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【私の本棚#9】ハーバードの人生が変わる東洋哲学


孔子、孟子、荘子、荀子。誰もが一度は聞いたことがある古代中国の思想家。彼らの思想のエッセンスがまとめられた一冊です。古代の中華思想は、今の中国をそのまま反映しているのではいかというちょっとした警戒心も持っていましたが、完全に私の思い込みでした。もう一つの思い込みは偉大な思想家はとても真似できないようなこと、大きなことを説いているということ。これも私の思い込みでした。日常のちょっとしたこと日々をどう生きているのか問いていました。

本書を選んだ理由は、過去の偉人の思想は内省し、自分の生きる世界を変化させることができるのか、ヒントになるのではないかと思ったからです。以前、トルストイの「人生論」を読んだ時に感じたのですが、「どうすれば幸せに暮らせるのか」「人生とは何か」という大命題は、今も昔も変わらない。過去の偉人たちは真剣にこれらに向き合っているという感覚がありました。

以下、とくに心にささった部分を2つ紹介したい。

偽りをなくせ。本物であれ。真の自分に正直であれ。今時のこうしたスローガンは、自分の心をのぞき込むようにけしかける。わたしたちは自分が何者かを見いだし、ありのまま受け入れようともがく。危険なのは、そうやって見いだしたものが、あるとき、ある場所での自分を写したスナップ写真に過ぎないことだ。わたしたちは自己啓発本を読み、瞑想し、日記をつけ、自己診断して自分にレッテルをはる。(中略)
こうしたレッテルが、わたしたちの行動や決断を駆りたて、予言の自己成就となる。その結果、あまりに多くの人が、ある日ふと気づくと狭義に限定した自己に閉じ込められていたことになる。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学 P64

私は完全に本当の自分を探していました。自己啓発本も読み漁り、強みや弱みも分析し。これはこれで必要なことだけれども、スナップ写真に過ぎないというところに納得。いくら探しても本当の自分など存在しない。自分が接する数だけ自分がある。孔子にならうなら、自分の行動パターンを積極的にその修正に取り組む必要がある(自己の行動パターンの打破)。ゆっくり時間をかけて自らの振る舞いが洗練されていく。自分ですら気づいていなかった一面を開拓することで自己は成長していく。ここでいう自らの振る舞いがすなわち「かのうように」の「礼」であり、周りの人に親切にするすべを感じ取る能力を身につける。

能動的であるとは、最適な土壌を作り出し、どんなさまざまな状況が生じても反応することだ。変化が育つような土壌を作ることだ。自分が何者であるか考えて、それに合わせて目標を決めるのではなく、自分を農夫だと考えてみよう。すると、きみの目標は、きみのさまざまな興味や側面が有機的に育つような土壌を作ることになる。
ほとんどの人はなにか趣味や関心ごとをもち、週末や自由時間を楽しんでいる。しかし人生でやりたいことを見きわめることとはなんの関係もないと考えがちだ。けれども、土壌をつくりたいなら、自分が育てたいと思っているさまざまな側面に関係した活動に参加する時間を見つけるだけでいい。(中略)
あらゆる種類の可能性に備えてさきまわりして人生にゆとりをもうけ、心を開いて感応力を高めておくのは、作物がよく育つように田畑の下ごしらえをする農夫の仲間入りをすることでもある。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学 P108

自分を農夫だと思って有機的に育つような土壌を作ること。この発想はこれまでなかった。これまで自分はこの道を進むんだと一つの目標を設定してそのためにはどうしたらいいか、マイルストーンを設定してきました。また趣味の読書もただの余暇という風にしか捉えられていなかった。何ならマイルストーンに沿ったものを選びがちだった。土壌を作る、心を耕す、新たな視点。趣味の時間、日常の生活のワンシーン、そのとき感じたことがひとつひとつが私の心を耕す。人間が磨かれる。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。気に入ってくれた方はスキを押していただけると嬉しいです。



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