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「雨祭青梔」を知らないって本当?

※この記事は4月11日(木)~14日(日)まで西武池袋線江古田駅「兎亭」にて公演の「のたんぷ・に 緩解のリーディング『雨祭青梔』」の告知宣伝記事です。なんだ宣伝かよ、そうだよ、宣伝だよ。でも本当に自分がいいと思ったから宣伝してるんだよミキプルーンを推す中井貴一と一緒だよ。

改めまして、お久しぶりです。みやもと a.k.a.八朔ですが、今回はみやもとすなわち宮本晴樹として記事を出します。
いろいろなご縁と経緯がありまして、このたび上記のリーディングライブに出演させていただく運びとなっております。ちなみに今週木曜から本番です嘘だろマジかよ。
演目ごとに短い記事を書こうかと思いましたが「4演目で1公演の短編集」なのでやはりここは記事も1本で行こうと思います。なおこの記事は別にのたんぷサイドから何か言われて書いているわけではありません、完全に自発的に書いています。なので良識と致命的なネタバレをしない範囲内で自由に書きつつ怒られたら後で修正します。

「あめのひに、あのこと。」レビュー

大人になった「わたし」が地元へ帰ってくる現在と、「あのこ」との回想を往復する物語。冒頭の「えっ、あの店潰れてんじゃん」的な帰省あるあるはフフッとなります。
で、糸巻こまきさんの「現在のわたし」と「回想のわたし」の反復の速さと知能指数の上げ下げがすごい。実質一人二役である。
ちなみにこまきさんと、茜さんで公演ごとに語り手の「わたし」と雨の日に出会う「あのこ」が入れ替わりとなりますが、志村茜さん演じる「わたし」はまた落ち着いたアルトでいいんですよね(これは先日の稽古で盗み見た)
物語についていえば、これは生き残った、かつての子どもたちへの物語だと思う。
回想ができるのは、僕らが生き残ったからだ。何があったとしても。
その「何があったか」は人によって違うけど、でも確かに存在していた何か、なわけで。その時どうにもできなかったとしても、そしてもう戻れないとしても、その何かを受け取って子ども時代をサバイブした、大人たちの物語だ。
最後に……本日の稽古で「デュフる」「デュフらない」というデュフ五段活用が発生しましたが、一体何のことは是非本公演にてその目でお確かめください。割と稽古風景で周囲の人間の腹筋が鍛えられてました。

「あとの祭のまえ」レビュー

まず冒頭の野表オンステージ、というか、ゴーイング野表ウェイで腹筋が死ぬ。そしてのちのゴーイング河合ウェイで綺麗に伏線(しかも本筋とほぼ関係ないやつ)を回収してくる。ドヤ顔で。その河合恵理子さん演じるサエコ姉ちゃんは活発なんだけど野表つばささん演じるトモくんは冒頭の一人お祭り騒ぎはどこへやら、いざサエコ姉ちゃんと再会すると「あー、いるわこういうの」という感じのコミュニケーションの取り方してくる。なんというか、チェックのシャツが正装みたいな感じの(みなまで言わない)。そしてちょっと年上の幼馴染のお姉さん(活発で喜怒哀楽の表現が激しくて昔のことをよーく覚えていて持ち出して揶揄ってくる)って夢が詰まってるよなあという共感が発生する。いや共感ではなく俺のお気持ちかもしれない。ここまで書いて思ったけど演目の雰囲気につられて割と勢いよく書いちゃってるな?
「あめのひに~」について子ども時代をサバイブした大人への物語だと思ったけど、この「あとの祭のまえ」は「さて、大人とは」という僕らの足元を崩しに来る物語、だと、思っている。いやわからない、そんなことないのかもしれないけど、でもうっかり夕方まで寝てしまった休日の「まだ夜じゃない」「でも一日はほぼ終わってる」瞬間のような。そういうものが、この物語にはある気がする。
なお今日の稽古では河合さんがめちゃ動くので終わって立ち上がったらテーピングした本の背が切れていたとか、立ち上がった瞬間野表さんの本がジャバラになったとか、独特なオチがまた笑いを誘っていたのでした。

「君は青い音色」レビュー

これは自分が出演させていただく演目なので、あんまり客観的に書ける気がしないのですが……
花房りほさん演じる少年と加藤愛美さん演じる母親、或いは宮本が演じる医者と小野里茉莉さん演じる看護婦の、繋がりの物語。少年は手塚菜摘さん演じる少女を通じて、繋がりの持ち方を少しだけ、考えてみる。
……えー、端的に言うと「モラルや一般常識という日の光を当てると死ぬ人が最も集まっている演目」だなと思いながらいつも稽古しています。弱きを助け悪を挫くような正しいことがなされないと許せない人は、多分「こんなのよくないに決まってるだろ!」って椅子を蹴倒して立ち上がってしまうような物語です。
でも椅子を蹴倒しても何にもならない「今」、この子をどうしたらいいだろう、今この人になんと言えばいいだろう、そんな風に揺れる天秤の間を少女が駆け回ってる、感じがする。
なお稽古はだいたいハプニングが発生して唇をかみしめて笑いをこらえながらになっております。

「死人に梔子」レビュー

父娘、そして夫婦の物語。
門久由賀里さん演じる娘、アヤコの「口うるささ」がすごく怒ったり責めたりしている風ではなくて心配しているんだなと伝わる冒頭。全部が全部でないにしても、いい家族なんだろうなあと思う。あと清水艦長さん演じる父親は読み合わせの時より老けてた。口を開けるのも面倒くさそうな感じになってた。
そして井家久美子さん演じる妻、スミレとの夫婦の会話がすごく聴いてて楽しい。そして、ずっと一緒にいたからこそなされる会話の端々から苦労もあったかもしれないけど、きっと幸せな夫婦だったんだろうなあと思ってしまう。うっかり「家族っていいなあ」と思ってしまう。これ、カップルで観終わった後プロポーズしたら多分成功しますよ。
この作品が一番「ここがこうで」と推そうとすると台詞そのままとか内容そのままになってしまってあんまり書けないんですが、親子の会話も夫婦の会話も結構あるあるなので思わずクスっとくる感じはあります。
そして「あめのひに、あのこと。」から降り続いていた雨が、いつの間にか止んで曇り空から少し日が差すような、観終わったあとそんな気持ちになる作品です。

そんなわけなので今週の江古田は兎亭でお待ちしていますよ

各出演者のチケットフォームはこちら
上演スケジュールやお席の情報は公式Twitterが早いです。

あ、ちなみに他の記事は時事ネタに浅はかな知識で物申したり短編小説載せたりしてるだけだから別に読まなくていいよ。とにかくのたんぷを!!!!!見て!!!!!

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宮本晴樹/八朔ちゃん
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