ゼロからはじめるユーザーインタビュー[vol.2]
こんにちは!
Another works DesignDoor の澤野です!
今回は、前回に続き2021年8月から取り組んでいるユーザーインタビューについてお話しします。
私たちDesignDoorは、
設計→実施→分析→開発
大まかにこの流れでユーザーインタビューをし、開発をしております。
vol1.では設計についてご紹介したので、まだ読んでいない方はこちらから🙇♀️
1. Another worksのユーザーインタビュー
まずはvol.1を振り返ってみましょう。
①POやPdMとディスカッションを行い、リサーチすべき課題やポイントを決定
②ヒアリング事項に合ったユーザーに依頼
タレント:メール
企業:担当CSに依頼
今回の記事でご紹介する内容
③実施メンバーをアサイン
④インタビュー実施後、分析
⑤POやPdMへ共有
⑥分析結果をもとにタスク作成、優先順位決定をし開発
2.実態調査
まずは全52件取り組んでいる実態調査において、私たちが大事にしているポイントをご紹介します。
実態調査では仮説を立てつつも、探索的にユーザーが潜在的に持っている課題を発掘します。
「これを検証してみよう」というよりも、「こんな聞き方をすればユーザーは話しやすいかも」ぐらいの温度感で進めていきます。
2-1.具体的なユーザーの行動を聞く
インタビュー時に直球で「何か課題に思うところはありますか?」と聞いても正しい答えは返ってきません。
なぜなら顕在ニーズは、ユーザー本人がすでに解決している可能性が高いためです。
なので、どこで複業クラウドを知ったのか?エントリー・スカウトどっちをよく使うのか?どうやって検索しているのか?など具体的な行動をどんどん聞いていきます。
ユーザーの行動は、きっかけ×欲求と合致すると言われています。
なので、丁寧にユーザー1人1人に寄り添うことを心がけましょう。
必ず、プロダクトのためになる課題が発掘できます。
2-2.何をしたいのか目的・欲求を聞く
前項でお話した通り、行動には目的や欲求が伴います。
ユーザーが起こした行動の目的や、この行動の利用となる欲求を詳しく聞きます。
2-3.きっかけ(感情の変化)を聞く
目的や欲求には、必ずきっかけがあります。
行動と共に、ユーザーの感情の変化も一緒に振り返ります。
私たちは主にフリクション(摩擦)を聞いています。
フリクションとは、プロダクトを使い続ける上で面倒なことや難しいことなどです。
実際のインタビューでは下記のようなフリクションが見つかっています。
ここまでユーザーと寄り添いながら行動やきっかけを追いかけ、やっと課題が発掘できます。
最初から、「スカウトを送る工数はありますか?」と聞いても、「ないです」などの表面的で単純な回答しか返ってこなかったでしょう。
DesignDoor ではこうしたフリクションを解決できるようなプロダクト開発を行っています。
3.新機能のユーザビリティ調査
これまで全10件実施し、2つの新機能の調査を行いました。
ユーザビリティ調査では、実態調査で上がってきた課題に対する開発や新しく開発する機能を実際にユーザーに触っていただきます。
Figmaで作成したプロトタイプを開いていただき、ユーザーに画面共有をしていただきながらインタビューを進めます。
3-1.思ったことはその場で言葉にしてもらう
私たちがインタビューを行う際に必ずお伝えすることがあります。
「触りながら、思ったことを言葉にしてみてください」
事前に伝えることで、プロダクト上の変化に気がついているのか、ユーザーにとってネガティブな感情を生まないかを確実に確認できます。
ここで大事になってくるのが、議事録担当・録画をすることです。
言葉を議事録に書き記すのはもちろんですが、言い回しや表情を読み取り議事録に残すことが、後々インタビューの価値を最大化するためのポイントになっていきます。
3-2.リアルなユーザー体験を
ユーザビリティ調査の目的は、実際の利用シーンや行動に合わせたテストを行うことです。
リリースした際の反応や影響を察知しやすくなり、より適切な開発が可能になります。
前述したようにユーザーに画面共有をしていただきながら行うので、実際の行動を確認することができます。
4.PDCAを回す
インタビューが完了したら、インタビュー自体のPDCAを回していきます。
4-1.まとめる
ユーザーインタビュー以外でも当然のことかと思いますが、議事録担当者が内容をまとめていきます。
ユーザーの発言を自身の言葉で抽象化してしまったりすることがありますが、これは要注意です。
どんどん解釈が足されていき、本当にユーザーが解決したかった課題とかけ離れていく可能性があります。
4-2.メンバーへ展開
正直全メンバーが議事録を全て読むのは苦。
