xRでつくる未来。2度のアクセラ参加を通してビーブリッジが目指す未来社会とは?
『xR*で体験を革新する』をブランドメッセージに掲げ、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術を駆使してB2B、B2Cの複数事業を展開する株式会社ビーブリッジ(以下、「ビーブリッジ」)。2020年12月〜2021年3月期に実施されたWinter/Spring 2021 Batchプログラムへの参加を経て、現在2度目のPlug and Play Japanアクセラレータープログラムへ参加されています。積極的にアクセラレーターを活用しながら、大手企業や自治体など幅広い共創に取り組むビーブリッジCOO、近藤敬秀氏に現在の活動についてお話を伺いました。
Interviewee
近藤敬秀(Takahide Kondo)
NTT東日本・コミュニケーションズで国内外のセールスや経営企画などの業務に従事。その後Wantedlyへ転職し、セールス・カスタマーサクセスの領域で新しいチームの立ち上げなどで事業拡大に携わる。現在はBeBridgeでビジネスサイド全般を担当。テキサス大学サンアントニオ校経営学部卒業。
xR(X Reality、Extended Reality)」とは:仮想世界と現実世界を融合し、新たな体験をつくり出す技術の総称。VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)をはじめ、MR(Mixed Reality)、SR(Substitutional Reality)などの先端技術で構成され、「デジタルリアリティ」と形容されることもある。現実との境界を曖昧にしながら新たな体験の創出を可能するxR技術の実用化に注目が高まっている。
AR/VR技術を活用して地域や産業の複合的なニーズに応える
ーー現在複数の事業を展開されていますが、それぞれの特長について教えてください。
現在は「空間シミュレーション」「移動」「購買」というそれぞれの体験向上につながる主に3つの事業を展開しています。
一つ目は、理想の空間づくりを1クリックでビジュアル化するVRプラットフォーム『REALRISE(リアルライズ)』。建設前のマンションや商業施設の物件を再現したり、都市開発向けに理想の街を作成し、シミュレーションすることができるプラットフォームです。
二つ目は、ARを活用した道案内・スポット情報シェアサービス『coconey(ココニー)』です。「迷わず”ここに”(行ける)」というコンセプトのもと、自分がオススメしたいお気に入りのスポット(場所)をスポットリスト化して、家族や友人とシェアすることでお出かけ体験の向上を促しながら、ARナビを活用することで直感的に向かうべき方向がわかりやすく表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができるサービスです。
三つ目は、その土地ならではのお土産・手土産と出会えるARを活用したサービス『souveni(スーベニ)』です。その土地ならではの生産者の想いがこもったお土産をストーリーとともに届け、新しいお土産との出会いを提供しています。
xR領域における複数事業を展開(資料提供:株式会社ビーブリッジ)
一つ一つ見るとバラバラのことをやっているイメージがありますが、人の「移動」を促すナビゲーションアプリ、その後の移動先でうまれる「購買体験」、そのような購買先での施設・店舗をつくる上での「シミュレーション」など、人の動きや体験の流れが繋がり、循環する面も多くあり、AR/VR技術を活用して地域や産業の複合的なニーズに応えることができます。
独自の技術で特許を取得した『ARナビゲーション』
(資料提供:株式会社ビーブリッジ)
ーー xRに関わる市場や事業はどのように変化していますか?
