プロローグ2-4(ムサシ、月歌へ)-サイレント・ネオ-boy meets girl-
企画/ムサシ×ボイスアクター/プロローグ2に登場した、ムサシの3つのセリフ(黒文字)を実際に声に出してもらっています!
それから、寺の裏手にある墓地をたずねた。
恋人だったコハルが眠っていた。
墓石にひしゃくで水をかけながら、ムサシはつくづく後悔していた。
「くそっ…なんで俺は最後までコハルと一緒にいてやれなかったんだ…」
華々しい初陣を飾ったムサシだったが、戦争で戦った意味をまるで見いだせなかった。
唯一、貧しかった経済環境が格段によくなり、もうCAのメンテナンスや維持費のことを心配する必要はなくなった。
「やっと、コハルに楽をさせてやれるというのに…なんで、死んじまったんだ…」
ムサシは思わず、2人で一つの牛丼をわけあったある日のことを思いだした。それでもコハルは「ムサシと一緒にいられて、私は本当に幸せだよ」と言ってくれた。
また、ムサシは病気が重くなったコハルが入院する病院をたずねた時も思い出した。戦争に行くというムサシを心配そうに、また悲しそうに見つめていた。
コハルは自分が苦しんでいるのにもかかわらず、ムサシのことをひたすら心配し、最後まで無事を祈っていたと言う。
ムサシは感情を抑えきれずに、近くに立っていた巨木に思い切り頭をぶつけた。低く鈍い音が響き、木のこずえにいた小鳥がバサバサと羽をはばたかせながら驚いて飛び立った。
「俺が目指した天下無双とは、こんなことだったのか…」
頭から血を出しながら、ムサシは茫然とつぶやいた。
つづく
企画/ムサシ×ボイスアクター/プロローグ2に登場した、ムサシの3つのセリフ(黒文字)を実際に声に出してもらっています!※Cocommuより
→千早さん
→へいさん
プロローグ2(ムサシ月歌へ)
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