【第2回】現役女子大生が読む！関西Z世代女子マーケティングレポート～流行りと遊び編～
1.はじめに私たちの紹介
はじめまして、こんにちは！ 武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。
私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、３年生20人で活動しています。
第3回の記事では、流行りと遊びについて調査した結果を発信していきたいと思います。
始めに私たちが行った調査の概要についてです。関西のZ世代が遊びに行く場所やその頻度、毎回の遊びに使う金額、そして遊びに行く際は何を重視しているのかなど、Z世代の遊びに対する考えを知るために、私たちは関西に住むZ世代を中心に183人に対してZ世代の遊びの傾向についてアンケートを行いました。
【調査方法】
ＷＥＢ調査(定量調査)
・調査期間：2022年6月14日～2022年7月25日
・居住地：関西圏中心
・性別：男性、女性
・年齢：10代～20代
・対象：中学生・高校生・大学生・短大・専門学生・社会人
回答者数：184名
◆ＷＥＢ調査の結果
①調査対象者について
②遊びについて
2.Z世代ならではの遊び方
ここからは私たちが考えるZ世代ならではの遊び方について紹介していきます。
◆Z世代には映えが必須？
Z世代はSNSの利用時間がとても長いです。それだけSNSとZ世代の関係は深く、日常生活の一部として完全に定着しています。私たちの調査からも、SNSを情報収集の手段として多くの人が活用していることが分かります。例えば近くのカフェを調べる時も、Instagramのハッシュタグを使って検索して出てきた投稿を見て、お店を選びます。そのときに「映え」ている写真でなければ、Z世代の目に留まりません。その点でZ世代に対しては「映え」は必須と言えるでしょう。
◆コロナ禍での流行の移り変わり（アンケート最後の質問）
コロナ禍によってZ世代の遊びにも変化がありました。遊びに使う金額が減少したり、遊ぶ場所を近場にしたりなど、世の中の状況に合わせた遊び方をしています。私たちが6月中旬から行った調査では「頻度が減った」と回答した人が最も多く、全体の約46％となりました。そして、行動や場所が制限されるといった影響を受けて、遊びに対してZ世代が求めるものにも変化があったのではないかと考えます。コロナ禍で疲労やストレスを募らせていたことで、「自然」を感じられる場所に魅力を感じたり、良い意味で感情を揺さぶられるような「エモい」ものを探し求めてアートやレトロなものが流行したりと、Z世代の関心が「非日常」なものに集まっているのではないかと考えます。
◆オタク文化の変化と推し活
オタクという呼称を聞いたとき、皆さんはどのような印象を持つでしょうか。そもそもオタクとは、自分の好きな事柄や興味のある分野に対して極端に傾倒する人を指します。かつてはオタクという趣味はあまり良い印象を持たれず、隠すものでしたが、現代ではオタクを公言することも珍しいことではなくなりました。オタク趣味の楽しみは個人で完結するのではなく、他者と共有するものへと変化しています。著名人がメディアで自身をオタクと公言したり、SNSが発達していったことなどにより若者にも広がったようです。
また、オタク文化の変化に伴い、「推し活」という言葉も定着しつつあります。好きなアイドルやアニメキャラクターなどを「推し」と呼び、「推し」を応援する活動を「推し活」と言います。昨今では「推し」の対象は人間だけに留まらず、犬猫などの生き物、鉄道や仏像など、熱意を持って取り組んでいる物事はすべて「推し」となり得るようです。推し活の活動内容は人や推している対象によって様々ですが、ライブや握手会などへの参加やグッズ収集・グッズ制作、ファン同士の交流、「聖地巡礼」と呼ばれる推しのゆかりの地を尋ねることなどが挙げられます。要は、推しを応援する活動や周囲に推しの素晴らしさを伝える活動を指し、応援している充足感を得られたり、推し活を通じてコミュニティを広げたりなど、推し活が日々の活力に繋がっているという人も多くいます
3.Z世代はここに集う！
ここからはZ世代が注目している場所を事例と共に紹介していきます。
◆韓国カフェ（SNS映え）
Z世代が遊びに行く場所として最も人気だったカフェの中で、今注目されているスタイルの一つが「韓国カフェ」です。韓国から上陸した店舗だけでなく、国内から韓国にあるようなカフェをイメージした店舗も、韓国カフェと呼ばれているようです。その人気の理由は空間の可愛らしさにあります。お洒落な内装やSNS映えする食器、スイーツの見た目など、おしゃれで洗練された世界観が魅力です。どこを背景にしてもSNSに載せたいと思える写真が撮れるというのがポイントだと考えます。また、ダルゴナコーヒーやトゥンカロンといった韓国発のメニューも味わうことができ、韓国に行けなくても、韓国の雰囲気を楽しむこともできるのも人気の理由かと考えます
◆グランピング・キャンプ・花（自然・コロナ）
