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渡辺淳之介氏のアイドルシーンの成長は止まっているという件について

先日、音楽ナタリーにて掲載されたWACKの渡辺淳之介氏のインタビューが賛否両論を呼んでいる。私の見解としては完全に同意なのだが、アイドルファン、WACKファンの多くはどこに引っ掛かって、何がダメなのかを解説していきたいと思う。今回はアイドルの話ですが、私の知る限りビジュアル系界隈というものが全く同じ状況に2000年頃に陥って、現在もシーンは復活せずに地下にある小さなシーンになってしまっているという印象です。

記事の概要

渡辺淳之介は、アイドルシーンの停滞について次のように述べています。2014年からの10年間を「失われた10年」と呼び、ファンに甘え、努力を怠った結果、成長が止まってしまったと反省しています。特に、K-POPなどの他のアーティストに追い越され、パフォーマンスの質が低下していると感じています。彼はサブカルアイドルシーンの目標設定が低く、世界を変えるには血の滲むような努力が必要であると強調しています。日本のアイドルは、K-POPのように若い頃から厳しい訓練を積み、スキルを磨くことの重要性を再認識し、海外進出や新しい挑戦が不可欠だと述べています。特に、現状のままでは日本のアイドルシーンは衰退していく可能性が高く、現状打破には大規模な変革と新たな戦略が必要だと訴えています。渡辺はこの先、WACKのメンバーが自身の未来を見据えて努力を続け、アイドルシーンを再び活性化させることを期待しています。

このインタビューを読んだファンのリアクション

このインタビューを読んだファンからのリアクションの中で批判的だった意見をまとめてみました。主に以下の3種類に分類されます。

K-POP目指すな派

WACKに求めているのはK-POPではない。そんな魅力のない方向に舵を切るのはやめてくれという意見

メンバーの努力不足って言うな派

今のWACKのメンバーだって十分頑張っている。悪く言わないでほしい。努力してないというネガキャンをするな。

失敗してないし、順調だった否定するな派

BiSHは東京ドームだって埋めてるし、アイドルシーンにポジティブな影響与えてるだろという意見

なぜここまでファンの反発が起こったのか?

私から見れば当然の思う氏のインタビューなのだが、なぜアイドルファンはここまで反発してしまったのかを分析してみたいと思う。このインタビュー内容に対して反発するファン自体がインタビューで語られているシーンへの害悪モンスターに他ならない。

害悪ファンを産み出した罪

地下アイドルシーンに限らずファンが支援するというビジネス形態では拡大を阻止しようとする害悪ファンが必ず存在します。特に地下アイドルという界隈において、その多くは害悪ファンであるとも言えます。シーンそのものが界隈の拡大を望まないという最悪の構図になっています。

サブカルという名の敗者擁護

サブカルチャーというのは、基本的にメインカルチャーに対する劣等の自己肯定と言えます。地下アイドルも同じくで地上の華々しいアイドルに勝てないと悟った敗者達が実力ではなく個性で勝とうとするシーンです。

短絡的なビジネスとしては間違っていないが

もちろんそれは、ビジネス上の戦略として間違っているわけではありません。現にWACKにおいても破天荒なプロモーションとアイドルらしからぬ本格ロックサウンドでシーンの頂点に上り詰めました。しかし、やはりシーン全体としてみた時に競争原理を排除してしまったのは悪手だったと言わざるを得ません。

害悪ファンはメインカルチャーを敵視しがち

そのためサブカル界隈のファンはメインカルチャーを拒否する傾向があります。他人との競争に負ける、もしくは競争から逃げるという行為を正当化するために競争相手が少ない小さいコミュニティを好みます。売れると離れるファンがいるのはそれが理由です。さらに地下アイドルに関しては接触の頻度が減ってしまうという実害も出てしまいます。毎週ライブに行ってチェキを何周もしてるファンが年に1回のドームツアーのチケット争奪戦を望むはずもありません。自分たちだけが応援しているアイドルに手の届かない場所に行って欲しくないのです。

比較する枠の大きさ

エンターテイメントは勝負、競争の世界です。本来であれば非常に狭き門であるはずが、競争を排除した構造になっているため以前にも執筆したように一番簡単になれる職業が地下アイドルという狂った状況になっています。アイドル界隈からすれば競争原理はあると言いたいところでしょうが、それは大きさを履き違えています。アイドル界隈の競争について規模の小さい順にまとめてみます。

過去の自分との比較

アイドル界隈での一番狭い比較として過去の自分との比較というのがあります。でんぱ組.incが生み出したストーリーで引きこもりだったり、コミュ障、いじめられっ子といういわゆる弱者が頑張る姿を応援してもらうというエンターテイメントです。これが行きすぎて、以前に記事にもした誰でも今日から地下アイドル現象が起こっています。オーディションで横行する「自分を変えたいんです!」という発言がこれです。主催側からすると「変わったらまた受けに来てね!」って話です。

メンバー内での比較

メンバー内での人気順という指標が次に狭い比較になります。メンバー内での切磋琢磨というのはもちろん重要ではありますが、まずはグループとしてナンバーワンに近づいてからやるべきです。市場規模が小さいうちはグループ全体でまとまりを持って知名度向上に向かうべきです。当然実力のある運営は、それを理解しているため知名度が低いうちはグループ内で競争を発生させずにセンターを固定するという定跡戦略を用います。しかし課金競争である地下アイドルは、この手法を取りません。

小さいシーンでの比較

ヲタク系アイドルやロック系アイドルなど地下アイドルの中でもさらに細分化したカテゴリーでの競争も存在しています。ここには正統派というジャンルも含まれています。

地下アイドル界隈での比較

地下アイドルシーンで比較しているのがここです。今回の記事の主題はここで、害悪ファンは常にここでの頂点を目指すことを目標にしています。またレベルの低いアイドル運営に関してもここでの頂点を目指して活動しています。

アイドル界隈での比較

この輪郭がインタビューで語っていたWACKが間違っていたという戦略です。ここが狭すぎたのが敗因だと語っています。渡辺氏は本気で坂道に乃木坂に勝とうと頑張っていたと思いますが、それではダメだったと。

日本の音楽シーンでの比較

もう少し広げた枠で言うと日本全体の音楽シーンでの比較というレベルになります。ワンオクと比較して自分が応援しているグループは、どうなのか?とか?Adoと比較して実力はどうなのか?とかをきちんと評価していましたか?という話です。おそらく紅白に出てドームまで埋めている状態で、ここが見えないはずがないので、この辺りでK-POPという発言が出てきたのではないでしょうか。

その先

もちろん、日本の音楽シーンでトップをとっても終わりではありません。当然その先には世界の音楽シーンも待ってますし、もっと言えば別のエンターテイメント、例えば映画やドラマ、ゲーム、スポーツなどからユーザーの時間を奪うという勝負を続けなければいけません。どこのナンバーワンを目指して、どこのナンバーワンであぐらをかくのか?少なくとも低い位置を目指していては話になりません。

アイドル運営への提言

私はアイドルの運営でもないので提言できるような立場でもないのですが、この先のアイドル業界を立ち直らせるためにできることをひとつだけ知っています。それは特典会の撤廃です。地下アイドルの地下アイドルたる所以である特典会を撤廃しなければシーンが再度地上に浮上することはあり得ないでしょうし、今の坂道グループが自然衰退することに日本のメインカルチャーからアイドルが消えてしまっているでしょう。AKBが始めた特典会というシステムが諸悪の根源であることは明白です。昨今は特典会を長く取るためにステージ時間を短くする傾向まであるみたいですし。


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