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Quarantine Life: ハリエニシダのコーディアルとドライジン

前回に引き続きハリエニシダのお話しです。
イギリスでは、ロックダウン中は一日一度、外に出てエクササイズすることが許可されています。もちろん SOCIAL DISTANCINGで。

一日一回と限られているのなら、私はもっぱらウォーキングに出かけます。人の少ない海岸や丘や森などに行き Botanising しながらその時々、場所によって、知らない植物に出会ったり、新芽、花、実など、その季節に見られる植物のライフサイクルを観察したり、いつでもどこでも発見があります。しょっちゅう立ち止まるのでエクササイズとしての効果は疑わしいのですが。

今回は Botanising のほかに、もう一つの目的があります。ハリエニシダの花を摘んでコーディアルをつくること。そしてドライジンとハリエニシダをカクテルにして一緒に味わいたい。

スコットランドの南西部の半島に位置するPort Loganに住み始めたのは、去年の7月。新しい仕事がはじまり、あれよあれよといううちに秋になって冬になってしまったので、まだまだ探索に行くところがたくさんあります。そしてこんなにもハリエニシダのコロニーが点在しているということにも気づいていませんでした。今の花の最盛期にハリエニシダの中を通り抜ながら、ココナッツのような甘い香りにつつまれると、この香りをもっともっと楽しみたくなります。
という訳で、コーディアルをつくるため、ハリエニシダの花を摘みにエクササイズに出かけました。

川沿いを海岸に向かって歩いていきます。
海岸の手前で素敵なコロニーを発見

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鳥の鳴き声と波の音、今日もけっこう風が強いです。こんなに鮮やかな黄色に360°包まれているなんて、癒されます。

とげどげにささらないように、ゆっくりと気をつけて花を摘みます。
とてもセラピューティックな作業。

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じゅうぶん摘めたので、Botanisingしながら家路につきます。


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湿った土に育つクレイトニア・シビリカ (Claytonia sibirica)。みずみずしい厚みのある葉は、サラダや和えものにするとおいしいらしい。


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ヤブイチゲ (Anemone nemorosa) も湿った明るい森や林に生息します。ゆっくりと時間をかけてコロニーを形成するので、ヤブイチゲのコロニーは古い森や天然林のインディケーターと言われています。


ハリエニシダ・フラワーコーディアルのレシピ

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材料:
ハリエニシダの花 手のひらいっぱい×4
水600ml
砂糖150g
レモン果汁一個分

手順:
1. ボールにハリエニシダの花をいれます。虫やトゲなどあれば取り除きます。
2. 水と砂糖をまぜて、火にかけます。10分ほど沸騰させます。
3. 沸騰した砂糖水をボールの中の花にかけます。
4. レモンを絞りかきまぜ、ひたひたにした花を一晩寝かせます。

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5. 一晩寝かせたものをガーゼやストレイナーなどで濾します。
6. 濾した液をもう一度沸騰させて保存容器にいれます。

レモンのかわりにライムでもよさそうです。オレンジゼストを入れるレシピが多いようですが無農薬オレンジが手元にないので、入れませんでした。

出来上がったコーディアルはこんな風に薄黄色です。

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さっそく味見を。
ふんわりと広がるフローラルと蜜の味。その奥にほんのりとバニラココナッツの気配。

そしてジンの登場。スコットランドのアイラ島のドライジン、THE BOTANISTは私の大好きなジンです。

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フルーティで薫り高くとてもまろやか。ラベルにある22の数字はこのジンに使われている、アイラ島でボタニストによって手摘みされているボタニカルの種類の数です。9種の他のボタニカルにこのアイラ島の22種を加えて31種のボタニカルから作られているのがこのジンなのです。
ボトルのにはその22種の植物のラテン名が凸になったガラスの表面に描かれています。ハリエニシダ(Ulex europaeus)はそのうちの一つ。THE BOTANISTをこのコーディアルと一緒にいただけば、39種の中のハリエニシダのアロマにスポットライトがあたり、素敵な味わいになることでしょう。


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氷をグラスに入れ、ジンとコーディアルを同じぐらいの分量注ぎます。糖分の入っていないトニックウォーターがあったら良かったのですが、ないのでS.PELEEGRINOで割ります。

これはもう、、、幸せの味。THE BOTANISTのまろやかなで豊かな香りと調和しながら、ハリエニシダのフローラルで芳純なアロマが広がります。あの黄色い景色がよみがえってきます。前向きになれる、優しくてエネルギーに満ちあふれる、自然の偉大な味です。

Covid-19で私たちの生活は突然がらっとかわり、たくさんの制約と暮らすことが今の日常です。先行きはまだ見えず、不安な気持ちに傾きがちな日々ですが、春は1日1日と着実におとづれ、葉が芽吹き、花が咲き、うつりかわっていきます。私も自然を毎日いろいろなかたちで服用しながら1日ずつ、’One day at a time’ で過ごそうと思います。

このコーディアルのレシピは他の花でも応用、アレンジができるので、春のエディブルフラワーで、ぜひためしてみてください。


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