナ？」＝「Where are you from？」だと私は思っている。（Twitterで以前話題になった、通りすがりに揶揄うように「ニーハオ」って言ってくるような件は、また別。これはまたややこしいので、別の機会に意見を述べたいと思う…。）

彼の問いに、「ヤパン！」と答えると、運ちゃんは「オオオオオオオ！」とテンションを1.8倍くらい上げてくれる。改めて、日本人であると伝えると、ほぼ100％ポジティブな反応を貰えるのは本当に幸運なことだと感じる。

暫くすると、運ちゃんはナッツの袋をあけ、美味しそうにアーモンドやクルミ、カシューナッツをポリポリと頬張っていた。すると、そのナッツの袋を後部席の我々に差し出し、「食べな！！」と分け与えてくれた。
唐突なオファーに面食らったが、朝ご飯はパンだけだったし、ナッツ好きの私は有り難く頂戴することにした。（Sは、こういうのには慎重で、絶対に手をつけない。）そっと微量を袋から手に取ると、運ちゃんは「もっと取りな！」と言ってくれる。有り難く、もう少量頂いた。ナッツを口に運ぶ。美味しい。

賑やかなアンマン市内から抜け出した直後あたりで、運ちゃんが突然「ドリンク？？」と聞いてきた。
いやいや大丈夫よ、と身振り手振りを交えて返すが、ハイウェイにポツンと立つお店の前で運ちゃんは車を停めた。タクシーに気づいた青年が、お店から出てきてタクシーに近づいて来る。運ちゃんが青年に自分のドリンクをオーダーし、我々の方を向くと、「ペプシ？」と聞いてくる。
いやいやいらんのよ、と返すが、何だかもう引き下がれない雰囲気だったので、「じゃあ彼（S）がペプシで、私がウォーター。」とお願いした。
すると、私とSそれぞれに、ペプシ缶とペットボトルの水の両方を渡してくれた。運ちゃんは青年にお礼を言い、またタクシーを発進させる。運ちゃんに「ペプシとウォーター、How much？」と尋ねると、運ちゃんは快活に、「ノー、ノー！ウェルカム、ウェルカム！！」と返す。なんとペプシとお水、合計4本のドリンクを奢ってくれると言うのだ。

驚きながらも、運ちゃんにお礼を伝える。運ちゃんも「Welcom to Jordan!」と返してくれる。嬉しい気持ちと、申し訳ない気持ちが心の中でグルグルと入り乱れる。
そして、もう一つ、私の中のドス黒い感情がニョキニョキと芽を出して来る。「…とか言っちゃって最終的にはドリンク代を請求してくるのでは…？」という疑心暗鬼な感情である。
勿論、こんな感情は持ちたくない。しかし、モロッコを経験した私には、ニョキニョキ生えてきた疑心暗鬼の芽はどうしようもなく、そっとしておくしかない。

アンマン市内を抜けてからは、ひたすらハイウェイを真っ直ぐ進んで行く。ハイウェイの周りには、気持ちがいいほど、何も、ない。ただただ、平らな砂地が広がっているだけだ。こんなに広い青空を見たのはいつぶりだろう。少し空いた窓の隙間から、心地よい風が入ってくる。

すると、左手先に、なんだか丸っこいドーム型の頭をした建物が見えてきた。

「なんだか不思議な形をした建物だな…」なんてボンヤリ思っていると、Sが「あ、あれだ。」と呟いた。

あ、あれ…！？

さぁ、"あれ"とは…？
2日目その②に続きます。