グランピングとは、”Glamorous（グラマラス）”と”Camping（キャンピング）”を組み合わせた造語で、キャンプの用具を準備する必要がなく、豪華で快適なキャンプを楽しめる宿泊スタイルのことです。グランピングは「3密」を回避できるアウトドアのアクティビティとして、世界中で注目されており、日本でも人気が高まっています。また、フォトジェニックな花畑にも注目が集まっています。一面の花畑を背景に撮った写真はカラフルで美しく、Z世代も魅力に感じているようです。コロナ禍で家に籠りがちだったZ世代も、このような自然を目一杯感じられる場所に癒しや非日常を求める傾向にあるのではないかと考えます。
◆ネオ居酒屋（レトロ・コロナ）
ネオ居酒屋とは、”昔ながらの大衆酒場のレトロな風情を残しつつ、現代風のモダンな雰囲気のある酒場”のことです。ネオンの照明で飾られた内装であったり、個性豊かなドリンクのグラスなど、これまでの酒場のイメージを覆すような写真映えする店内やメニューがSNSで話題となっています。若者がSNSに投稿することを意識したインテリアやメニューが人気で、フォトスペースが用意されているお店もあります。ネオ居酒屋は料理を楽しむだけではなく、お店で過ごすこと自体も楽しむことができる空間なので、「レトロ」や「エモい」に関心を寄せるZ世代からの人気はこれからも続きそうです。
◆劇場型アクアリウム・アトア（アート・コロナ）
近年、展覧会などでアートを鑑賞するのではなく、最新技術を活用して視覚や聴覚、味覚、触覚、嗅覚に訴え、五感で感じられる「体験型アート」が増えています。今回事例として取り上げるのは、兵庫県神戸市にあるátoa（アトア）です。アトアとは、デジタルアートや舞台美術が融合した新感覚の都市型水族館です。館内はテーマごとに8つのエリアに分かれていて、約60基もの水槽の中で約100種類、3,000点の生きものが暮らしています。音や光、香りなど五感で感じる演出は幻想的な空間が魅力があり、独創的な世界への臨場感を高めています。 特に「PLANETSー奇跡の惑星」というエリアでは直径３mの球体の水槽である「AQUA TERRA」が設置されており、色鮮やかな魚たちが泳ぐ様子を音楽やレーザー、ミストの演出と共に鑑賞することができ、SNSでもその演出の動画や写真が多く見られます。
◆推し不在の誕生日会（オタク文化・推し活）
推し活の中でも私たちが注目しているのは、推しの誕生日を祝う「本人不在の誕生日会」や「ホテルで友達と推しのライブなどの鑑賞会を行う」というものです。SNSで「＃〇〇誕生祭2022」や「＃本人不在の誕生日会」といったタグを付けてそれらの様子を投稿したり、推しのイメージカラーで着飾ったりした写真を投稿するなど、他者と推し活を共有することも今の流行となっています。ホテルも「推し活プラン」というサービスを提供し始めており、好きな色で部屋の装飾ができるバルーンアートのセットや動画鑑賞が出来るHDMIケーブルがある部屋が用意されています。ホテルでは周りを気にせずに盛り上がることができ、非日常な空間を楽しめるため、今後もこのスタイルの推し活は多くのオタクに広まっていくだろうと考えます。
4.次にバズるのはこれだ！（＊バズるとは、主にSNSなどのインターネット上で投稿が話題になり、多くの人の注目を得ること）
◆キャメオ
キャメオは、登録されている有名人から依頼者が希望した内容のオリジナルのメッセージ動画を受け取ることができるサービスです。世界中の俳優やミュージシャン、アスリート、インフルエンサーなど、2022年4月時点で約5万人もの有名人が参画しているようです。誕生日や結婚祝い、応援メッセージなどを好きな有名人からのメッセージ動画をプレゼントすることで、非日常的な演出となり、より一層特別な日にすることができます。
◆クァベギ（韓国スイーツ）
クァベギ （꽈배기）とは、韓国では定番の“ねじり揚げドーナツ” です。特徴的な形の揚げドーナツの上にクリームやフルーツが乗っていて、カラフルで見た目も可愛らしく、SNS映えするスイーツなので、Z世代から人気の韓国フードの一つとしてこれから注目が集まりそうです。
◆Y2Kファッション
Y2Kファッションとは、”1990年代後半〜2000年代に流行った、厚底ブーツやルーズソックス、ミニスカートなどいわゆるギャルファッションを由来としたファッション”です。Z世代のレトロブームを背景に、平成ギャルが再び流行となっている今、Instagramでも＃Y2Kファッションとハッシュタグを付けたY2Kコーデの写真が多く見られます。現在流行してしているY2Kファッションは、韓国・中国発のものであったり、ジェンダーレスファッションの要素もあったりと、約20前の流行とは少し違うところもあるようです。
◆お風呂カルチャー×外食
近年「ととのう」という言葉と共に流行しているサウナの様々な施設の中で、人気が高いのが「個室型サウナ」です。そして、個室でサウナを満喫した後にお酒が飲める施設が注目を集めています。また、似たサービスとしてお風呂カフェも流行りつつあります。これはお風呂で疲れを癒して、カフェのような空間でゆっくりと1日中くつろげる空間です。予約なしで気軽に訪れることができる店舗も多く、一つの施設内に様々なサービスがあることや、天候に左右されず楽しめるのも魅力です。
◆離島への旅行
離島への旅行は、日本で海外のような雰囲気が楽しめることや、豊かな自然の中でのんびりした時間を過ごすことができるという魅力があります。そして、コロナ禍でのストレスから癒しや非日常な体験を求めているZ世代にも離島への旅行の人気が今後も高まっていくと考えられます。
5.まとめ