そこで最近、インタビュー参加者がその他のメンバーにインタビューのまとめを共有する仕組みを作りました。
議事録の最後に特段大きい課題や、今までなかった発見などをまとめます。
そして、その内容をプロダクトチームのslackチャンネルへと投稿をするまでをセットとしています。
これを行うことで、インタビューに参加していないメンバーもユーザー課題をしっかりとキャッチアップできるようになりました。
4-3.録画を確認する
インタビュー責任者(私)がインタビューの録画を全て確認しています。
議事録に記載されていないユーザーの情報を確認し、議事録に追記していきます。
その場で表情までを全て読み解くのは正直難しいと思っています。
なので録画をし、ダブルチェックを行っています。
(どうしても議事録担当者のフィルターかかりがちですよね…)
4-4.質問事項などのアップデート
①クローズド・クエスチョンになってしまっていた質問の改善
②思った回答が得られなかった質問の改善
③新しく調査したい部分の洗い出し→POやPdMと協議し、追加
主にこれらを行います。
クローズド・クエスチョンは営業の商談やクロージングに最適と言われています。
一方、ユーザーインタビューにおいてはその場で会話が終了してしまったり、その回答の後ろに隠れている潜在ニーズを引き出すことが難しくなってしまうので、オープン・クエスチョンをしましょう。
5.分析・開発への落とし込み
インタビューが完了したら、議事録を見ながら分析をしていきます。
議事録には職種などのユーザーの基本情報を記載し、職種別課題なども発見できるようにしています。
ここでは実態調査の分析についてご紹介します。
5-1.回答を集計する
ある程度実施件数がたまったら、議事録を見ながら回答を集計します。
課題の横にあるカッコ内の数字が件数です。
(集計に関してはコツとかはなく、ただひたすらやるしかないです…笑)
5-2.課題仮説の分類分けをする
課題が細かく何種類も出ましたが、それらを仮説分類に分けていきます。
前項の課題は「エントリーの判断を適切に行いたい」という分類になります。
細かい課題や分類へ分けられないものは、引き続きインタビューで確認していきます。
5-3.課題仮説分類を細分化していく
前項であげた分類をさらに細分化し、仮説を立てていきます。
ここで私が大切にしていることは、ユーザー目線に立つことです。
実際に複業クラウドで求人を探し、複業を始めたいユーザーはどんなことを思い課題と感じているのかを、日々のインタビューを思い出しながら仮説にしていきます。
5-4.開発への落とし込み
分析が完了したらPO・PdMに共有し、課題の優先順位をつけていきます。
実態調査から上がってきた課題を解決する開発を行う際は、ユーザビリティ調査を実施します。
このようにDesign Doorではユーザーインタビューや複業クラウドの機能開発を行っています。
6.おまけ
ここまで硬めにお話ししてしまったので、私たちが陥ったミスについてご紹介します笑
①ユーザーの回答の後にうまく話を繋げられない
質問→回答の流れで進んでいくインタビューですが、「ありがとうございます!」だけの問答になってしまい、毎質問で話が終わってしまっていました。
意識してさらに深ぼる質問をすることで改善することができました。
②ユーザーの流れに飲まれた
たくさん喋ってくれるユーザーにインタビューをすると、質問事項以外のことを回答してくれることがあります。
とてもありがたいことですし、それによって潜在ニーズが見つかることもありますが、30分という限られた時間で行うインタビューなので、主導権をしっかりと握ることが大切です。
③インタビューの価値が不安定になっていた
しっかりと仕組み化していない状態で実施し、本来取りたかった情報が取得できなかったり、議事録のレベルが安定しなかったりという事態が起こりました。
誰がやっても価値が安定するように仕組み化を行いました。
・質問事項のテンプレート化
・インタビューの録画
・録画を確認し、修正点は各メンバーへ伝える
(詳しくはvol.1を読んでください!)
終わりに
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回はvol.2としてユーザーインタビューの実施や分析についてお話ししました。
全2回でDesign Doorのユーザーインタビューについてお話ししました。
最近は、Tipsなどの記事や本も増えていますが、実際のケースも役に立つのではという思いで書かせていただきました。
ユーザーインタビューを始めたい、ユーザーインタビューに悩んでいる方の参考に少しでもなれれば幸いです。
Another works では一緒に働く仲間を探しています