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ボクには、わからない言葉があるんだ

カーテンを開ける音が上から聞こえる。
休日は、だいたい5時くらいかな。

ボス3号が起きた!

この時間に起きるとしたら、3号しかいない。

ボクには、ボスが3人いる。

ボス1号は、ほとんど1日中ずっと一緒にいて、
ご飯やおやつをくれたり、
ブラッシングや目脂を取ってくれたり、
トイレの後始末をしてくれたりするんだ。

いつもボクに声をかけてくれるし、
ボクを膝の上にのっけて、昼寝をさせてくれる。
1号の膝の上は、とにかく気持ちが良くて
ボクはすぐに眠ってしまうくらい。

ボス2号は、いつもボクと遊んでくれる。
ボクは顔をなめるのが好きだけど、
2号はボクがどれだけ顔をペロペロなめても
何も言わない。
ずっと抱きしめていてくれるんだ。

ボス3号は・・・何もしない。
いや、たまに1号や2号の変わりを引き受けてくれるけど、
ふだんはボクの名前を呼ぶだけ。
ボクはそのたびに振り向いて、3号の顔を見るんだ。
「何? もしかして遊んでくれるの??」って。
でも、そうじゃなかった。
僕の名前を“呼ぶだけ”なんだ。つまらない。

でも、そんな3号でも、ひとつだけいいところがある。
それは、休日になると必ず散歩に連れて行ってくれること。
休日の散歩は、外の世界を長い時間見ていられるから
ボクは大好き。

今朝も行ってきたよ。
ルートはいつも川っぺりなんだけど、
3号は釣りをしている人と途中で立ち話を始めて
ボクはちょっとイライラ。

だけど、この季節はいろんな色の花が咲いていて
鳥の鳴き声も聞こえるし、
川面を通る風が本当に気持ちよくて、
イライラもすぐに収まった。

散歩の途中で3号が口を開くことは
ほとんどないんだけど、
よく聞く言葉が2つだけあるんだ。

「毎朝、一緒に散歩に行けるようになるといいね」

うん! それには大賛成。
ボクにとって散歩は、広い世界に触れることのできる
大切な時間だから。

この季節、道を横切るカニを追いかけて
草むらに入っていくことも、
外でするウ○チも、とっても気持ちいい。

ちょっと「本当の自分」に戻れているような気がするんだ。

3号は、こんなことも言うよ。
「お前の寿命は、あと10年くらいかな・・・」

これはね、実はわからないんだ。
「ジュミョウ」っていう言葉が難しくて。

散歩の途中でたまに仲間に会うことがあるけど、
あいつらに聞いても、誰も知らないみたいだ。


ボクたち犬は、
誰も「ジュミョウ」っていう言葉を知らない。

3号がこの言葉を言うとき、
ボクの顔をじっと見つめる。
ボクも3号をじっと見返すけれど、
その時の3号は、とっても不思議な顔をしてる。

ボクを見てるんだけど、ボクを見ていない。

ボクの、ずっと先を見てる。
ボクの後ろにいる何かを、ずっと見てる。

そんな気がするんだ。

3号は、ボクを散歩に連れてってくれるだけ。
だから、いつまでも「3号」。

でも、いいんだ。
散歩だけの3号も、いないよりマシ。
何より、ボクは広い世界を見るのが楽しい♫

それに、
3号と散歩してたら、
いつか、
「ジュミョウ」っていう言葉の意味が、
わかるかもしれないし。

ボクには、わからない言葉があるんだ


今朝は思いつきで
愛犬に成り代わってみました。

「犬の時間」は、どんなふうに流れているんだろう。


わたしについて

現役高校教師

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心理学修士(学校心理学)

NPO法人日本交渉協会認定「交渉アナリスト」1級

一般社団法人7つの習慣アカデミー協会主催

「7つの習慣®実践会ファシリテーター養成講座」修了

思いつきと勢いだけで書いている私ですが、 あなたが読んでくれて、とっても嬉しいです!