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友だち地獄
という本を、大学生の頃に読んだことがあって、
(たしか社会学の授業で紹介されていた本だったように思う)
それが未だに本棚に並べられているのが目に留まり、ふと手に取って開いてみた。
冒頭に、こんな一節が引用されていた。
「どうすれば身近な人間を好きになれるのか、おれ
はいちどだって理解できたためしがないのさ。
おれに言わせると、身近な人間なんてとうてい好きになれない、好きになれるのは遠くにいる人間だけ、ってことになる」
この本自体は10年以上も前の本なので現代のリアリティとは少し乖離があるけれど、この引用文には普遍性があるように思う。
度々、人間関係について考えるタイミングがやってくるのだけれど、最近になってまた、
「友達とは」
という問いが頭の中にもやもやと浮かんでいた。
友達、と言われて思い浮かぶ相手が何人かいたとして、その相手を友達と認識している理由はなんだろう。
気が合うから?
よく飲みに行くから?
一緒にいると楽しいから?
相談に乗ってくれるから?
それだけの条件で言えば、誰かを友達と呼ぶことはそんなに難しくない。
でももっと突き詰めて考えてみたら。
損得勘定を一切抜きにして、
相手の幸せを本気で喜んで、
相手の不幸せを本気で悲しめるかどうか。
自分に余裕がないときですら、相手の心に寄り添えるかどうか。
その人の人生や活動を純粋に応援できているか。
そう訊かれたら、そんな相手はひとりもいないような気がして、怖くなる。
自分の人生を生きている以上、どうしたって人と比べてしまうときがあるし、その対象は大抵、身近な友達(と認識している相手)になってしまうのは仕方がない。
自分がうまくいっているときはよくても、そうじゃないとき、誰かに対して黒い気持ちが湧き上がってきてしまうのは、当然なのだろうか。
たとえば、声をかければいつもライブに足を運んでくれる友達がいる。反対に、ライブやイベントの誘いには一切返事をしてこないような友達もいる。
そんなときに、やっぱり友達の定義を考えてしまったりするのだけれど、自分だってお誘いを断ることもたくさんあって、人のことは言えない。
じゃあ、
「この人はいつも来てくれるから私も行こう」
だとか、
「この人は本を買ってくれたから私も物販を買おう」
だとか思い始めると、
それも結局のところ損得勘定、見返りがあるからの行動であって、純粋に応援しているようにも思えず、複雑な気持ちになる。
ミュージシャンの友達に関しては、友達であってライバルでもある以上、活躍を素直に喜べない気持ちも仕方がないのかもしれない。どんな世界にだって、そういう感情が入り乱れているのだろう。
じゃあ、仕事とは関係のない人生におけるトピックはどうだろう。
結婚、出産、離婚、そういう、その人の人生を揺るがす大きな出来事を目の当たりにしたとき、どういう気持ちを抱くのか。
それもやっぱり、自分の状況と比べるような感情が起こる。(同世代であれば特に)
ここまでくると、それこそ冒頭の引用文、
「おれに言わせると、身近な人間なんてとうてい好きになれない、好きになれるのは遠くにいる人間だけ、ってことになる」
という文章がいよいよ実感を持って訴えかけてくる。
でも。
この文章に納得できるとしたら、SNSで見る遠くの誰かの投稿に難癖をつけたくなる気持ちは、説明がつかない。
現代では、遠くの誰かの人生にすら心を乱されたり、遠いからこそいちいち難癖をつけてしまうこともありうる。
結局のところ、
"自分に余裕がないときですら、
損得勘定を一切抜きにして、
相手の幸せを本気で喜んで、
相手の不幸せを本気で悲しめる"
なんていうのは、どんなに仲の良い友達であっても難しい話で、親子でもない限り無理なのかもしれない。
それとも私が経験できていないだけで、世の中にはそういう無償の、見返りを一切求めない、他人同士の繋がりというものも存在するのだろうか。
今言えることは、
たとえばライブの誘いは無視するくせに飲みに誘ってくるような相手でも、
「お前は都合のいいときだけ連絡してくるな!」
と言えたりだとか、
陰で文句を言ったとしても結局会えば面白いだとか、そういう関係を友達と呼ぶのが一番気楽でいいのかもしれない、ということ。
相手に対して黒い気持ちを抱いてもいい、そう思ってしまうことも普通で、そういう自分も肯定すること。
それを繰り返して、いろんな失敗もしながら、少しずつ人と関わっていくしかいい方法はないのかもしれない。
人と関わるとは、きっと自分と関わること。
どんなに生きても、勉強が尽きない日々です。
全く関係のない話をつらつらと書いてきましたが、明日から2Daysのイベントが始まります。
皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
暑いので、お気をつけてお越しくださいね。
それでは今週も、お疲れさまでした☕️
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読んで下さってありがとうございます。思考のかけらが少しでも何かの役に立ったなら幸いです。