xRの市場は2016年を「VR元年」として一時的な盛り上がりを見せましたが、通信環境の未整備やヘッドセットなどのデバイスの技術的な問題などにより、市場の波に乗ることはなく失速してしまいました。しかし、最近では5G通信サービスやデバイスの著しい進化により生活やビジネスでの活用シーンが具体的にイメージできるようになったことで、B2B、B2C領域における事業ニーズが大幅に増加していると思います。
もう一つの市場拡大の要因としては、新型コロナウイルスの影響による「新しい生活様式(ニューノーマル)」におけるビジネスニーズの拡大が挙げられます。生活者がバーチャルでのイベントやコミュニケーションを体験する機会が一気に増えたことで、xR技術の普及が加速していると感じています。世界的に見てもxR技術には大きな期待が寄せられていて、2023年までには17兆円のxR市場規模に成長すると言われていますが、実際に弊社へのお問い合わせもコロナ以降急激に増えています。
『REALRISE』デモ体験の様子(資料提供:株式会社ビーブリッジ)
xR領域はこれからさらに発展を続け、今までは妄想の中にしかなかったような未来を創ることができるようになると確信しています。『ドラゴンボール』に出てくるスカウターや、『名探偵コナン』に登場するナビゲーション機能が搭載された眼鏡などはxRの発展によってもう既に現実味を帯びてきていると思います。さまざまな情報にアクセスできるハイテクデバイスや仕組みが普及することで、将来的にはスマホを必要としなくなるような未来が実現できるかもしれません。
変化の一端を担うテクノロジーの発展を通して、人々の『体験を革新する』ことに当社が挑んでいける面白さを感じていますし、未来の産業に携わる製品の創り手となる企業と共創していきたいと考えています。
ーー 大手企業との協業における課題はありますか?
xRのテクノロジーは体験・体感していただかないと、そのクオリティを実感いただくのが難しい点です。コロナの影響でビジネスが加速した反面、実際に触れていただく機会をつくりづらくなっていることは課題ですね。デバイスを装着できない状態でVRテクノロジーや製品の魅力を映像だけで理解いただくことは難しいですし、ARについても実際にスマホを使って体験してみないとユニークポイントが訴求できない場合が多いですが、アクセラレータープログラムではコロナ禍で参加したにも関わらず、たくさんの大手企業との協業案件を効率的に前に進めることができたので非常によかったです。
二度目のアクセラレータープログラム参加の理由
ーー 昨年に引き続き、今年もPlug and Play Japanでアクセラレータープログラムに参加いただいていますが、二度目の参加に至った理由をお聞かせください。
一度目のプログラム参加時にはまだSmart Citiesプログラムがなかったんですが、大阪での新たなプログラムとして新設されたことを知り、当社のサービスとの親和性が高いと感じたため参加を決めました。
Plug and Play Japanは当社にとって初めてのアクセラレータープログラムへの参加でしたが、事業をスケールするきっかけになる非常に素晴らしい機会だったと思います。特によかったところは、大手企業からのフィードバックを聞いてきてくれたり、間に入って面談調整などの様々なハンズオン支援をしてもらえたことです。業界を横断してこれまでに関わりのなかった異業種との協業にもチャレンジすることができたことで、提案の幅を広げることができたと思います。前回のプログラムを経て、現在2社との具体的な連携プロジェクトが進行しており、今期のSmart Citiesプログラムにはさらにプロダクトをブラッシュアップしたうえで参加しているので、前回以上に面白い取り組みができるのではと期待しています。
ーー スマートシティ領域ではどのような取り組みをされていますか?
自治体との取り組みが少しずつ増えてきています。昨年、西新宿エリアの課題を解決する西新宿スマートシティプロジェクトに参画させていただきました。西新宿という複雑に入り組んだまちの移動をARナビゲーションで効率化する活動を進めています。
(資料提供:株式会社ビーブリッジ)
ARナビゲーションは実空間を見ながらスムーズな移動を促すという迷子防止策に加えて、事故データの位置情報と掛け合わせるとより精度の高い事故防止アラートを出すことができます。また3次元マップとの連携により、段差情報などが取得できれば車椅子を使っている方など、移動者の事情や状況に合わせたルート案内ができるようになります。キャラクターが案内する機能を搭載すれば、移動をエンターテイメントとして楽しむこともできます。さらに、将来的には「道案内」の範囲を徒歩圏から自動車などの走行圏内に拡げることも可能になります。地域周遊の仕組み化や地域の関係人口創出など、今後AR技術を発展させ、活用範囲を拡げていくことで地域や都市との幅広い可能性を模索できると感じています。
道案内・スポット情報シェアサービス『coconey』
(資料提供:株式会社ビーブリッジ)
今後も『xRで体験を革新する』というビジョンの基、世の中がさらに快適かつ楽しくなるよう、社会的な意義とワクワクできる価値を共存させる体験をxRを技術を使って届けていきたいです。
ーー近藤さん、ありがとうございました!
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