
冨安由真さんについて
「一枚の絵の力」みえないものをどう受け取り表現するか、というのは絵ができたきっかけの一つだと思うが、由真さんの作品はまさにそうだ。
「このコロナの時期に由真さんはどんな絵を描くのかな?」というのは興味でもあった。由真さんと会ったのは2012年くらい(ちょうどロンドン芸術大学に在学中でその頃は毎日のようにあってたのがすごく懐かしい。。)由真さんの絵やモチーフは全くぶれてない。ずっと作り続けられる「テーマ」をみつけた画家は強い。
▼資生堂ギャラリーでのインスタレーションについてこちらのインタビューもとても由真さんが伝わるものだ
https://bijutsutecho.com/magazine/interview/promotion/16183
「現実の不確かさや曖昧さ」は今まさに感じていることであると思う。その時にこの絵は、「祈り」を感じる絵だと思った。
Name: 冨安由真
Title:Stranger In The Sun
Size:53cm x 45.5cm
Material:パネルに油彩 Oil on panel
Date:2020
私は夢や超能力、心霊など、不可視のものや科学では解明されていないことを手掛かりに、現実と虚構の境目を探るインスタレーションや、ペインティング、映像などを制作しています。
現代社会に於いて見過ごされがちでもあるそのような「不確かなもの」を、私は作品の中で拾い上げたいと思って制作してきました。何故ならば、そのような不確かで曖昧なものに気付き目を向ける行為は、世界と自分を見つめ直す重要な契機となると信じているからです。
今世界は、急速な勢いで変わっていっています。奇しくも「目に見えない」存在であるウイルスに恐怖し、日常は失われていきました。少しでも早く私たちが日常を取り戻す日が来ることを願って、今回この絵を描きました。こういう時だからこそ、物質的ではないものに目を向けた制作を続けていきたいと思っています。
冨安由真 Courtesy of ART FRONT GALLERY
日々の生活における現実と非現実の狭間を捉えることに関心を寄せて創作活動をおこなう。科学によっては必ずしもすべて説明できないような人間の深層心理や不可視なものに対する知覚を鑑賞者に疑似的に体験させる作品を制作する。
主な個展に、「Making All Things Equal / The Sleepwalkers」(ART FRONT GALLERY、2019)、「第12回 shiseido art egg:冨安由真展 くりかえしみるゆめ Obsessed With Dreams」(資生堂ギャラリー、2018)、「guest room 002 冨安由真:(不)在の部屋――隠れるものたちの気配」(北九州市立美術館、2018)など。主な受賞歴に、「第12回 shiseido art egg 」入選(2018)、「第21回 岡本太郎現代芸術賞」特別賞受賞(2018)などがある。