診断
入院中は1日に検査一つずつだったので、時間がありました。病院の公園で遊んでる息子と夫を眺めていると、とても切なくなったのを思いだします。
ピエロさんたちが病室にギターを持って励ましにきてくれたのも、思い出です。これも切なくて泣きそうになりました。息子はまだ何なのかわからず、無反応でした。
退院の日の夕方、息子は重症筋無力症と診断されました。発症から2週間でした。原因がわかってホッとしました。珍しく抗体が陽性だったのでわかりました。スイスではテンシロンテストを行わないので、抗体が陰性だったら何の病気かもわからず、様子見だったと思うとゾッとします。でもたぶん日本に帰っていたと思います。
主治医は重症筋無力症を始めは疑っていなかったため、禁忌である麻酔をしてMRIや腰椎穿刺をやりました。今思うと本当にとんでもないことです。症状が悪化しなくてよかったです。テンシロンテストさえすればこんなことしなくてよかったのに。国によって出来ることが違うのだと知りました。
その日から1ヶ月メスチノンを飲みましたが、効きませんでした。退院した次の日からモンサンミッシェルとベルサイユ宮殿に旅行に行きました。旅行なんて行っていいのかわからなかったし、この病気と付き合っていくのはどうしたらいいのか、息子の将来はどうなってしまうのか不安だらけでした。
両目とも閉じていた息子ですが、道中車の中で寝ているときは前と変わらない寝顔の息子を見てまた泣いてしまいました。この頃は本当に不安で毎日、息子が昼寝でいない時や、シャワーで1人になると泣いてました。
モンサンミッシェルで撮った、3人の写真の息子が満面の笑みで今でも飾ってます。見るのは辛かったけど、今ではそれを見て頑張ろうって思えるようになりました。