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プロローグ3-5(ソック、家を追ん出される!)-サイレント・ネオ-boy meets girl-
しかも、いつものがなり声とは違い、何とも優しい物言いだ。
夏のボーナスが支給されたため、とど子は非常に機嫌が良かったのだ。
「あなた、昨日はずいぶん遅くまで飲み歩いていたみたいね。まあ、たまには羽目をはずさないといけないわね」
通常であれば夜遅くまで飲み歩こうものなら、家にさえ入れてくれない鬼嫁とど子。
ソックがあくびをしながら目を覚ます横で、3人の子供たちが暴れまわっている。すると、とど子が怒鳴り声をあげた。
「あんたたち朝っぱらからうるさいわね! 上に行って勉強でもしてきなさい。お父さんに迷惑でしょ!」
子供たちはしぶしぶ2階に上がっていった。
「あなた、今日のお昼ご飯はカツカレーだからね、お刺身も買っておいたから」
とど子はピンクのエプロンをつけ、鼻歌を歌いながらキッチンに向かった。
ちなみにカレーライスはソックの大好物だった。
「おお、いいなあ」
ソックは居間のテレビをつけ、久々にゆったりできる休日を満喫していた。
そして、とど子が入れてくれたホットコーヒーをすすりながら、朝刊を広げて読み始めた。
「なになに…カイバのシャギ党が何やら妙な動きをしているか…大丈夫だろうな!? リムリなんかに攻め入ったら大変なことになるなあ」
とソックはせっかくの休日が消し飛ぶことが心配になった。
新聞によるとパイロットをかき集め、CAなど大幅に戦力を増強しているカイバのシャギ党が、この夏、どこかに攻め入るのではないかと書かれているのだ。
リムリはキングダムの属国で、カイバの隣国で小競り合いが頻発しており、戦闘になればキングダムの兵士たちは休みを返上することになるだろう。
ただ、奇妙なことにシャギ党はリムリ方面ではなく、西の砂漠基地に兵士を集結させていると言う。
そのため、リムリへの動きではないように思える。だが、小隊をリムリの国境に派遣し、村を探索しているという非公式の噂があるとも書かれていた。
とど子はお茶請けのお菓子を運んでくると正面に座り、ソックの独り言を聞いて不安そうにたずねた。
「あなた、また戦争になんてならないわよね。せっかく久しぶりに家族で旅行に出かけられるというのに…」
つづく…
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