ここまでいくつか事例を挙げながらZ世代の流行と遊びについて紹介してきましたが、写真「映え」や「非日常」な体験、癒される「エモい」空間といった内容が多かったと思います。SNSやコロナ禍などの影響による疲労やストレスによって、心を動かされる物や空間に魅力を感じる流行があるようです。
Z世代はSNSで自分を表現することが当たり前であるため、自分が好きな物を公言することに抵抗感を感じる人が少なくなり、それぞれの好きなものを追い求める傾向があるかもしれません。そのため、Z世代を一纏めにして流行を捉えることは難しいですが、Z世代が求めている体験の方向性は様々なジャンルの遊びに似通っているものがあると思います。
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Ｚ世代女子によるＺ世代女子のマーケティングレポートです。Z世代女子視点のリサーチや商品開発、モニター調査等にも協力しています。ぜひご相談ください。
（連絡先）武庫川女子大学経営学部教授 高橋千枝子
chietaka★mukogawa-u.ac.jp(★を@に変更してお送りください）
【武庫川女子大学】
兵庫県西宮市にある、2020年度時点で大学10学部17学科、短期大学部7学科、大学院8研究科14専攻、大学専攻科1専攻科を有し、大学・短大を合わせ約1万人の女子学生が学ぶ、日本最大の女子総合大学。多種多様な学びが特長で、高い専門性と幅広い教養を身に付けて、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性をめざす。
（武庫川女子大学HP：https://www.mukogawa-u.ac.jp/index.html）
（参考文献）
◆オタク文化の変化と推し活
・@DIME アットダイム.今年の流行語大賞にもノミネートされた「推し活」って何？｜@DIME アットダイム（https://dime.jp/genre/1265456/ 最終閲覧日2022年7月19日）
・株式会社ジャストシステムのプレスリリース.約半数が「推し活」を認知。10代の4割近くが「推し活中」｜株式会社ジャストシステムのプレスリリース.
（https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000454.000007597.html 最終閲覧日2022年7月19日）
◆韓国カフェ・韓国フード・（映え）
・関西電力グループ.【2022年版】大阪で人気の韓国カフェ7選！いつでも韓国気分を味わえるお店はここ！ - WITH YOU.
（https://media.kepco.co.jp/_ct/17524262 最終閲覧日）
◆グランピング・キャンプ・花（自然・コロナ）
・訪日ラボ.コロナ禍でも流行！グランピングがいまレジャーシーンで注目される理由とは | 訪日ラボ.
（https://honichi.com/news/2020/10/20/glamping/#glamping-2-2 最終閲覧日）
◆ネオ居酒屋（レトロ・コロナ）
・じゃらんニュース.【東京】ネオ居酒屋9選！映えグラスやネオンなどレトロかわいい大衆酒場が話題｜じゃらんニュース.（https://www.jalan.net/news/article/554070/ 最終閲覧日2022年7月19日）
◆劇場型アクアリウム・アトア（アート・コロナ）
・アトア átoa（神戸）.アトアについて｜【公式】アトア átoa（神戸）.
（https://atoa-kobe.jp/concept/ 最終閲覧日2022年7月20日）
◆推し不在の誕生日会（オタク文化・推し活）
・ヒルトン東京お台場.推し活プラン〜My fave is the Best！～／朝食付き | お台場のホテルなら【ヒルトン東京お台場】.（https://www.hiltonodaiba.jp/plans/rooms/6471 最終閲覧日2022年7月19日）
◆キャメオ
・日テレNEWS.ありそうでなかった ファンがタレントに個別に動画を依頼.
（https://news.ntv.co.jp/category/economy/6af60c63885146a080b1b25ecd585257 最終閲覧日2022年7月21日）
◆Y2Kファッション
・Y2Kファッション考察｜Z世代のレトロブームとトレンド近況 | トレンド｜ノベルティ・オリジナルグッズの紹介やトレンド情報を発信中｜株式会社トランス（東京・大阪）
（https://www.trans.co.jp/column/trend/generationz_y2k/ 最終閲覧日2022年7月21日）
◆離島
・日本とは思えない美しさ！人気の離島に出掛けよう♪【7選】 | icotto（イコット）
（https://icotto.jp/presses/11105 最終閲覧日2022年7月21日）
【「はるかぜ」について】「はるかぜ」とは、ブランディングの株式会社ハルに在籍し、専門分野をもつ女性スタッフによるマーケティングチームの愛称です。それぞれの知識・ノウハウを活かして、エンドユーザーのニーズに即した女性視点のマーケティング施設を提案しています。
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