自分と子どもたちと学校教育を明日から変えたいと願う先生へ #センセイを捨ててみる。
上記の数字は、ことあるごとに散見されるデータですが、目にするたびに「日本の学校教育のどこがうまくいっていないんだろう・・・?」と感じてしまいます。
一人の教師として、ずっとその答えを探してきましたが、この本を読んでリアリティのある答えにやっと巡り会うことができました。
能澤英樹さんの
『先生2.0 日本型「新』学校教育をつくる』
感想をひと言で表現すれば、
「現場で頑張っている教員に、自らが置かれている状況を早く知らせたい」ということ。
自分が誰のために、何をやっているのかをすべての教員や学校関係者に気づいてもらいたい。そんな思いで本書は書かれています。
本書では、「なぜ教師がこれほどまでに疲弊し、かつ子どもたちが幸せそうに見えないのか」という疑問に対する解答が、ほぼ説明されています。
その目的は明快で、「教員の業務量を減らしながら、子どもの幸せをどうやって保障していくか」というゴールに向かって、圧倒的な筆致で書き進められていきます。
私は普段、本に線を引くことはしないんですが、この本だけは別でした。全256ページを読み終わるまで、何か所に線を引いて、余白にメモを取ったかわかりません。私が今まで気づかなかったことや言語化できなかったことを教えてくれたからです。
たとえば、
これでも一部です。「当たり!」と思う点が非常に多く、きりがありません。もしあなたが学校関係者なら、腑に落ちる点が多すぎて、鉛筆を手放せなくなるはずです。
ユニークなのは、「撤退戦」を勧めていること。
新しいことを始めれば、今までやってきた何かを止めるのが当たり前ですが、学校はそれができません。
本書では「戦略的な業務削減」を「撤退戦」と名づけ、「職員室内の意識改革と働き方改革」、「学校外部の保護者や地域への対応」に二分しています。
撤退戦のアプローチが4点示されていますが、学校関係者に最も考えてほしいことは「重点策を打ち出す」ことです。仕事に優先順位をつけ、優先度の低いものは削減していくといった、ごくごく当たり前の考え方です。
ただ、残念ながら日本の学校教育はこれができません。理由は多くの方々がご存じの通りですが、これが実現しなければ、教師が疲弊するだけでなく、教師と時間を共にして価値観を内面化する子どもたちも幸せにはなれないと感じます。
人は、良くも悪くも「ノスタルジーに生きる存在」です。教師も例外ではありません。自分が受けてきた教育を無意識的に反復しようとします。かなり自覚的な人でもノスタルジーから完全に逃れることはできません。
それでもなお、教師は過去の栄光や捨てきれなかった不合理な信念から脱却し、仕事を辞するまでアンラーンとリスキリングを続けていくしかありません。それが教師自身と次世代を担う子どもたちの幸せに繋がると思うからです。
本書は、学校関係者の心を激しく揺さぶるはずです。
理解されている喜びを与えてくれるだけではありません。
同時に、読者に対して変化を求めています。
学校教育に関する緻密な資料収集に基づく歴史的変遷が示され、問題が提起され、未来への指針が長年の現場経験に基づいた圧倒的なリアリティで語られる。
私は最初の30ページで引き込まれました。
あなたなら、きっと一気に読み終えてしまうと思います。
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